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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第4章 第1回イベント:武術大会
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魔法戦とは、駆け引きの連続である

初手独り言ですわよ。


独り言

意識してみて

やめてみる

3秒後には

独りごちてる


ゆじゅあみぇ

 

 本戦前、控え室にて――




「う〜ん、()



 無である。



「正味、魔法に関しては作戦がないに等しい」



 だって、行動詠唱から繰り出される魔法とか、動作後の一瞬現れる魔法陣でしか察知できないし、そもそも魔法陣を見たところでなんの魔法か分からない。


 故に、その時その時のアドリブで行くのも手だと思っている。



「でもなぁ。流れは決めておきたいよなぁ」



 試合の流れを決める。例えば、魔法の第1予選のように『注目を集めてから、雷で一網打尽』のよに、ある程度の流れは決めておきたい。



「流れ......流れ、ねぇ?」



『ルーレットの結果、本戦1戦目は『ルナ』さんと『イリス』さん。2戦目が『ルヴィ』さんと『阿吽のコキュートス』さんで戦うことになりました!!』



「1戦目か。それもイリスさんねぇ。どんな魔法を使うのか、全く知らねぇな」



 とりあえず『サーチ』は全開で行くから、魔法を検知できない事はないだろう。



「......はぁ。何かをこの部門でやろうとしてたけど忘れちゃったなぁ」



 早く総合部門に出て、家を勝ち取りたい。暖かいお家が欲しい。



 とりあえず、考えよ。



「拘束......2重でしかけてショックボルトで感電させて、それからイグニスアローでトドメにするか」



 イリスさんはこれで倒せるはずだ。だがルヴィさんはそう簡単には行かないだろうな。きっと、自前のスキルか魔法で避けるだろうな。



「とりあえず、イリスさんに勝とう。決勝で遊ぶのはそれからだ」



 多分、というか確実にコキュートス君は負けるだろうな。

 だって彼、そういう運命を背負ってそうだもん。


 本戦1回戦目、及び3位決定戦で負ける運命を。




 コンコン!



「は〜い」


「よ、ルナ氏。今回はすぐに出番だ。行ってくれ」


「はい」



 カズキさんが来たと思ったら、もう出番らしい。




 俺は控え室を出て、通路を歩いていく。



「なんでこんなにも虚無感を感じるんだろう」



 思考も感情も、何かすっぽ抜けた感覚がある。



 なんでだろう。いつ、こんな事になったんだろう。予選の1戦目までは、確かに俺はしっかりしていた。


 でも今はどうだ?


 どこか浮ついた様な考えで、どこかしっかりしない意識で、こんなんで楽しめるのか?



「......無、か。これが原因だな?」



 虚無感のさらに奥、完全な無の感情。これがどこかおかしい自分を作っているのだろう。



「よし、行こう」




 気持ちの整理は、控え室でやろう。




『そして入場するのは、圧倒的な強さを誇り、既に2部門の優勝を勝ち取っている『ルナ』さんです!』



『わぁぁぁぁ!!!!!』



 歓声の種類が違う気がする。なんでやろ?



「イリスさん、よろしくお願いします」


「はい、お願いします!」



 イリスさんに挨拶をする。......が、少し気になった事がある。



「イリスさん、その杖はなんですか?」


「はい? これは武器ですよ?」


「武器? 鈍器ですか?」


「えぇ!? 違います! 魔法の杖ですよ! 杖を持って魔法を使うと、威力が上がるんです!」


「へぇ、そんなのがあるんですね」



 アルカナさんとかも使って無かったし、そういうのは必要ないもんだと思ってた。




 まぁ、使わないけど。邪魔だし。




『それでは、魔法部門、本戦1回戦目を始めます!両者、構え!』



 構えもクソもないけどな。けどイリスさんは何か構えている。




『始め!』




「『サーチ』」


「『ウィンドボム』!」



 ほう、不可視の爆弾ね。でもサーチで見えるぞ。



「『アウラ』」



 アウラでウィンドボムを飲み込み、バレないように上空で循環させる。




 さぁ、作戦通りにいくかな?




 俺は腕を振り下ろしながら唱える。



「『蔦よ』!」



 そうすると蔦が地面の上から伸び、イリスさんに『真っ直ぐ』向かっていく。



「『ファイアウォール』!」



 イリスさんはファイアウォールを出したが、それではダメだ。ファイアウォールは完全な1枚の壁だ。


 つまり、『下は対処出来ない』



「きゃっ! なんで!?」



 俺の行動詠唱に設定した『茨』ちゃんがイリスさんを拘束する。



「『ショックボルト』」



 そう唱えると目の前には、小さく稲妻の走る魔法陣が現れ、イリスさんに向かって弱い雷が走っていく。



「くぅぅ!」




 ショックボルトを受けた時点で、この試合の駆け引きは俺の勝ちだ。




「『イグニスアロー』最大出力」



 俺はイグニスアローに1800程MPを込め、上空に待機させているアウラを経由させてイリスさんに落とす。



 イグニスアローは赤からオレンジ、白と色を変え、イリスに向かい――




『試合終了!! 魔法部門、決勝進出したのは『ルナ』さんです!!! 一体どれ程強いんだぁぁ!』



「よし、OK」



 これで次の試合、存分に遊べるぞ!







