猛者でもっさもさ、本戦出場への鍵
次回予告、ニアピン!
あ、某音ゲーで難易度マスターのフルコンボが取れまして、めちゃくちゃテンション上がりました。
『予選2回戦目では、89人の中から、本戦出場者となる4人になるまで戦ってもらいます!』
「へ〜そうなんだ」
85人もふるい落とされるのか。キッツ!
『今回は、刀術部門の予選会場と同じエリアで戦ってもらいます! 試合ルールは変わらず、バトルロイヤル形式です。ただし、上位4名のみが本戦出場への切符を手に入れられます!』
無駄にかっこいい言い方をしたな、レイジさん。
俺、そういう言い方をできる人を尊敬するよ。
だって、聞いてる人を盛り上がらせる言葉遣いを使えるって、それは才能だと思うんだ。
数ある言葉の中から、聞き取りやすく、分かりやすい言葉を選べるのは凄いよ。
「バトルロイヤルか......もっとFSで鍛えれば良かったかな?」
でも、そんな時間はありません。ソルと遊ぶ時間の方が大切です。
「経験でカバーするか。漁夫って漁夫って、漁夫の利だ!」
バトルロイヤルの基本、漁夫の利で勝ちに行こう。それが本戦出場への鍵と見た。
『それでは、控え室の皆さん! お手元のウィンドウより転移をお願いします!』
「はいは〜い、と」
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『剣術部門』2次予選会場へ転移します。
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2次予選と予選2回戦、どっちが合ってるんだ?
そう思いながら、俺は転移した。
「あぁ〜帰ってきちゃったよ、ここに」
あの闘技場だ。確か90人を斬ったんだっけ?
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1分後に試合が開始されます。
試合形式はバトルロイヤルです。
2次予選の参加人数は89人です。
最後に生き残った上位4人が、本戦へ出場出来ます。
ルール
・『剣術』及びその進化先以外のスキルの使用不可
・『その他』スキルの使用不可
・『ポーション系統』のアイテムの使用不可
・装備効果によるHP回復、状態異常回復の効果の使用不可
本戦出場への鍵を握るのは誰だ!?
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「いやん、ネックレスの回復効果ぁ......」
ダメでした。フレイヤさん、あなたの加護を受けたネックレスはステータス超強化アイテムになりました。
回復効果は見事に封印されましたよ。
「しゃ〜ない。今回は『生き残る』立ち回りでやるしかないな」
1回戦目や刀術予選のように、バチバチに戦いに行くと負けるだろう。
だって、日本一のプロゲーマーの今日犬子君が出てるんだぜ? それにきっと、マサキやガーディ君も勝ち残っているだろう。
そんな中、安定を取りに行かなかったら強者という嵐に呑まれ、予選敗退だろうな。
「さ、ステラ。お前1本でやるぞ」
右手にステラを顕現させる。
愛剣を出してもいいが、もし壊しちゃったら俺、泣いちゃうからね。精神衛生上、愛剣を出す訳にはいかないのだ。
『それでは! 予選2回戦目を始めます!!』
試合が始まり、プレイヤーが見えるようになった。
......やっぱりマサキとガーディ君が居るな。それに、犬子さんは遠くの方で既に戦いを始めている。
なら、俺のすることは?
「はい、『気配隠蔽』」
真・ギュゲースの指輪の最も尖った能力、『気配隠蔽補正:特大』を発動させる。
これでコソコソと隠れながら、打ち合いが終わり、疲弊したプレイヤーのHPを刈り取ろう。
そう、確かこの戦法の名前は『陰キャ戦法』だったかな?
「ごめんね」
ズバッ!
「んなっ!」
敵同士で戦い、勝った方が少し離れて休憩しているとこを、後ろから近づいてステラで斬る。
「今回は目立った瞬間に終わりだ」
できる限り気配を殺し、PSでも隠密行動していく。
「はぁ、はぁ、ガーディ! ルナはいたか!?」
「見てない! それより横ォ!」
「っ! すまん助かった!」
アレはマサキとガーディ君だ。どうやら2人で行動しているようだな。
全く、バトルロイヤルでチーミングとは頂けませんな。
でも、運営が何も言わないならしょうがない。運営に決められたルール内で戦うのがプレイヤーだ。
「ガーディ! さっき飛ばした奴が消えた!」
「俺もだ! 足を斬ったらそのまま敵が消えたんだ!」
「どうなってるんだ!?」
「知らん! けどやるしかないぞ!」
「分かってる!」
ごめんね。2人が削ったやつ、俺が美味しく頂いてるわ。
いい感じにHPを減らしてくれてるから、いい感じにキルスティールをしているんだよな。
そしてそのまま、残り8人になったところ――
「やぁ、マサキ君。ガーディ君。やるかい?」
「「うわぁ」」
マサキ達と犬子君が出会ってしまった。
「いやぁちょっと俺、犬子とは戦いたくねぇかなぁ」
「俺もですね。殺されるならルナさんに殺されたいですよ」
「ははっ! それもそうだね!......でも彼、もういないよ?」
「......お前が殺ったのか?」
「さぁ、どうかな?」
上手いな〜、マサキを口車に乗せて、そのまま倒そうとしているな。
でもマサキ、君の10メートルくらい先に俺はいるんだ。
犬子君もそんな嘘をつかなくとも、後ろを注意深く見れば俺はいるよ?
「ガーディ、仮に犬子がルナを殺ったとしたら、俺達で犬子を倒せば、実質俺達2人ならルナを倒せるってことじゃね?」
おい、何言ってんだ。
「それもそうだな。......戦うか?」
「あぁ、犬子を倒してルナを煽る!」
「「え?」」
何言ってんだマサキ。俺はお前の前にいるんだぞ。例え犬子君を倒しても、俺を煽る事は出来ないぞ。
「はははっ! まぁ、やろうか!」
「「おう!」」
やべ〜、なんか始まっちまったよ。これ、他のやつを倒して試合を終わらせられないか?
