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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第4章 第1回イベント:武術大会
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強くなったね田中君

マサキとルナの戦い

 


「フー、しょうか〜ん」



 控え室に来たので、話し相手(フー)を顕現させる。



「は〜い! 皆のアイドル、フーちゃんですよ〜!」


「は?」



 出てきたフーは、何故かアイドルの様な衣装を着ていた。フリッフリのキラッキラの服を。



「どうですかこれ? 似合ってます? 結構時間かけて作ったんですよ!」


「インパクトが強い」


「そうですか?......そうですね!......あれ? これ褒められてる?」



 アイドル衣装とは言っても、元々着てた巫女服に、華美な装飾を大量に付けたアイドル衣装って感じだ。



「まぁいいや、放送見よう」


「は〜い!」



 テンション高いな。どうしたんだろ?



『剣術部門の本戦出場者は、ルナさん、マサキさん、ガーディさん、黒の巣さんとなります! アリアさん、あの試合を見ててどう思いましたか?』


『あれは......終盤の......いえ、それまでのルナさんの動きが気になりました。何故、あんなに無防備でいたのに誰にも攻撃されなかったのか、凄く気になります』


『あ〜......僕は装備担当なんで分かっちゃうんですけど、あれは基本、誰でも作れる装備によってもたらされる効果なんですよ。これ以上は言えませんが』


『そうなんですね! でも、見つからないにしても凄く綺麗に人数を減らしていましたよね?』


『そうですね、倒した人数だけで言えば、ルナさんは27人も倒してますからね!』



「へ〜27キルですかい。頑張ったな、俺」



 バトルロイヤルでこのキル数、かなり高いな。

 一般的に、バトルロイヤルは100人からなる試合なので、1人で20人、つまりは2割も倒せる事はそう多くない。


 接敵する運、確実に敵を倒せる技量、複数人と相対した時に冷静に対処出来る判断能力。


 この3つが主に必要だからな。



「でもルナさん、99人倒してましたよね?」


「あれはイレギュラーだよ。本来はこのぐらいの人数倒せれば『沢山敵を倒した』と、評価されるはずだ」


「そうなんですね!」


「そうなんですよ」



 賢いフーなら、きっと理解してくれる事だろう。そう信じてる。



『ではでは! これより本戦出場者の組み分けを開始致します!そ れではルーレット、カモン!』



 そう言ってレイジさんはルーレットを出現させた。



「4項目のルーレット......これはくじ引きが定番だろうに」


「ですよね!」



『じゃじゃん! 出ました! 1回戦目は『ガーディ』さん対、『黒の巣』さんです!』


『おぉ! 普段は盾で戦場の前に立つガーディさんが剣を持ち、前に立って戦っている黒の巣さんとどう戦うか、楽しみです!』



「初めてマトモなコメントしてない? この人」



 名前、また忘れたけど。



「いえいえルナさん、そもそもルナさんが聞いていない、という事もあるでしょう?」


「あぁ、確かに。それは申し訳ないことを言ってしまったな。ナントカさん」


「アリアさんですよ! また名前忘れたんですか?」


「うん。覚えられん。キャパオーバーだ」



 レイン君やクラウド君の名前が入ってきたので、影の薄いアリアさんは俺の脳からはじき出されてしまうんだ。



『これより! 剣術部門本戦、1回戦目を開始します!』



「はじまた」


「はじまたですね」



 始まった。ガーディ君と黒の巣君の戦いが。



「ってか俺、初っ端マサキと戦うのか。大変だな」



 マサキって、型にハマった戦い方と、その場の判断での戦いを繰り返すので、そこを見極めないと俺のリズムが狂っちゃうんだよな。



「そうなんですか? 彼、堅実な立ち回りとアドリブによる立ち回りを交互にしていたので、そこさえ見極められれば問題無いような気がしますが......」


「よう見てんな〜! 素晴らしい! 俺と全く同じ意見だ」


「ふっふっふ! この私にかかれば戦闘における癖など数秒で理解できますよ!」


「そ、そう」


「なんですかその反応! まるで私がポンコツかのような反応は!」


「理解してんじゃん」



『見る』事は出来ても、『する』事が出来なかったらそれまでなんだよな......悲しい事に。



