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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第4章 第1回イベント:武術大会
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本戦第1試合と雑談

音ゲーに

新しい曲

来たんです

1ミスとって

逃すフルコンボ


ゆずあめ

 


「わお、普通の控え室」



 本戦に出るのに控え室へ飛ばされたが、観戦席の様な意外性がある部屋......という訳では無かった。



「これは座って待つしかないか。する事ないし」



 控え室にいたところで、別にすることは無い。

 試合が始まれば全力で楽しむだけだから。そのために落ち着こう、などとする意味が分からない。



 すると突然、コンコン、とドアがノックされた。



「は〜い」


「やぁ、ルナ氏」


「えっ、カズキさん!?」



 部屋に入ってきたのはカズキさんだった。



「まず、本戦出場おめでとう。それと俺が来た用件だが、ぶっちゃけ入場のタイミングを伝えるアレの係だ」


「あ〜、アレですか。あの『○○さん、出番です』みたいな」


「そうそう! キアラとジャンケンして、無事に勝ったからルナ氏のとこに来たんだ」


「それは......おめでとうございます?」



 2人でジャンケンしてまで俺の方に来てくれたのか。嬉しいな。



「じゃあ出番まで、少し話をしてもいいか?」


「もちろんです。特にルーティーンとかありませんから、じっくり話せますよ」


「それは珍しいな。なら遠慮なく話させてもらおう。まず、この控え室に関しての説明だが、次の試合で勝った時にもここに戻ってくれ」


「分かりました」


「次に、控え室に帰ってきたら次の試合の観戦ができる。特殊なモニターで観戦出来るんだが......観戦席はもう行ったか?」


「はい。観戦席に飛ばされたんで、ソルと見てました」


「そうか。ならモニターの説明は要らないな。それで、本戦の会場はちゃんとした観戦席があるからな。生で直接見るタイプだ。......よし、あと2分で出番だ」



 おぉ、やっぱり生で見た方が盛り上がるもんな。



「分かりました。特に何もせず、普通に入場したらいいんですか?」



 気になっていた事を聞こう。これでもし、何かしないとダメ......とかあるんだったら、結構しんどい思いをするからな。



「あぁ、特に何もする必要はない。

 控え室を出て、そのまま通路を真っ直ぐに行けば会場に出る。それで戦う場所だが、石のリングがあるから、そこで試合をしてくれ」


「分かりました」



 アレか、天下一武○会の会場みたいな感じか。



「よし、そろそろ出番だ。行ってくれ」


「はい、行ってきます」


「おう! 頑張ってくれ!」



 運営側が誰か一人を応援しちゃあダメだろうに......



 そして俺はドアを開け、通路を進んでいく。



「へぇ〜、普通のコンクリート......かな?」



 如何にも『試合会場に繋がる通路です』感を出してるな。



「お、出口だ」



 そして通路を抜けると、広い石のリングがあった。


 俺の予想通り、アノ会場と同じような感じだった。



『さぁ! 入場してきたのは予選試合は予選試合で唯一、90人も倒したプレイヤー!『ルナ』だぁぁ!!』



 うわ、レイジさんがとんでもなくテンション上がってる。


 とりあえずリングに上っとこ。



「ふんふんふふ〜ん」



 リラックスする事すら考えてはいけない。それが足枷になり、緊張を生むからな。

 こういう時は料理をする時のように、自由にしていればいい。



『そして対するは! 筋骨隆々の体から繰り出される斬撃は誰にも防げない! その名は、『阿吽のコキュートス』!!』



 ふはっ、名前のクセが強すぎだろ。



 そしてリングに上がってきたのは、青い髪のゴリラだった。



「え? ゴリラ?」


「誰がゴリラですか!」


「あ、すみません」



 やべぇ、挨拶もせずにいきなり『ゴリラ?』とか言っちゃった。申し訳ない。



「あ〜、ルナです。宜しくお願いします」


「あ、こちらこそ。阿吽のコキュートスと申します。普段はコキュートスと呼ばれています。宜しくお願いします」


「そうですか。阿吽のコキュートスさん」



 試合開始の合図はなくても、既に戦いは始まっている。



「えぇ、出来ればコキュートスと呼んでください」


「阿吽のコキュートスさん? どうしました?」


「......えぇ」



 うわぁ、俺、嫌われそう。



『これより、刀術部門本戦、第1試合を始めます! 両者、構えてください!』



 構えって言われてもなぁ。今はそのまま素手でいいや。



「え? 刀を出さないんですか?」


「うん」



 あ、普通に『うん』って答えちゃった。ま、いっか。



『え〜ルナさん? いいんですか? 始めますよ?』


「はい! 大丈夫ですよ!」


『わ、分かりました! それでは......始め!』




 試合が始まった。




 さぁ、一瞬で首チョンパしてやる。



「はぁぁ!!」



 コキュートス君が上段からの振り下ろしをしてくる。



 結構な大振りなので、俺から見て右側に避け、布都御魂剣を顕現させる。




「フー、『斬』」




 今、抜刀の構えをしているが、嫌な予感がする。




 一瞬で試合が終わる予感が。




 コキュートス君、VIT高いのかな? 高くなかったら、多分これで死ぬんだけど。



 よし、耐えてくれることを祈ろう。




 スパン!