 そして控え室に帰ってきた。





「あ、やっぱりいるんですね。カズキさん」


「お〜う。見てたぜ。決勝進出おめでとう」


「ありがとうございます」



 俺は一旦控え室の椅子に座る。少し雑談といこう。



「カズキさん。カズキさんって魔法は使いますか?」


「使うぞ。特に火を使ってる」


「そうなんですね。では、火属性と他の属性を合わせて使ったりしますか?」


「いや? 俺は火単体だな。っていうか、他の属性と使うなんて事は俺の頭じゃ無理だ。同じ属性ならまだしも、他の属性は無理だな」


「そうですか。......魔法って、面白いですよね」


「ん? どうしたんだ? 急に」


「いえ、新しい魔法でも作ってみようかなって思いまして」


「ここでか?」


「ここでです」


「はっはっは! それはいいな! 決勝前に、新しい手札を用意するってか? それがルナ氏の強さの1つか?」


「何言ってんですか。1対1の試合なんて、強さが同格なら後は頭の問題ですよ。俺は人より、対人戦の経験があるだけです」



 その密度は尋常じゃないだろうがな。



「まぁ、ステータスだとダントツで弱いもんな」


「はい」



 強さとしては、俺は格下だ。だけど経験とアイテムでそれをカバーしている。


 それに、一撃でもモロに喰らえば俺は一瞬でお陀仏だ。だから、戦闘における必要な技術が多すぎる。



「よし.........じゃあ、こんな魔法なんてどうでしょう。魔法作成!」



 今回作るのは、『氷の魔法』だ。正確に言えば、『熱を奪う』魔法。



 出てきた魔法陣の円は25個。上手くいくかな?



 イメージを固める。その魔法は『熱を奪う』魔法。どうやって熱を奪うか、それは『魔力の振動を抑える』事で奪う。


 そしてその魔法は、『炎も凍らす』魔法だ。



『ガン!』

『ガン!』

『ガン!』

『ガン!』

『ガン!』



 何か、今までとは圧倒的に違う音を立てて円が嵌る。


 次に発動スピード。これは最速であり、最遅(さいち)でもある。『魔力の停止』だ。



『ガン!』

『ガン!』

『ガン!』

『ガン!』

『ガン!』



 次は、最大MPか。このままでいい。ブリーシンガメン、頼むぞ〜



『ガン!』

『ガン!』

『ガン!』

『ガン!』

『ガン!』



 完璧だ。よくやった。次は、スキルレベル。これは『氷属性魔法』と『火属性魔法』、それに『自然魔法』のスキルレベルを参照しているはずだ。


 どれも100だぞ?



『ガン!』

『ガン!』

『ガン!』

『ガン!』

『ガン!』



 さぁ、最後だ。名前だな。名前は――




「『クロノスクラビス』」



『ガン!』

『ガン!』

『ガン!』

『ガン!』

『ガン!』


 ━━━━━━━━━━━━━━━

『自然○○魔法:クロノスクラビス』を完璧に作成しました。習得しますか?


『はい』『いいえ』

 ━━━━━━━━━━━━━━━



 なんで『○○』が付いてんだ? まぁ、いいけどさ。


 俺は『はい』を押した。



 ━━━━━━━━━━━━━━━

『自然○○魔法:クロノスクラビス(消費MP:30)』を習得しました。

 ━━━━━━━━━━━━━━━



「完成しました」



 ━━━━━━━━━━━━━━━

 プレイヤー『ルナ』が魔法を完璧に作成しました。

 ━━━━━━━━━━━━━━━



「負けました」




 はい、しゅ〜りょ〜! もう終わりです! 決勝前に何やってたか垂れ流しです!




「や、やべぇなルナ氏。今の、大会の動画に使っていい?」


「えぇ?」



 このタイミングでそれ言う? しかも、今の魔法作成を?



「何故です? 別に今のじゃなくていいでしょう?」


「い、いやな。こんな完璧に魔法を作ってるの、キアラくらいしかいねぇもんだからさ。『プレイヤーでも出来るんだぞ〜!』って証明に?」


「そ、そうなんですか?......まぁ、どうぞ。使ってください」


「ありがとう! ありがとうルナ氏!!」


「はい。とりあえず俺は魔法の練習してるんで、出番になったら言ってください」


「おう! 気をつけてな!」




 映像くらいならいいだろう。そんなことより『クロノスクラビス』の練習だ。




 控え室、結構広いから練習もできるんだよな。




「『ファイアボール』」



 まず、ファイアボールを出し、そのまま待機させる。



「『クロノスクラビス』」



 新魔法は『完全に目に見えない』魔法だった。




 そしてファイアボールにクロノスクラビスが命中すると――




 パキッ! パリン!!



「っし! 完璧!」



 炎が凍り、床に落ちて砕け散る。



「次!『ウォーターボール』『クロノスクラビス』」



 ウォーターボールでも実験してみる。予想通りなら、完全に凍り、床に落ちるはずだ。



 パキッ! パリン!!



「ナイス! 最後だ、『イグニスアロー』『クロノスクラビス』」



 さぁ、これでイグニスアロー君も凍ったら、クロノスクラビス君は現状最強の防御魔法だ。




 そして結果は――




 パキッ! パァン!!!



「あ、あっぶな!」



 イグニスアローは一瞬で凍りつき、そのまま爆発した。



「これは......後でフーに見てもらうか。よし」



 感情が大分戻ってきた。



 おかえり感情。ただいま感情。




「では! このまま観戦して待ってますね! カズキさん!」


「お、おう」




 テンションが上がってきた! ルヴィさんの魔法、しかと目に焼き付けるぞ!

時々、感情とか思考とか、全てが無に感じることありませんか?私はあります。

私はその状態のことを『虚無虚無プリン』と呼んでいるのですが、この状態、非常に鬱に近いんですよね。


まぁ、だから?って話なんですが。(オチなし)



次回、『魔法とは、ゴリ押しである』お楽しみに!

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