「ガーディ君って、あぁ見えて型がないな。これは黒の巣君負けるかな?」


「どうでしょうかね? 彼、刀はダメでも剣はそこそこですよ?」


「すんごい上から目線。でも、確かにそうなんだよなぁ」



 観戦画面ではかなり熱い剣戟をしているが、少しだけガーディ君が押されている。

 多分、『常に攻める』戦い方をする人間と、『誰かを守りながら戦う』方法を取る場合、やっぱり前者が攻めるときに有利だろう。


 前者は圧倒的に、後ろに背負う重さが軽いからな。言ってしまえば、何も考えずに突撃できる。


 逆に後者は、背負うものが大きく、重すぎる。

 もし、仮にガーディ君が攻めることに専念すると、イリスさんやルヴィさんにヘイトが行って、重要な後方火力が失われてしまう。



 この差は、とんでもなく大きい。




『試合終了!!! 本戦決勝に進んだのは、『黒の巣』さんだぁぁぁ!!!』



「「デスヨネー」」



 あぁ、次は俺か......マサキ、どうやって戦うのかな?




 コンコン、とドアがノックされた。



「は〜い!」


「はろー! ルナくん!」


「キアラさん? あぁ、俺の番ですか?」


「そうだよ! カズキもやってたよね?」


「はい。あ、そういえばジャンケンがうんたらこうたら言ってましたね」


「そそ! 刀術はグーを出して負けちゃったからね〜! でも剣術も本戦に出てくれて助かったよ〜!」


「さいですか」



 有難いけど、不思議な気持ちだぁ。



 これ、もし魔法部門も総合部門も本戦に出たら、カズキさんとキアラさんの2周目が入るのか?


 ちょっとだけ気になるな。本当にちょっとだけ。


 きっと、数十秒したら忘れてるさ。



「おっと、もう出番だね! もう少し話してたかったけど、しょうがないね」


「もうですか。フー、良いか?」


「はい!」



 フーを刀に戻し、インベントリに送った。



「あ! 今のがルナくんの付喪神だよね! 確か、元イシスだっけ?」


「そうですよ。でも、もう話す時間が......」


「そうだった! ごめん! じゃあ行ってらっしゃい!」


「は〜い」




 控え室を出て、通路を歩いていく。



「忙しかったなぁ、来たと思ったらマシンガントークが始まって、そんで直ぐに入場か。マジで忙しい......いや、慌ただしい?」



 余裕を持って行動しましょう。



『さぁ! 今入場してきたのは、刀術部門で優勝し、予選2回戦目で猛者を倒しまくった、『ルナ』さんです!』



『おおおぉぉぉぉぉ!!!』



 えぇ......?



「盛り上がりすぎじゃね? これで負けたら恥ずかしいんだけど」



 こんな歓声の中で負けたら、いつぞやのトレント戦の様にスーパーネガティブ状態になっちゃうぞ?




 まぁ、とりあえず位置に着いとこ。



『対するは、あのルナさんとフレンドであり、最初に『魔剣術』を発見したプレイヤー、『マサキ』さんです!!!』



『おおおぉぉぉぉぉ!!!』



 そしてマサキも入場してきた。ってかマサキ、最初に魔剣術を発見したんだな。すげ〜



「よ、ルナ!」


「よ、マサキ」


「いや〜まさかここで当たっちまうとはなぁ」


「それは同感。できれば決勝が良かったな」


「んだんだ。賞品的にも、戦闘的にも、決勝で当たればそこそこ美味しかったのになぁ」


「それはここで負けた方が、3位決定戦で勝てば問題無い。とりあえず今は全力でやろうや」


「そうだな! よろしく頼む」



 マサキが頭を下げて礼をする。



「こちらこそ、お願いします」



 俺も頭を下げて礼をする。本来の試合は、礼に始まり礼に終わる。


 だが、この大会だと負けた瞬間にポリゴンになるからなぁ。礼で終わることが出来ないのが残念だ。


 次回ではその辺、改善されるといいな。1人のプレイヤーとして、相手のプレイヤーを尊敬しているし。礼ぐらいはしたい。



『ではこれより、剣術部門本戦、第2試合を開始します! 両者、構え!』




 俺はステラをインベントリから取り出す。


 今回は剣を弾かれ、手から離れたところを斬りこまれ、その瞬間にステラを顕現させて倒す作戦で行くか。


 アドリブも出来るよう、位置取りには気をつけよう。




「カッケェなぁ、その剣」


「だろ? ソルと一緒に作った、お気に入りなんだ」


「それは良いな!」




『始め!』




「っしゃぁぁ!」


「おぉぉう」



 いきなりマサキが斬りこんで来たので、防御した時に変な声出た。



 かなり攻撃が重かった。どんだけSTR積んでんだ?



