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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第4章 第1回イベント:武術大会
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その頂きは、低かった

タイトルゥ!やっちまってますねぇ!!

 


「ルナ氏、出番だ。入場してくれ」


「はい!......フー、戻ってくれ」


「はいは〜い!」



 遂に決勝戦が始まる。これで勝てば、刀術部門優勝だ。



「じゃあ行ってきます」

 

「おう! 頑張ってこい!」



 扉を開け、控え室から出て通路を歩く。



「次の試合も一撃なのかな」


『どうでしょうね。『斬』の効果って、本当に何でも斬れちゃうので、ルナさんのSTRが相当格下じゃないと一撃でしょうね』


「ん? 相手のVITが高い場合は?」


『斬れますよ? 普通に。......傷は浅いでしょうけど』


「やっば。めっちゃ強いじゃん」



 何気なく使っていたが、布都御魂剣ってヤベー奴なんだな。推測だが、VITを無視した攻撃が出来るってのは色んな意味でヤバすぎる。



「まぁ、出し惜しみはしないけど」


『当たり前です。こんな時に出し惜しみするのは馬鹿のする事ですよ』


「昔の俺はよくやってたけどな、出し惜しみ」



 FSをやる前から、出し惜しみはちょくちょくしてた。......それが原因で負けることも。


 FSを始めてアテナ達に出会って、ゲームを楽しみ、『勝つ』事にあまり意識を向けなかった時、気付いたからな。『出し惜しみって、勇気がないだけじゃん』って。


 重要な場面を重要と理解せず、ピンポイントで必要な物を持っているのに、その代替品を探して。


 本当に馬鹿だった。深く考えて、手元を見るべきだった。



 まぁでも、そういう『経験』が出来たから、今の自分の礎になってくれた『出し惜しみ』君には感謝だな。



「さぁ、楽しもうか」


『ですね!』



 通路を抜けると、さっきまでの会場にでる。




『これが刀術部門、最後の試合。決勝戦です! この試合の勝者が、現時点での刀術に於ける最強のプレイヤーです!!』


『おおおぉぉ!!!!!』



『では選手紹介と行きましょう! あのガラスの様な青い刀を持った男は、予選で90人ものプレイヤーを倒し、本戦では一撃で勝利を勝ち取ったプレイヤー、『ルナ』です!!』




 うわぁ......なんか、恥ずかし〜!




 でも、入場しないといけないよな。......はぁ。



「変に緊張してきた」


『今更ですか? 予選の時見たく、面白おかしく殺ればいいんですよ』


「ん〜、うん。だよな」



 意識を変えよう。『楽しむ』のは大前提で、そこからの意識を変えよう。


 普通だったら『勝ちたい』とか、『負けたくない』とか思うだろうけど、こういう時は『自分』の事を考えちゃいけないんだよな。


 となると、意識を向ける先は『観客』となる。



「魅せプかぁ、久しぶりにやるわ」



 見てる人を魅力する、そんなプレイをする。その意識だけで、勝利すらも前提条件になるだろう。



『どうやるんですか?』


「んなもん簡単だ。今回は『透明化』と俺の立ち回りだよ。予選ではあまり見れてないだろうしな、透明化」



 透明化を見るって、ちょっとおかしいな。



『重要な手札なはずなんですけどねぇ......バラしちゃうんですか?』


「あぁ。そもそもお前が強すぎるんだよ。だからせめて、情報だけでも渡してレベルを下げよう」


『手のひらクルックルと回りますね。ドリルですよ』


「へへっ」



 もう、別にいいんじゃないかなぁ。情報だけで負けるようなら、それは俺が弱く、下手なだけだし......逆に情報を垂れ流して俺が勝てば、自分で自分を高める事に集中できる。




『対するは、堅実なプレイで安定した勝利を手にしている、『茜』さんです!! 今回も安定したプレイングが見れるのかぁ!?』



『おおおぉぉぉ!!!』



 茜さんが入場してきた。挨拶しとておくか。



「ルナさん、対戦よろしくっす!」


「対よろ」



 やべぇぇ!! また癖で軽く言っちゃった!



「あ、あ、対戦よろしくお願いします」


「はいっす!」



 ふっ、ここでは頑張って隠している『陰の者』の特徴が出てしまったぜ......!!



