マジシャン、ルナ
仮眠を取ると言って、そのまんま爆睡してしまいました。
眠気には
勝てる見込みが
ありません
仮眠取ろうと
無駄な足掻きを
ゆずあめ
『総合部門を除いて、最後の各スキル部門となりました! 最後は、『魔法』部門です!!
魔法部門はなんと、剣術部門より参加者多く、約9000人が参加しています!!』
「お〜、遂に来たか〜」
これまでに『刀術』『剣術』『盾術』『槍術』『弓術』『糸術』『闘術』の順番で開催されてきた。
それぞれ優勝者は、刀術と剣術が俺、盾術が『ガーディ』君、槍術が『ぶっ飛ば』さん、弓術が『イリス』さん、糸術は『障子にメアリー』さん、そして闘術が『今日犬子』君だ。
格ゲーの日本一なだけあって、犬子君の動きは素晴らしいものだった。
フェイントにフェイントを重ね、意識の誘導や自身の足さばき、その全てが洗練されていた。
「ルナ君、魔法は何を使うの?」
「そりゃあ、みんな大好き『雷属性魔法』だろう。初っ端に一撃かましたい」
ほぼ確実に、予選では全員から狙われるだろう。ワイバーン戦の雷もバレてるだろうし、如何にしてあの雷を撃つか、それにかかってるな。
どうしても、速度、パワーも満点な雷を使いたい。
「でも、多分対策されてるよ?ルナ君の雷って、あの時に王都にいたプレイヤー全員にバレてるからね」
「だよなぁ。まぁ、それは予想済みだから問題ない。アイデアはあるからな」
「どうやるの?」
「秘密だよ」
これは是非、本番で上手くいった時に見て欲しい。
プラン通りにいけば、確実にスマートに決まるだろう。
「え〜、き〜に〜な〜る〜」
「可愛く言ってもダメだぞ。本番を楽しみにしててくれ」
体全体をゆらゆらさせてお願いされてもダメです。
結構自信はあるから、多分いけるはず。
「ま、見ててくれ。俺が珍しく、自分から目立つ姿をな」
「えっ、目立つの!? 絶対見る!!」
「あぁ。じゃあ行ってくるわ。リルとフーも見ててな?」
「もちろんです。父様の勇姿、目に焼き付けます」
「見ますよ〜! 魔法に関しては、私は厳しいですからね?」
元、魔法の女神の視点で意見をもらえるのは嬉しいな。
「行ってきます」
「「「行ってらっしゃい」」」
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『魔法部門』のどの予選会場に転移しますか?
『第1ブロック』〜『第91ブロック』
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今回もページを捲るのが面倒なんで、第2ブロックに行く。
「皆、驚いてくれよ? 自信あるんだから......」
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『魔法部門』予選会場、第2ブロックに転移します。
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魔法部門の予選会場は砂漠だった。
「うっわぁ、ステップの方が助かったのになぁ」
砂に足を取られる砂漠より、背の低い草しかないようなステップの方が動きやすいからな。
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5分後に試合が開始されます。
試合形式はバトルロイヤルです。
第2ブロックの参加人数は100人です。
最後に生き残った1人が、本戦へ出場出来ます。
ルール
・『○魔法』及びその進化先以外のスキルの使用不可
・『ポーション系統』のアイテムの使用不可
・装備効果によるHP回復効果のみ使用不可
以上となります。是非楽しんでください。
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「うっは! ブリーシンガメンが輝くな、これ!」
HP回復は無くても、MP回復があるお陰で今回は大活躍だろうな。
「よし、拍手に行動詠唱をセットして、と」
俺は手を叩くことで、とある魔法が発動するようにした。
「魔力切れは......まぁ、なっても神器頼りでいこう」
行動詠唱のデメリットのせいで、とんでもないスピードでMPが減るだろうが仕方ない。
ブリーシンガメンを信頼して、ポンポン魔法を使っていこう。
「......頑張って目立とう」
今回は目立つ事による『不意打ち』をする。
言い方を変えれば、ミスディレクションだな。
俺自身を目立たせ、注意を惹き、その隙に超高威力の魔法をブッパする。
敵さんが俺を見て、一瞬でも動きを止めてくれるかが重要だな。まぁ、あれだけ他の予選で目立ってしまったんだ、皆俺を狙ってくるだろう。
......自意識過剰かな? でも、今はそう信じないと......
『これより! 魔法部門の第1予選を開始します!』
試合が始まり、他のプレイヤーが見えるようになった。
なぜだか杖を持ってるプレイヤーが多いな。流行りか?
そして、またいつものように他のプレイヤー同士は頷き合い、俺を見る。......これ、こいつらの流儀?
「......『ボイス』」
俺はボイスを発動させる。これで、この試合の全てのプレイヤーに声が届く。
『パン! パン! パン! パン! ちゅうも゛ぉぉぉぉく!!!!!』
4回手を叩き、ボイスを乗せて思いっきり叫ぶ。
「「「!?」」」
来た、キタキタキター! 全員動きを止めた!
「ふはっ!......『サンダー』」
バリバリバリバリバリバリ!!!!!
鼓膜が10回くらいは破れそうな程の轟音と共に
バヂィィ!!!!!! バゴォォォン!!!!!
