表彰式とアップデート内容の紹介
お疲れと
みんなに言って
さようなら
曲がり角にて
再会したね
ゆずを
転移した先は、そのまんま表彰式場だった。
「うぇ、人多い......」
『どうしました? 大丈夫ですか?』
「人に酔った......」
ここ、最初の闘技場のように武術大会の出場者全員がいる。
「あ゛ぁ゛ぁ゛......気持ち悪ぅ」
『もう、我慢してください! 短時間ですから!』
「早う......早うしてくれ......」
しんどい。これ、とんでもなく大きな弱点だ。
『これより!表彰式を始めます!呼ばれた方は上の台まで転移しますので、そのままでいてください!』
「早う......」
『うるさいですねぇ』
「だって......気持ち悪いもん......」
もうやだ。早く終わって欲しい。
『まず! 刀術部門から。3位、『阿吽のコキュートス』さん!』
コキュートス君が呼ばれ、レイジさんの所に転移していた。
『刀術部門3位入賞、おめでとうございます。賞品は100万Lと、お好きな戦闘スキルを1つです』
「ありがとうございます!」
『おおおぉぉぉ!!!』
歓声と共に、コキュートス君は転移で戻されて行った。
『次に、2位の方。『茜』さん!』
「はいっす!」
『刀術部門2位入賞、おめでとうございます。賞品の方は、300万Lと、王の名前の付くスキルのスキル書です』
「スキルは分かりませんが、ありがとうございますっす!」
『おおおおおぉぉぉぉ!!!』
コキュートス君より大きな歓声が上がり、茜さんも戻されて行った。
『刀術部門優勝者!『ルナ』さん!』
『おおおおおぉぉぉぉ!!!』
早いわ!
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表彰台に転移します。
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ウィンドウが出たと思ったら、もう既に転移していた。
「刀術部門優勝、おめでとうございます。賞品は1,000万Lと『武神』のスキル書と称号。それと、特別賞として、『付喪神』が贈られます!」
「あ......ありがとう......ございます」
い、要らねぇぇぇ!!! 付喪神、要らねぇ!!!
もう間に合ってんだけど!! 話せるだけで2人、あとアルテに宿る神を合わせて、合計3人もいるんだけど!!!
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転移します。
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「うぇ......また人に酔う......」
『貧弱ですねぇ? 本当に優勝者ですか?』
「はい......優勝者です......」
『全くそうは見えませんけどね! それ、慣れた方がいいですよ?』
「痛み入ります」
全くもってその通りだ。なんでこんなに人混みに弱いのか、意味がわからない。
『続いて剣術部門の表彰です! 3位から、『マサキ』さん!!』
『おおおおおぉぉぉぉ!!!』
お、マサキだ。おめでとう。
『剣術部門3位入賞、おめでとうございます。賞品は先程の言ったように、100万Lと戦闘系スキルのスキル書です』
「ありがとうございます!!!」
めっちゃ綺麗な礼をするんだな、マサキ。
『続いて2位!『黒の巣』さん!』
『おおぉぉ!!!!』
黒の巣君、そういえば2位だったな。あんまり記憶にないや。
『おめでとうございます。300万Lと、王のスキル書です』
「ありがとうございます!」
さぁ、さっさと終わらせよう。
『剣術部門優勝者!『ルナ』さん!!』
『おおおおおぉぉぉぉ!!!!!』
うっさ! 鼓膜破れるわ!
そして転移して――
「剣術部門優勝、おめでとうございます! 賞品は先程と同じです」
「え? つまり、2人の付喪神が来るってことですか?」
「はい!」
「......終わった......」
5人、ですか。ってかおい待てよ? 魔法部門も確か、特別賞があったよな?
まさか――
『魔法部門3位、『イリス』さん!』
「はい!」
『3位入賞、おめでとうございます。100万Lと、お好きな属性魔法のスキル書となります』
「ありがとうございます!」
『続いて2位!『ルヴィ』さん!』
『おめでとうございます。300万Lと、お好きな上級魔法のスキル書となります』
「ありがとうございます」
『魔法部門優勝者!『ルナ』さん!』
「......はい」
やべぇよ。嫌な予感しかしない。どうすればいいんだコレ。
「魔法部門の優勝、おめでとうございます。賞品は1,000万Lと『マナ効率化』のスキル書、そして称号と付喪神です」
「あ、ありがとうございます」
もうハッキリ言ったよね。『付喪神です』って。
勝手に出て勝手に優勝した手前、『要りません』なんて言えないんだよ。
はぁ......
『それでは! 総合部門の表彰式に入ります!』
『おおおおおぉぉぉぉ!!!!!』
やっぱり総合部門が1番盛りあがってるな。
『では早速3位から。『サニー』さん!!』
「はい!」
『総合部門3位入賞、おめでとうございます。賞品として、1,000万L、そしてギルドホームが贈られます!』
「ありがとうございます!!」
ギルドホーム、どんなのなんだろうか。気になる〜
『続いて2位!『今日犬子』さん!!』
「は〜い!」
『総合部門2位入賞、おめでとうございます! 賞品は2,000万Lと魔法複合スキル、それとギルドホームです!』
「闘術優勝も兼ねて、ありがとうございます」
この人、やっぱり凄いな。次回に闘術部門に出たら俺、負けそうだな。
『ではでは! 皆さんお待ちかね、優勝者の表彰台です!』
やめよ? その溜めはやめよ? ねぇレイジさん。頼むよ。
『総合部門優勝者は、『ルナ』さん!!』
『おおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!』
グッバイ鼓膜......また会おうな!