そう思い、闘技場を見渡してみると、ある4人が戦っていた。
「レイン! そっちだ!」
「おうよ! クラウドも気をつけろよ?」
「黒の巣さん! 後ろ!」
「分かってます!」
青い髪のプレイヤー2人と、金髪のプレイヤー2人が戦っていた。
どうやら青い髪の方は、レインと言うプレイヤーとコキュートス君だった。
そして金髪の方は、クラウドというプレイヤーと黒の巣君だ。
「......あのクラウド、著作権危なくね?」
クラウド君は、金髪ツンツンヘアーの大剣を持った戦士だった。
「う〜ん、マサキ達を殺るか、コキュートス君達を殺るか」
後のことを考えると、ここでマサキ達を落とせたらかなり本戦が楽になる。
でも、ここで負ける可能性を考えると、コキュートス君達を落とす方が安定して本戦に参加出来る。
「そうだ! 両方殺ればいいんだ!」
俺、天才かもしれん。
ここで犬子君を落とし、ついでにレイン君とクラウド君を落とす。そして最後に黒の巣君かマサキを殺れば、安定して勝利を取れるだろう。
だが、ここで1番難しいのは最初の『犬子君を倒す』事だ。多分、犬子君なら2対1でも捌けるだろう。そこにどう乱入してマサキ達の手助けをするか、それにかかっている。
「ステラ、頼むぞ」
2つ、案がある。1つは100パーセントバレるが、推定4割で勝てる方法。もう1つは100パーセント初撃はバレないが、推定1割で勝てる方法。
どちらを選ぶか? んなもん決まっている。
「男は黙って10パーだ!」
俺は静かにマサキ達に近づく。
「ガーディ、これはやばいぞ!」
「んな事分かってる!」
「2人も大分強いね! かなりキツいよ」
「かぁ! 煽りにしか聞こえねぇ!」
「落ち着け! 2人でやれば何とかいけるはずだ!」
「さぁ、そう簡単にいくかな?」
う〜む、結構ピンチなようだな。まぁ、タイミングを見計らってやるしかない。
「おらぁ!」
「っぐ! 重いね!」
「はぁ!」
「あっぶな!」
今だな。
マサキの攻撃を防ぎ、ガーディ君の攻撃で一瞬よろめいた隙に、俺は『ステラを投擲した』
ザクッ!!
「「「っな!!!」」」
「顕現」
ザンッ! ザシュッ!
「う......そ......」
犬子君はポリゴンとなって散った。
「じゃ」
「「ルナ! / ルナさん!」」
これで完全に捕捉された。もうマサキ達を倒すのは無理だろう。
なら、あっちの4人のうち3人を殺らねばならない。
「おらぁぁ!」
「ぐっはぁ!」
クラウド君がコキュートス君をポリゴンに変えた。
よし、クラウド君ナイスだ。君も同じ目に合って貰おう。
あと、ついでにレイン君も。
俺はまた、後ろからステラを投げた。
バスッ!!
「ぐはぁ!!」
「クラウド!?」
かなりHPが削れていたようだ。そのまんまステラで死んでくれた。
「顕現」
「んなっ」
ザンッ!!
レイン君もポリゴンとなって散った。
『し、試合終了です!!! まさかのルナさんの動きで、最後の4人が決まりましたぁぁ!!!』
「っし。これでオッケー」
「え、ルナさん!?」
「やぁ、黒の巣君。本当に武術大会で戦うことになって、嬉しいよ」
「あ、は、はい!」
俺が初めてまともに会話したプレイヤーだからな、彼は。
前に、『武術大会で会おう』と言ったし、本当に戦えることになったんだ。嬉しい。
「お〜い! ルナ!」
「お、2人とも。犬子君の相手、お疲れさん」
「お、おう。ってかお前、やられたんじゃなかったのか!?」
「やられてないわ! そもそも1ダメージも受けてねぇよ! お前な、犬子君の誘いに乗りすぎだぞ? あんな不確定な情報を鵜呑みにするのは本当に危険だぞ?」
「そ、そうだよな......ってかなんで知ってんだ?」
「そりゃあ、マサキの目の前で見てたからな」
「「「え?」」」
「題して、ステルスミッション2だな。別名『陰キャ戦法』だ」
「あ、あ、あの時のやつか!!」
「どの時ですか? マサキさん」
「い、いやな、王都を解放した時に、俺達は負けかけてたんだよ。でもそこにルナが現れたんだよ! それも急に!」
「は、はぁ」
「そんでルナは、その時に隠れていた方法で今回、ずっと隠れていたんだな?」
「正解だ。まぁ、黒の巣君。これは気にする問題でもないから聞き流してくれていいよ」
「そ、そうですか? 結構重要そうな事を言ってましたけど......」
「まぁ、それを決めるのは君次第だ」
滑らかに言うことによって、黒の巣君の頭から俺が『隠れる術を持っている』事をすり抜けさせる、高度な戦法だ。
『では! 本戦出場者の方々! 控え室の方に転移させますね!』
「じゃ、また本戦で」
「お、おう」
「最初に当たらない事を祈ります」
「た、戦いましょう!」
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イベント会場(控え室)に転移します。
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こうして、剣術部門も無事に本戦に出場できた。
私は前書きで何を伝えたかったのか、それは誰にも分からない.....
今回は割とマトモな戦法を取ってくれたルナ君に感謝です。凄く、表現しやすかったので。
次回!『パーフェクト』お楽しみに!
あっこれは外s(ry