雷が超広範囲に落ちた。
「痛っでぇぇぇぇ!!!」
自分のサンダーの直撃と魔力切れによる頭痛で死にそうだ。
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『魔法部門』予選第2ブロックが終了しました。
予選通過者
『ルナ』
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「痛いぃぃぃ!!!」
HPが13しかない! MPが全然回復しない! 痛い!
「し、試合終わった? 終わったよね? ステラ、ステラァ!!」
急いでステラを顕現させる。
「い、『癒しの光』を!」
とりあえずHPを全快させる。ステラの効果とブリーシンガメンの力によって、ものの10秒程度でHPが満タンになった。
「が、頑張れブリーシンガメン! お前ならできる! MPを!! 我にMPをぉぉ!!」
試合が終わり、20秒程砂漠に寝転んでいると、ようやくMPが回復してきた。
「......よ、よし。首の皮一枚繋がった」
結果として、試合は上手くいったようだ。一撃で他のプレイヤー全員を消し飛ばせた。完全勝利だな! ふはは!
そしてウィンドウが出てきた。
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会場に転移します
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「オッケーオッケー、今の俺はやりきった感に満ちている。質問に答えようぞ」
そうして飛ばされた先は、またまたレイジさん達のところだ。
「ルナさん!! なんて事をしてるんですか!!」
「何ですか今の試合!!!」
「えっと......」
レイジさんは鬼のような形相で叫び、ア......ア......アメリカさん? は、酷く困惑したように言った。
「とりあえず、落ち着きましょう?」
「「落ち着けません!!」」
「そんな〜」
そこで否定するあたり、この人達は落ち着いているのでは?
そして2人が落ち着いたのは、3分後の事だった。
「で、では。ルナさん、質問いいですか?」
「はいどうぞ」
「はい、それでは何故、あんな無茶な事をしたんですか?」
「無茶? 確かに自分の魔法で死にかけましたが、そこまで無茶だとは思いませんよ?」
「違います! そっちじゃないです! 魔法の事ですよ!! 今、キアラさんが全試合のログを見てたんですけど、第2ブロックに1人だけ『一度に7回も魔法を使った』人がいるって、騒ぎになったんですよ」
「あ〜、俺ですね。でも、1度で7回じゃないですよ? 最初に1回使って、その数秒後に6回の魔法を1度に使いました」
「一緒です!!」
一緒じゃない! 同時にあの魔法全部使ったら、MP足りんわ!!
拍手とサンダーの間に、少しの溜めが無いとMPが足りなくてサンダーが使えんのよ。
「......でも、それがどうして無茶という話に?」
「えぇ?......ルナさん、魔法って基本、2個までしか同時に使えないんですよ」
あっ、それは前に言ってたな。集中力が云々って。
「それは前にフレンドから聞きましたね。でも、使えちゃうんだからいいじゃないですか」
「「なんで使えちゃうの......」」
「知りません」
何が原因でそんなに1度に魔法が使えるとか、別にいいじゃん。持ってる手札を完璧なタイミングで切っただけだ。
「それで、アメリカさんの質問は?」
「......もういいです、アメリカで。それで、あの時はどんな魔法を使ったんですか?」
「『雷属性魔法』の初期からある呪文の『サンダーチャージ』と『サンダー』ですよ」
「え? あ、アレってそんな威力が出るんですか!?」
「出ますね。同時にチャージすればするほど、バカみたいな威力になります。オススメですよ?」
まぁ、今回みたいに自分に当たる事も考えないといけないけど。
ってかよく俺生きてたな。
ブリーシンガメンが無かったら、あの砂漠から全員消えてたのかな。
「そうだレイジさん、アレって俺も死んでたらどうなってたんですか?」
「ルナさんは指輪があるでしょう?......それに、もし全員が同時に倒れていたら......その状態にした人、つまりは1番敵を倒した人が、次の試合にいけますね」
あ、『不滅の愛』で俺の残機、もう1つあったんだった。
「じゃあどっちにしろ勝ってた訳ですね。やったぁ」
「「えぇ............」」
さ、ボイスの事は上手いこと話さなくて済んだし、次の予選はどうしようかな。
「ではレイジさん、転移お願いします」
「......もう予選後のインタビュー、ルナさんの独擅場ですね............」
「そんな事ある訳ないでしょう? それにこれ、きっと俺の黒歴史の1ページなんで、吹っ切れてるんですよ」
「そうですか......とりあえず転移しますね」
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2次予選会場(控え室)に転移します。
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そして、控え室に転移された。
「にしてもあの人の名前、本当に覚えられんなぁ。見る度に顔が違って見えて、別人のように感じるんだよな」
それから俺はあの、ア......ア、アリサさん? の名前を覚えられない事を、暫く考えていた。
書き方を.....忘れた!?
そういえば前にルナ君がワイバーン戦でサンダーを使った時って、アルテを持ってたからMPが700増えてたんですよね。
一度、布都御魂剣とアルテの両方を持って魔法を使って欲しいですね。感情超強化とかステータス補正のお陰でとんでもない事になりそうですけど.....
では次回!『魔法って便利だよな.....鍛冶にも使える』です!
お楽しみに!