「めっちゃ強くなってんな、マサキ」


「あったりめぇだ! ルナを倒すためにレベル上げに勤しんだわ!」


「それはまぁ......お疲れ様?」


「おう、よ!」



 キン! と音を立てて剣戟が始まる。



「いや、マジで強いな。STR幾つ?」


「教えねぇよ!」


「そうか。俺はちょうど、2,800だぞ」


「嘘つけ! 5倍はあるだろ!」


「ないぞ? 多分」



 いや、指輪達の効果でそれぐらいはあるかもしれん。



 カン!カカカン!



「強いのに早いな」


「へっ!」



 マサキ、めっちゃ強くなってる。でも動きが単調になってるな。


 そろそろアドリブ、来るかな?



「おら、よ!」


「やっぱり」



 キン!



「かぁ! 防がれるかぁ!」


「いや、弾くのがせいぜいだぞ? 今の」



 キン! とは音がしたが、感覚的には『ガンッ!』って音が聞こえそうなくらいには攻撃が重かった。



「......おらぁ!」



 来た、かち上げ。これでステラを手放せる。



「あ、しまっ」


「貰ったぁ!!!」


「ステラ」



 ザンッ!! ザシュッ!!!



「ぐはぁ! 嘘だろぉ!?」


「かったいなぁ、マサキ。俺、今ので倒す予定だったんだけど」




「......ワイバーン製の防具、オススメだぞ?」




 あぁ、なるほど。あの空飛ぶトカゲの素材か。それなら硬いのも納得だ。



「それは予想外だった。でもまぁ、俺も予想外でいけ......ば!」



 キン!



「ふはは! これは勝ったかな? ルナ!」


「さぁ?」



 俺は左手に愛剣を出し、マサキに振りかぶる。



「んなっ!」



 ザンッ!!



「おらぁ!」



 ついでにステラも投擲した。これで無理なら連撃コースなんだけど。



 ドスッ!!



「ぶはぁ!!」



 無理だった。しゃーない、こっからは単純な技量勝負だ。



「ステラ」


「うぉぉ!!」



 キン!



 顕現させてから振るったステラが弾かれた。


 マサキ、マジで強いな。反応速度が以前と段違いだ。



「っふん!」



 ザンッ!!



 弾かれながらも、愛剣で斬ってみた。が、全然効いてないだろうな。



「はっ、軽いぜ!」


「そいや!」



 これはあの付喪神さんには申し訳ないが、愛剣も投擲させてもらう。



 バスッ!



「いてぇ!」



 投擲にマサキが怯んだ、ここだな。



「っよいしょぉぉぉ!!」



 ズッバァァン!



「......ははっ、勝てなかった......か」


「いやいや、それでも今まで戦ったプレイヤーで1番強かったよ、マサキ」


「そうか......」



 マサキがポリゴンとなって散った。



『し、試合終了!!! 勝者、『ルナ』さんです!!』



『おおおおおおぉぉぉぉ!!!!!』



「......はぁ〜疲れた」



 マサキは強かった。本当に。いやマジで。

 アイツ今、レベル幾つよ?俺、本格的に最弱コース入るぞ?



「あ、そうだ。............ありがとうございました」



 俺は最初の位置に戻り、試合開始の時のように礼をした。


 礼で始まったなら、礼で終わるべきだもんな。



「っし、帰ろ」




 さぁ、控え室に戻って次の試合の作戦会議をしないと。......1人で。




「ほい、ただいまっと」


「おかえり〜ルナく〜ん」




 ん?




「なんでキアラさんがここに?」


「いや、何でもカズキは決勝の時まで居たらしいじゃん? なら私も、とね!」


「えぇ......」



 まぁ、いいけどさ。それならフーも出しとくか。



「おいで、フー」


「は〜い!」


「少しの間、雑談と作戦会議だな」



 いやまぁ、作戦会議は頭の中で行うんですけどね?





「ようやく黒の巣君と戦えるよ」






 あの時の約束、果たそうか。

リルとの狩りの後、そこで初めて出会った黒の巣君。

彼は強いのでしょうか。それとも上手いのでしょうか。

もしくは、その両方なのでしょうか。


楽しみですね!


次回、『思考と行動』お楽しみに!



あ〜、早くまほー部門を書きたいゼェ.....

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