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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第4章 第1回イベント:武術大会
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ルール内だよ、この戦い

あと少しで軽トラに撥ねられ、異世界に行きそうでしたが事故を回避して生きて帰ってきました。


本当に危なかったぜ.....!!

 



『3位が決定しました!! 剣術部門、3位入賞者は、『マサキ』さんです!!!』



 マサキはガーディ君と戦い、無事に勝利した。



 これで、俺と戦う前に言ってた『報酬の問題』はクリアされたな。


 やったな、マサキ。






「う〜ん、ど〜しよっかな〜」



 現在、剣術の決勝戦が始まるまで、黒の巣君との戦闘に使える作戦会議をしている最中だ。......1人で。



「う〜ん」



 黒の巣君の対人戦における知識量が全く分からない。


 これがマサキやガーディ君なら、一緒にパーティを組んで戦ったことがあるからある程度の動きは分かる。


 そして、今日犬子君だってプロとして活動しているのだから、どの程度の技量を持っているのか、大体分かる。



 でも、黒の巣君は分からない。



 俺が右から斬れば、黒の巣君は左に避けるのか。はたまた、剣で防御するのか。


 俺が左に動けば、黒の巣君は右に動くのか。それとも、同じ方向に動いて攻撃をするのか。



「お〜い、ルナく〜ん?」



 1つ目の考えではリスク管理能力が分かる。



 俺の攻撃に対し、自分の捧げる代償が何かで、その後の結果が変わってくる。


 避ける選択を取れば、自分の体力を代償に俺との距離を取れ、思考する時間が取れる。


 反対に、防御をする選択を取れば、剣の耐久値を代償に俺に攻撃するチャンスが増えたり、とな。



「ルナさん! ルナさ〜ん!」



 これにより、未然に黒の巣君自身のHPが減る機会を減らせるのだ。



 ちなみに、俺なら回避を取る。考える時間が増えるのは大きいからな。



 だが、俺は剣を2本使えるので、そもそもの手札の数が違う。故に、一概に『コレだけを取る』ということは出来ないな。



 果たして黒の巣君はどういう風に動くのか、本当に気を付けないといけない。






「いやん、ご主人「やめろぉ!」......気付きましたか」






 考えが纏まったところで、とんでもない声が聞こえてきた。


 なんでアイドル衣装の奴がご主人様と言うんだよ、危ないだろ?



「どうしたんだ? フー」


「いえ、キアラさんがお呼びですよ?」


「ん?」



 ん?



 んんん??? それってもしかして......




「ルナくん、出番だよ?」




 やばいやばいやばいやばい!! 決勝戦に遅れるのはやばい!



「行ってきます。超ダッシュで」


「頑張ってね〜!」


「フー!」


『はいはい、忙しいですねぇ?』



 急いでフーを刀に戻し、インベントリに送る。



「はぁしぃれぇ!! 全力ぅぅ!!」



 通路を全力でダッシュする。もう、これ以上ないスピードでダッシュする。




『そして......あれ?......あ、来ました! 対するは、白い剣とアイアンソードで戦い、2部門続けて無敗のプレイヤー、『ルナ』さんです!!』


『おぉぉぉ!!!!』



「はぁ、はぁ......ま、間に合った」



 ギリギリだ。本当にギリギリで間に合った。



「だ、大丈夫ですか? ルナさん」


「お、おう。ちょっと、全力で、走ってきた、だけ」



 息を整えないと。やばいね!



「すぅ......はぁ......」



 最初は浅く、段々深く息をする。それですぐに息は整う......はずだ。



「よし」


「あ、あの! 本当に大丈夫ですか?」


「大丈夫だよ。別に舐めプをする訳でもないし、そんなに気にする必要はないぞ?」



 ちゃ〜んと、正々堂々戦うさ......脳内シミュレーションでは。



『では。これより! 剣術部門本戦、決勝戦を始めます!』




『両者、構え!』



 さぁ、黒の巣君。今回はスピード勝負だ。




『始め!!』




「っそい!」



 まずステラを投擲する。......俺自身は黒の巣君に向かって走りながら。



「来た!」



 だよな。投擲は対処できるよな? 大丈夫、ちゃんと迎撃することも読んでる。



 だから、ステラが黒の巣君に当たる『直前に』顕現させ、手元に戻す。



「嘘っ!」



 ステラを迎撃する気満々だった黒の巣君は、思いっきり剣を空振りしてしまう。



 これ以上ないチャンスだ。



「......っ」



 ザンッ! ズバッ!



 思いっきり黒の巣君の右腕を切る。



「くぅ!!」



 残念ながら切断することは出来なかった。

 もし、ここで切断出来ていたら、俺の勝利は99パーセントにまで上がっていただろうな。



「ふんっ!」



 怯んだくらいで攻撃は止めない。まだもう1回攻撃するぞ?



 ギン!