おかえり鼓膜......ブリーシンガメンでお出迎えだ。
「総合部門優勝、おめでとうございます。それと改めて。刀術、剣術、魔法部門の優勝、おめでとうございます!」
「ありがとうございます」
「いきなり四冠も取って、本当に凄いです! それと賞品の方は魔法複合スキルのスキル書と、『神器:グラジオラス』と付喪神と称号、最後に、特別ギルドホームです!」
「ありがとうございます!」
うん、グラジオラスとギルドホームとか、色々気になるな。
『ではでは! これにて表彰式は終了です! 皆さん、盛大な拍手を!!!』
『おおおおおぉぉぉぉ!!!!!』
俺もパチパチパチ〜っと、拍手をしておいた。
だって、歓声を上げるほど俺の精神は強くないし。
『では最後に! キアラさんからお話を聞いて、今回のイベントを終わりにしましょう!!』
お、遂に来た。ある意味1番の本命イベントが。
『ハロハロ! キアラちゃだよっ! みんな、武術大会お疲れ様!! みんなとっても個性的な戦いをしていて、とっても面白かったよ!!』
『それでね! 私からいくつかお話があるの!
まず、今日はこの後、サーバーをクローズしてアップデートに入るよ! だからユアストにログイン出来ないから、よろしくね!』
やっぱり。例のアップデートが来るわけだ。
『それで次に、アップデート内容の紹介だよっ! カズキ、カモン!』
『えぇ〜呼ばれました、カズキだ。俺から言うのは2つ。今までのユアストはチュートリアルだと思ってくれ。
それともう1つ、ここからが本番だ。敵の数は増え、さらに強くなるし、やりたい事はどんどん出来るようになる。楽しみにしててくれ』
ほぇ〜敵が強くなるのか。楽しみだな。
『ありがとうカズキ! それと私から言うのは、細かいアップデート内容だよっ!』
そう、そっちを待ってた!
『まずね、これ!『ダンジョンの追加』だよ!』
壇上のキアラさんがそう言うと、ウィンドウが出てきた。
『そのウィンドウに出ているダンジョンは、アップデートに追加されるダンジョンの1つだよ! 最初のダンジョンの場所は『インフィル草原』のどこかだね! あ、ランダム生成じゃないから、1度見つけたら安心だよ!』
えぇ......このダンジョン、まさしく『ダンジョン!』って感じの洞窟だな。
草原に1つ、石の小さな山が出来てたら、そこがダンジョンの入口なようだ。
『次に、喉の乾きや空腹の追加だよ! カズキも言ってたように、これまではチュートリアルのようなもの。これから、ここでの人生が始まるんだよ!』
正に『生きる』訳だ。面白いな。最初に簡単にしてプレイヤーを集め、一定のラインが来たら難しくしていく。
そうしてプレイヤーを楽しませるわけか。
『後は通常モンスターのテイム確率が上がったり、魔剣の作成確率が上がったり、とかだね!』
へぇ〜、他のモンスターをテイムするのもいいかもな。
『じゃあこれで私の話は終わりだね!! みんな、本当にお疲れ様! 楽しかったよ! それと、賞品の方はアップデート後に配られるからね!』
『おおおおおぉぉぉぉ!!!!!!!!』
『あと30分で強制ログアウトだから、それまで自由にしててね!それじゃあ!!』
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王都ロークス冒険者ギルドに転移します。
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これでイベントが終わったようだ。
とりあえず2人と合流しないと。
『リル、リル! 聞こえるか?』
『はい、父様』
『ソルと一緒に宿屋まで来てくれ。そこで合流しよう』
『分かりました。母様に伝えます』
『あぁ、人に気を付けてな』
『はい!』
「っしフー、俺達もさっさと出るぞ」
『は〜い』
もう。リルはしっかりしてるってのに、フーはだら〜んとしてるな。
そして宿屋にて――
「お疲れ様ルナ君! 優勝したね!」
「おめでとうございます父様! お家、貰えるんですね!」
「ありがとう2人とも。家、楽しみだな」
「そうですね! 私の職場になる家、綺麗なところだといいですねぇ」
現在、フーはメイド服だ。
「その服でメイドをするのか?」
「いえ、たまに違うメイド服を着ますよ? フリッフリのやつとか、スラーっとしたやつとか」
「メイドは確定なんだな」
「はい!」
もう、俺の中のフーのイメージはメイドで固定されそうだ。
......巫女服も良かったけどなぁ。
「あ、そうだ。皆に言わないといけない事が」
「どうしたの?」
「付喪神が来るらしい。4人も」
「「4人も!?」」
「ルナさん、それに関しては大丈夫ですよ」
ん?
「どゆこと?」
「いえ、ルナさんは多分、人が増えすぎて困る〜って思ってたんですよね?」
「そうだな」
「それなら大丈夫です。ルナさんが武器を作らなければ、そもそも宿る場所が無いので付喪神が来ませんから」
「......それもそうだな」
付喪神の前提条件、『神器クラスの武器』を作らなければ、そもそもの問題で宿れないのか。
「すまん、解決したわ。神器はもう作らない」
「そっかぁ。でも見たかったなぁ、ルナ君の新しい付喪神」
「速攻で神器作るわ」
「父様!?」
「どうしたリル」
「い、いえ。とてつもない速度で手の平を返されたものですから......」
「ソルが見たいと言ったんだ。速攻で作るに決まってんだろ?」
「そ......そうですね!」
「私は何を見せられているんでしょうか......」
それから少し雑談をして、ログアウトした。
「......はぁ、頑張ったな、俺! 優勝おめでとう!!」
いや〜無事(?)に武術大会が終わりました!!
次回で4章が終わるはずです!!はずです!!!
ではでは次回、『家.....家?』です!お楽しみに!
今回こそは外さないィ!