「あ、ルナさん、今回は刀出してるんすね」


「あぁ......まぁね。気分だよ」



 嘘です。さっきまで控え室でガッツリ話してたからです。そのまま持ってきただけなんです。



「でもいいんすか? フェンリル戦の時のように、空振りと思わせての攻撃とか出来ませんよ?」


「いいのいいの。別に出してようが出して無かろうが、アレは出来るから」



 顕現さん、マジ強い。



「そうなんすね! 言ってる意味が分かりませんが!」


「......ならこの試合で見せてあげるよ、是非味わってくれ」


「嫌です! 死にたくないので!!」



 デスヨネー



『では、これより! 刀術部門本戦、決勝戦を始めます! 両者、構えてください!』



「お、茜さんは抜刀術派?」


「はいっす! そういうルナさんは構えはないんすか?」


「ない」



 決まった構えって、一種のルーティーンと化すからな。『この構えをしないと始まらない』なんて思うようになったら、その構えを封じられた瞬間に終わりだ。




『では、試合開始!!』




「まぁ、待ちだよね」



 抜刀の構えをしてるんだもん。迎撃型だよね。



「どうしたものか」



 どうやって見ている人に、この試合の意外性を見せるか、悩む。


 あ、いい事思いついた。



「『魔力刃』......ほいっ!」



 これなら楽しんでくれるだろう。



 キン!



「あれ? 弾けるのかそれ」


『魔力刃は魔力を纏った物なら弾けますし、斬れますよ』



 へぇ......って事は茜さんの刀、『魔纏』が使えるのか?



「赤いね、その刀」


「はいっす! 特殊クエストの報酬で作ってもらったっす! ってかそう言うルナさんの刀も、特殊クエストの報酬っすよね?」


「そうだぞ」



 嘘です。自分で1から作りました。



「魔纏持ちの刀って、強いよね〜」


「そうっすね! 物理無効の奴も斬れますし、魔法との相性も良いっすからね!」


「そうそう、便利なんよな〜」


『魔纏より上の効果を持ってる癖に、何言ってんですか』



 うるさいぞ、フー。それに魔纏より上って、『斬』の事だろ? ここでその話をしてみろ、一瞬で嘘がバレる。



「じゃあその刀、こんな事できるか?」


「どれっすか?」



 俺は茜さんとの距離を少し取り、『刀を投げた』



「んなっ!」



 カン!



 上手く弾いたな。安定している、良い動きだ。



「フー」


『はい』



 布都御魂剣を手元に顕現させ、一気に距離を詰める。



「えぇっ!?」


「『斬』」


「ぐふぅぅ!!」



 VITが高いのか、やりきれなかった。あ〜あ、これで勝つ予定だったのに。



「おぉ、そんなに吹っ飛ぶのか」


『空間ごと斬ってますからね! 斬撃に耐えられても、戻ってきた空間に弾かれますよ!』


「そうなんだな」



 あれか? 海を割ったところで、戻ってきた波に押し返される様な、そんな感じかな?




「な、なんすか今の!? 刀が急に消えましたよ!」


「その刀には無いんだな、この効果」


「そんな効果、ある訳ないっす!」


「そうか」



 特殊クエスト産の刀、どんな性能なんだろう。気になるな〜


 これがもし、ソルやリルの刀を上回っていたら、俺のユアスト人生、刀鍛冶になるぞ?


 でもまぁ......顕現がないなら、顕現もある、ウチの刀の方が強いだろうな。



 お兄さん、頑張って作ったもん!




「そうか......魔纏なら魔力刃は効かないし、斬っても耐えられちゃったか......」



 思考を切り替えよう。


 ここからはどうやって魅せるか、その事を考えよう。



 そして俺は、思いついた事をする。




「ル、ルナさんも抜刀の構えっすか......」



「あぁ。さっきは俺から行ったからな。今度はそっちから来てくれ。仕切り直しと行こう」



 俺は、抜刀の構えを取った。



「いいっすよ!『魔纏』......っす」



 茜さんは刀に赤い魔力を纏い、呼吸を整えている。



 俺もしよっと。



「......ふぅ」



 どんどん思考がクリアになる。



 俺がこれからやるのは、『攻撃を見てからのカウンター』だ。

 茜さんの刀を『見てから』俺は抜刀する。



「......せぇい!!」



 あれは......剣道の上段の構えからの振り下ろしか。......なるほど、剣道経験者か。通りで安定している訳だ。



「......『斬』」



 スパンッ! ザン! ザシュッ!



 抜刀の攻撃、続く二の太刀、最後の三の太刀も決まった。



 それと、茜さんの刀が『斬』によって思いっきり刀が真っ二つになった。



「ぐふっ......」



 茜さんはポリゴンとなって散った。




『しょ、勝者、ルナ!!!』


『おおおおおぉぉぉ!!!!!』


『武術大会、刀術部門、優勝者は『ルナ』さんだぁぁぁ!!!!』




「......ふぅ、楽しかった」


『上手いこと斬り返しましたね! 二の太刀も三の太刀も、凄く綺麗でしたよ!』


「そりゃどうも。今回は綺麗に斬る事を意識したからな」



 綺麗に斬らないと、見てる側がつまんないだろう?



