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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第4章 第1回イベント:武術大会
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癒しのひととき

超お砂糖回です。

......こ、これは、VRゲーム......なんだ!恋愛小説では......無いとは言いきれない......です。

 

「あぁぁぁ〜最高」



 今、ソルの横に座り、全力でモフらせて頂いてます。



「ふふっ、ルナ君は頑張ったからね。ご褒美だよ!」


「最高です。ありがとうございます。もう一生ここでモフっていたい」


「えへへ〜」



 ソルのお耳を触った瞬間に、剣術部門での疲労が一気にぶっ飛びましたね。

 こう、毛のサワサワっとする感覚に、毛の下の肌の力強さを感じ、触ると『ピクッ』と反応するこの感覚、たまりませんなぁ。



「むぅ......父様、私は?」


「ちょっと待ってください。今ソルを......」



 リルさん、その誘惑はやばいです。モフりますよ?



「ルナ君、リルちゃんも触ってあげたら?」


「ダメだ。『触る』と言ってはいけない。『モフる』と言うんだ。リルに『触る』と言うと、犯罪臭がするんだ」


「そ、そっか。なら、リルちゃんをモフってあげたら?」


「う〜ん......あっ」



 はい、天啓が降りてきました。




「2人同時にモフりますッ!!」




 強欲の極み、ここに来たれり。

 俺の座右の銘が『欲に忠実』になりそうだ。



「「「あぁ〜」」」



 最高ですね! もうやめられない止まらないですよ!



「じゃあブラッシングに行きますか。2人ともサラッサラのツヤッツヤにしてやるぜぇ」



 俺は聖具の櫛とブラシを取り出す。ついでに『技巧の指輪』も付け、化け物DEX状態でやる。



「おぉ、本気の装備だ......」


「では父様。お願いします」


「任せろ。最近は2人をモフり、ブラッシングをすることによって、髪を梳く技術が大分伸びてきた」



 多分、リアルの方で陽菜の髪も綺麗に出来るんじゃないのかな?


 今度、お願いしてみようかな。へへへっ。



「あ、そうだ。ブラッシングする前にフーも出しとくか」


「フーちゃんもブラッシングするの?」


「ん〜分かんない。頼まれたらやるかな?」



 多分、頼まれないと思うけど。だって、フーの髪ってほぼ透明だからな。ガラスみたいな毛にブラッシングしたら、傷がつきそうだ。



「ほい、顕現」


「おはようございます、ご主「おい」......ルナさん」



 いくらメイド服でも、それは許さない。



「ん〜? フーちゃん、今どうしてルナ君の事を『ご主人様』って言おうとしたの?」



 あっ......フー、地雷踏んだな。




「えっ、そ、それはですね――」




 はははっ! 俺の事をご主人様と呼ぼうとするからこうなるんだ。ソルに怒られてきなさい。


 フーって、愛剣の爺さん(仮)にも怒られてるし、今回はソルにも怒られてるし、何かとやらかすタイプだな。




「じゃあリルからブラッシングするぞ〜」


「はい〜」



 俺はリルを膝の上に乗せる。



「では、オペを開始します」



 まず、毛先から優しくてブラシを通していく。

 確か、いきなり髪の毛の根元から通すと、引っかかったりして毛に負担がかかるんだっけ。



「気持ちいいです〜」


「そいつぁ良かった。化け物DEXも相まって、今のブラッシングは常人には出来ないレベルだからな。存分に楽しんでくれ」



 次は、髪の毛全体にブラシを通す感じで、根元から毛先にかけてブラッシングしていく。



「綺麗な髪だよな〜、リル」


「えへへ、それは父様や母様がお手入れしてくれてるからですよ? ですので、私が綺麗と言われるのは、父様と母様が綺麗にしてくれたからです。いつもありがとうございます」



 おいおいおいおい! そんな事言われたら泣いちゃぞ!?