「あ、あっぶね!」



 防がれたか。でもね、黒の巣君。これは剣術の勝負だ。でも、『足技を使ってはいけない』訳では無いんだ。



 俺は黒の巣君の足を引っ掛ける。



 すると見事に黒の巣君は後ろに倒れた。



「んなぁぁっ!!」


「ステラ!」



 剣で押しあっていた状態から黒の巣君を転ばしたので、右手が不安定だ。


 だから左手にステラを顕現させ、斬撃を放つ。



「せいっ!」



 ズバッ!



 利き手じゃないので威力は落ちるが、それでもダメージは稼げた。



「ぐはぁっ! それ、ルール違反じゃ「ないぞ? 別にこれ、『闘術』を使っている訳じゃないからな!」



 ステラを右手に顕現させ、また斬る。



「ぐばぁ!」



 今のところ、闘術って基本的にパンチかキックにしか乗らないんだよな。


 多分、これから修正されるだろうが、今は大丈夫だと思うので気にしない方向でいこう。


 ......大丈夫だよね?



「お、らぁ!」



 ドスッ!!



 転んだ状態から起き上がろうとしている黒の巣君に剣を刺した。



 すると黒の巣君はポリゴンとなって散った。



『しょ、勝者『ルナ』!!! まさかの2連続優勝です!!!』


『おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!』



「......ふぅ。レイジさんがあぁ言うってことは、大丈夫そうだな」




 今回の勝因であり、黒の巣君の敗因は簡単だ。


『避けなかった事』だ。


 まず、最初のステラを()ければ良かった。

 次に、剣での押し合いを()ければ良かった。

 最後に、動きを止める事を()ければ良かった。



 この3つが出来ていれば、俺は負けていたかもしれない。


 だって、単純な防具の強さとHPの量の差が酷いもん。


 黒の巣君が俺の攻撃を10回耐えても、俺は黒の巣君の攻撃を10回耐えることは出来ない。


 むしろ、3回もしないで死ぬんじゃないか?


 いくらブリーシンガメンでVITが2倍になってようと、流石にトッププレイヤーの攻撃はそう耐えられない。




『では! ルナさんにインタビューをします!』




 そういえばそうだった。忘れてた。



「ルナさん! 刀術と剣術、両方の優勝、おめでとうございます!!」


「あ、ありがとうございます」



 やべぇよ。試合の反省をしていたのに、急にインタビューに答えるのは難しいよ。



「では、今のお気持ちは?......また本音で答えてくれて構いません」



 あ、そう来ちゃう? でも今回、特に残念とは思っていないな。



 むしろ、そう。



「楽しかったです! 99対1とかいう地獄はありましたが、それさえ乗り越えれば、後は全部楽しかったです!」


「あ、ありがとうございます!」


「あと、これは勝手に思ってるだけですが、魔剣とかにある、HP回復効果ってあるじゃないですか。あれが使えないってのが、少し大変でしたね」


「あ〜、やっぱりですか?」


「はい。でも、これは改善できると思いますよ?『魔剣部門』と、そうでない剣の部門とかに分ける方法とかあると思います。でもこれって、最終的にとんでもない数の試合になると思うんですよ」


「そうですね。それは少し厳しいです」


「ですので俺は、そもそもあのルールを取っ払っても良いと思うんです。これからのユアストは、どんどん人口も増え、魔剣や聖剣を作れる人は増えるでしょう。

 そうなれば、モンスターの素材で魔剣を作成する人が現れ、大会に出るプレイヤーが剣を買い、その剣で出場して戦う。

 そして大会後にモンスターを倒し、採取し、製作者に素材を渡す......こういうルートが出来れば、生産に特化する人も、戦闘に特化する人も増えると思うんです」



 より、このゲームを楽しめる人が増えるだろう。



 ものづくりに興味がある者が生産し、体を動かす事が好きな人が、武器を買い、素材を集め、生産者に渡す。


 これなら、ウィン・ウィンの関係だろう。






「今のコメント、大切にしたいと思います」



「いえいえ、俺が勝手に思ってるだけですので......このゲームをより良くするのは、運営者であるレイジさん達と、このゲームの沢山のユーザーです。俺一人の意見なんて、小さなものですよ」



「ははっ、そう思われている内は改善点が多いでしょうね」




 さぁ、これで魔法部門か総合部門が選ばれるまで、俺はソル達とゆっくりできる。




「では、改めて。剣術部門優勝者は『ルナ』さんです!! 皆さん、大きな拍手を!!!」



『おおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!』



 歓声じゃん。いや、拍手と歓声、両方か。




「では、皆さんを転移しますね!」




 ━━━━━━━━━━━━━━━

 イベント会場(控え室)に転移します

 ━━━━━━━━━━━━━━━




「ただいま、ソル。リル」




「「おかえり! / おかえりなさい!」」




 ふぅ。2連続で出るだけでこんなに疲れるのに、よく前の俺は6部門も出ようとしてたな。



 ルールに助けられたな。

前書きの事、本当なんですよ。青信号の道路を横断中、普通に軽トラが突っ込んできました。


反応速度が早くて助かりました。昔からFPSゲームをやってた甲斐がありましたね!



では次回、『癒しのひととき』お楽しみに!

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