『......はぁ、これで私の出番は終わりですか。悲しいですね』


「何言ってんだ、総合部門でフーは出すぞ?」


『えっ! 本当ですか!?』


「当たり前だ。俺の中の最強武器を出さないで勝てるほど、総合部門は甘くないだろう」



 今日犬子さんとか、マサキやガーディ君との全力の戦いは、流石にステラだけでは荷が重すぎるだろう。




『ではルナさん、そちらに行きますので少し待っていてください!』


「は〜い!」



 レイジさんが来るようだ。インタビュー的なやつかな?



 すると目の前に魔法陣が現れ、レイジさんが出てきた。



「ルナさん! まずは優勝おめでとうございます!」


「ありがとうございます。......あ、これマジでインタビュー的なやつですか?」


「はい!」



 マジか......喋る事無いぞ?



「では、幾つかお聞きしてもいいですか?」


「どうぞ」


「では......刀術部門で優勝されましたが、他にどのような部門に出るのですか?」


「あ、いきなりそこなんですね。えっとですね、剣術と魔法と、後は総合部門に出ますね」


「おぉ! その2つはかなり参加者が多いのですが、意気込みとかありますか?」


「そうですねぇ、楽しむこと、ですかね?」


「なるほど。では今回、刀術部門で優勝されて、お気持ちはどうですか?」



 あ、そこで最初に来るであろう質問が来るのね。

 ってかこれ、本音で答えていいのか?



「......本音で答えても?」


「はい。これからの開発にも役立ちますから」



 そう言われたら本音で言うしかないだろう。



「では......『レベルが低い』と。そう言わせてもらいます。プレイヤーのレベルが低い、スキルのレベルが低い。武器のレベルが低い。そういう、少し残念な気持ちです」




 もし、ソルが出場していたら、もっともっと盛り上がっただろうな。


 ......まさか、こんな思いをするとは思わなかったが。




「なるほど。では、何か改善点とかありますか?」


「う〜ん、これは俺の考えですけど、まず『刀の作り方』を簡単にするといいんじゃないですか? レイジさん、玉鋼から作ることに拘りすぎて、刀を作れる人が少ないと思うんですよ」


「あ〜......確かにそうですね。でも、しょうがないんですよ。刀を作れるの、今のところルナさんだけですから......」



「えぁい?」



 変な声出た。


 嘘だろ? 玉鋼さえあれば、基本的には誰でも作れるだろ!?



「これに関しては......他のプレイヤーの成長を待ってください。では、2つ目はありますか?」


「あ......ならもう1つ。これは1つ目と同じような感じですけど、『刀の入手方法を増やす』って事ですかね。

 確か、特殊クエストの報酬にあるんでしたよね? そのクエストの種類を増やしたり、難易度を落とすかわりに性能を下げたやつを報酬にしたり、とかですかね」


「なるほど! そっちは改善できます! ありがとうございます!」


「お役に立てたようで何よりです」



 このゲーム、とんでもねぇ速度でユーザーの意見を取り入れるからな。


 今度、その特殊クエストを受けてみるのもいいかもしれない。



「では、これにてインタビューは終了します! 報酬の方は後日配布されますので、その時に受け取ってください!」


「はい」



「それでは、改めて......第1回武術大会刀術部門の優勝者は『ルナ』さんです!!!」



『おおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!』



 すんごい歓声だな。こういう歓声を貰うのは、始めてだ。



 ......あ、優勝したらどうすればいいんだろ。控え室に戻るのかな?



「では皆さん、これより観戦席に転移しますので、そのままお待ちください!」



 ━━━━━━━━━━━━━━━

 イベント会場(控え室)に転移します

 ━━━━━━━━━━━━━━━




 そして、ソルとリルの待つ観戦席に飛ばされた。

最初のイベントですからね。一部のプレイヤーと、他のプレイヤーとの差って、かなり大きく感じるものです。


私も、それを痛いほど経験してきました。海外では主流でも、日本では全然浸透していない戦い方で来られた時、めちゃくちゃ苦戦しました。


.....っととこんな話はどうでもよかったんです。次回ですよ次回。次の話をしましょう!



では次回!『魔境と化した部門』です!お楽しみに!



あっこれは合ってるかm(ry

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