「......こちらこそ、ありがとう。いつでも綺麗にしてやるから、な」



 落ち着こう。落ち着いて餅......はつかなくていいか。


 そう、ブラッシングだ。ブラッシングをするんだ。



 次にするのは、襟足の近くのブラッシングだな。

 ちょっとリルの頭を下に向けてからする。こうするとやりやすいからな。



 そして、仕上げに『ツヤツヤになる櫛』で整える。




「はい、出来た。うん、サラッサラのツヤッツヤだ。めっちゃ綺麗になった......元々綺麗だったけど」


「ありがとうございます、父様。えへへ〜」


「もう、可愛いなぁ」




 リルを撫でながらモニターを見てみる。





『試合終了! 槍術部門優勝者は、『ぶっ飛ば』さんです!!!』



「すんげぇ名前だな。もはや名前ってより、ただの単語?」


「ブットバ......しかもこの方、女性なんですね」


「それもギャルだな。俺、ああいう人は苦手なんだよなぁ」


「そうなのですか?」


「あぁ。真に優しいギャルってのは人に優しく、他人との距離感を上手く取れる、とんでもないコミュニケーション能力を持ってたりするんだ」



 でも――



「でも、何も考えずに距離を詰め、マシンガントークを始めたり、あることない事ぶちまけるギャルもいるんだ」


「それは......」



 パーソナルスペースに入られると、マジでその人の事を嫌いになるもんな。



「まぁ、全てのギャルがそうではない。ぶっ飛ばさんが最初に言った方のギャルなら、俺は苦手ではないだろう」



 こういう事は、極力関わらないのが1番だな。



 ......そうしたから、友達がマサキしかいないんだろうな。




『出ました! 次の部門は、『盾術』部門です!! 盾同士をぶつけ、そのダメージをどうパリィして攻撃するか、楽しみです!』




「へぇ、盾って『パリィ』の要素があるんだな」


「パリィ、ですか?」


「あぁ。本来は『受け流す』と言う意味の言葉だが、この場合はカウンター技だろうな。

 敵の攻撃が当たる直前にガードすることでパリィが発動し、敵のダメージの何割か、もしくは盾自体のステータスで攻撃するんだろう」



 こういうのって、めちゃくちゃ判定が厳しかったりするが、ユアストはその辺どうなんだろう。



「それはまた......面白そうですね!」


「だな! でも盾は使う金属の量がバカにならんのよなぁ」


「何故ですか?」


「簡単だ。『デカイ』上に『分厚い』からだ。

 別に、バックラーと呼ばれる小さな盾にしてもいいが、それでも分厚いというのはたくさん金属を使うんだよ」


「そうなんですね。でも、どうして分厚くするんですか? 矢や剣を弾くくらいなら、別に薄くてもいいと思いますけど」



 それはそう。でもそうすると、耐久性が豆腐レベルになるぞ。



「耐久性を考えると、金属を金属で挟んで強化しないといけないんだ。オリハルコンとかの、軽めの金属をアダマントのような重く硬い金属に挟むと、より耐久性が増すんだよ」



 あれ? 硬い方で挟むんだっけ? 忘れた。


 ってか俺なら、2つの合金である『神鍮鉄』で作るけどな。


 その方が楽だし、強いだろう。......材料の数が半端ないけど。



「理解しました。盾ってかなり奥が深いんですね」


「そうだな。きっと楽しいだろうな......いつか、全部の部門で優勝したいよ」


「大丈夫です。父様ならできますよ!」


「ははっ、ありがとう。頑張るよ」




 いつか、全ての部門で優勝し、『最強』になってやる。






『最弱無敗』の称号を持った『最強』のプレイヤー。






 最っ高に矛盾していて、最っ高にイカしてる。




 俺は、そんなプレイヤーになりたい。




「さ、そろそろソルのブラッシングもしたいな」


「そうですね。私はずっとここにいたいですが、そうはいきませんよね......」



 いやぁん。ずっと膝の上にいてくれてもいいんだよ? でも今は、今だけはダメなんだ......ソルに触れたいから。



「大丈夫だ。今度、ずっと座ればいい。機会は沢山作るさ」


「はい! その時を楽しみにしてます!」



 あぁ! なんて可愛いんだこの子はッ!!


 でもここは抑える。自制心をフルパワーで仕事させる。




「お〜いソル〜、お〜い」






「もう! どうしてその言葉を選ぶの! それは私が最初に言うの!」


「嫌です! ご主人様がダメなら私はこっちを使います!」


「ダメ! 絶対に、それだけはダメ!」


「どうしてですか?......もしかして、言う勇気がないんですか?」


「そんな事ないもん! 言えるもん!」


「なら、今言ってみたらどうです? ほら、後ろにいますし......」




「お〜い、何話してんだ?」



 なんか、煽り合いのような、口論のような、謎の空間が出来ていた。


 2人の相性、悪かったっけ?




「うっ......そ、その......」



 ソルが袖を掴んできた。何それ超可愛いんだけど。



「え、えっと............」


「あれれ? やっぱり言えないんじゃ?」


「言えるもん! 言うもん!」



 何を言うんだ ?愛の告白? それならいつでもウェルカムですよ。



「......だ」


「だ?」




 だ? これはもしや、『大好き』パティーンですか?



 ふっふっふ、いいですよ。さぁこい!











「......旦那、様」











「ぐぼぁっ!!」




 俺のHPは一瞬で0になった。




「うわ〜ん、やっぱり恥ずかしいよ〜!」


「ふっふっふ。でも言えたじゃないですか。これで1歩前進ですよ!」


「そ、そうかな?」


「そうですよ!」




 ダメだ、頭の処理が追いつかない。




 何故だ? 何故ソルは『大好き』ではなく『旦那様』と言った? 俺を殺す気か? いいの? 死んじゃうよ? それは本気で死んじゃうよ?


 今、心拍数大丈夫かなぁ。ゲームが強制終了してないってことは、多分大丈夫なんだろうな。



 あ、もしかして既に死んでたり? 心拍数0なら無反応だもんね。



 HAHAHA!!! この世界に転生だ!......なんてな。




「ル、ルナ君。どうだった?」


「俺は死んだ」


「そ、それは......う、嬉しかった?」


「嬉しくなかったら死んでない」


「や、やった!!」



 いや、それは『殺った!』だろ?



「えへへ〜喜んで貰えた〜う〜れし〜い!」



 ソルが小躍りして喜んでいる。


 あぁ、なんて可愛いんだ。




「......はっ!」




 思い出した。俺が今、何をすべきかを。




 俺は椅子に座り、精神を統一する。だってこの作戦は、一発勝負だからな。




「すぅ......はぁ......よし。ソル! こっちにおいで」


「うん!」



 ソルが俺の近くに来た。



 今の俺は何も怖くない。どんな敵でも倒せる気がする。あの神龍だって、ワンパンで倒せる。



「お膝の上に座りますか?」


「い、いいの? やったぁ!!」



 ソルが、ぽふっと俺の膝の上に座った。



 残念だが、これは罠だ。




 自称、FS1番の罠師を舐めるなよ?




「へっ、かかったな!」



 俺はソルに抱きついた。ぎゅ〜っと。



「へあっ!? ルナ君!?」


「おぉ〜......落ち着く〜」



 そのまんま寝てしまいそうなくらい、リラックスできる。


 いや、嘘だわ。めっちゃ緊張してる。



「えへ、えへへ、もっとそうしていてもいいよ?」


「ならもう少し」



 う〜ん、最高。もう俺、死んでもいいわ。このまんまおサラバしますわ。






 そうして10分程、ずっと抱きついていました。






「......我、反省していない。故に謝らない」



 今になって自分がやらかした事の大きさを理解した。


 よくハラスメント警告が出なかったな。これ、普通にセクハラじゃん。逮捕じゃん。死刑じゃん?



「ふふふっ、ルナ君、いつでも抱きついていいんだよ? ここのところ、ずっと武器作ったり戦ったりして、休めてないでしょ? ゲームなんだから、一緒に楽しもうよ」


「......いいの? ひっつき虫みたいになるぞ?」


「いいよ。誰にも見られてなかったら、ずっとくっ付いていてもいいんだよ?」



「「私達は見てますけどね」」



「「2人はノーカンです」」



 でも、嬉しいなぁ。ソルに......陽菜にそう言ってもらえるのは凄く嬉しい。



「これからは存分にソルに甘えるよ」


「うん!」



 これは......かなり関係が進んだのでは? まぁ、これがどのレベルか分からないので、どれくらい進んだかは知らないが。



「じゃあ観戦しながらブラッシングしよう。もっともっと、ソルを綺麗にする」


「うん!」



 好きな人が喜んでくれるのは、俺としても、凄く嬉しいな。




 ここでキザな事をしてみよう。




「好きだよ、陽菜」


「私もだよ、月斗君」




 ぐぼぁ

さて、今回も楽しんでいただけたでしょうか?

私は楽しかったです。



あ、地味にタイトルを匂わせてますが、別に最終回が近いわけではありません。


ここにきて、主人公の最大の目標が確定しただけです。


次回、『マジシャン、ルナ』お楽しみに!

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― 新着の感想 ―
[一言] 説明不足でした^^; こちらの話では 『試合終了!槍術部門優勝者は、『ぶっ飛ば』さんです!!!』 となっていて、次の話ではダイジェストで紹介された時、 名前が違っていたのではと伝えたかったで…
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