「ぐぅぅ!!」




 コキュートス君の首を斬ると、そのままポリゴンになって散った。



『「え?」』




 会場がし〜んと、静かになる。




 やべぇ、まさかマジで一撃で終わるとは思ってなかった。



『ありゃま、一撃でしたね〜』



 は、はは......フーは呑気だなぁ。




「え、え〜と、レイジさん。判定は?」


『ル、ルナさんの勝ちです』


「わぁ、勝ちだ〜」



 やった〜勝った〜! わ〜い!



 ........................はぁ。嘘だろ?






 そして試合が終わって10秒後、会場がどっと盛り上がる。






『おおぉぉぉぉぉ!!!!!』



『ほ、本戦第1試合、勝者は『ルナ』さんです!! 早い、あまりにも早い!! 開始数秒で決着です!!!!』




 まぁ、こんな簡単に行くのは刀術だけだろうな。




「さ、戻るか、フー」


『そうですね。あ、おめでとうございます』


「あんがとさん」



 一撃で終わるなんて予想外だ。


 斬る前に嫌な予感はしていたが、まさか当たるとは思いもしなかった。


 それと、原因は少し分かるぞ。




 これは多分、武器の性能差が酷すぎるんだろうな。




 これが普通の決闘とかだったら、相手の武器に合わせて俺も市販の刀を使ったんだが......これは大会だ。手を抜く訳にはいかない。



 なら、この試合の評価はこうなる。




「やっぱりフーは強いな」




『もちろんです。プロですから』


「何のやねん」





 そんな軽口を叩きながら、控え室に帰ってきた。





「あ、ルナ氏......俺、まだ部屋から出てないんだけど......」


「あ、カズキさん。ただいまです」


「お、おう」



 あまりに早く終わったもんで、まだカズキさんが控え室にいた。



「まさか、ルナ氏が待機してる時間の方が長いとはな......」


「ですね。武器が弱ければ、もっと長引くはずだったんですけどね」


「あぁ〜、確か布都御魂剣だっけか? アレ、キアラとレイジの合作なんだよな」



 あの2人の合作とか、確かに強いわな。

 きっと、『ひゃあ楽しい!』とか言って、マトモに性能チェックしてないんじゃないか?



「そうなんですね。でしたら......フー、出るか?」


『え? いいんですか?』


「あぁ」



 俺はフーを降臨させた。



「おぉ、その子がルナ氏の付喪神か」


「はい。名前はフーと言います」


「そうか。俺はカズキだ。よろしくな?」


「宜しくお願いします!」



 無事に挨拶も終わった事だし、1つ言うか。



「なぁ、フー? なんでメイド服なんだ?」


「え? だってメイドにするって言ってたじゃないですか!」


「ん? そうなのか?ルナ氏」


「えぇ?......まぁ、総合部門で優勝して、家を手に入れたらメイドになるか? とは聞きましたが」



 まだ気が早いんだよな。総合部門、マジでどうなるか分からないし。



「え......で、でも......今日はこのままで行きますよ! これは譲れません!

 それに、メイド服でご主人様の応援とか、メイドの憧れじゃないですか!」


「ご主人様言うな。それと、そんな憧れを持ってるメイドがいるのか?」


「私です!!! 刀術部門が終われば、私もリルさん達と応援しますから!」



 お、おう。とんでもねぇ熱意だな。



「そうか......」


「ま、まぁなんだ。ルナ氏、頑張れ」


「......はい」



 カズキさんも引いてるじゃん。フー、最初の理知的なイメージはどこにやったんだ?






「あ! すまんルナ氏! モニター出すの忘れてた!」



 カズキさんが突然謝ってきた。



「あぁ、別にいいですよ。多分茜さんが勝ってるので」


「そうなのか?」



 そう言ってカズキさんはモニターを出す。するとタイミング良く、試合が終わったところだった。



『刀術部門、本戦第2試合の勝者は、『茜』さんです!!! そしてこれより、3位決定戦を行います!』



「あぁ、本当にすまねぇ、ルナ氏」


「気にしないでください。予想も当たってますし、これからコキュートスさんの刀も見れますから」


「すまん。そう言ってくれると助かる」



 誰にだってミスはあるし、今回は殆ど俺の責任だろ。





 それからは、コキュートス君と黒の巣君による、3位決定戦を見ながら雑談する。





「そう言えばご主じ「やめろ」......ルナさん。ルナさんは茜さんと戦うことは予想されてたんですよね?」


「あぁ。コキュートス君以外の刀は見たが、どれも酷かった。だが、その中でも茜さんが1番マトモに扱えてたからな」


「あの人は強敵になりそうですか?」


「さぁ? 強敵とか興味ないかな。ただ、強くはあってほしい」



 強敵とか戦うまで分からないし、仮にもし、茜さんが強敵なら、より試合を楽しめるだろう。



 強者と戦うのは、楽しいからな。




「ルナ氏、意外と戦闘狂?」


「ですよね。予選の時もずっと笑顔でしたよ」


「はい? いや、俺は戦闘狂じゃないですよ。そんなのはアテナで十分ですから」



 戦闘狂とか、アテナだけでお腹いっぱいだ。これで俺までも戦闘狂扱いされたら、たまったもんじゃない。



「「アテナ?」」


「あ〜......まぁ、戦闘狂のフレンドですよ、別ゲーの。この大会を配信で見てるはずです」


「あ、前に言ってた方ですか?」


「あぁ。その1人だ」


「アテナ、アテナ......う〜ん......ルナ氏、アテナって名前で強いって言うと、俺、1人心当たりがあるんだが、聞いてもいいか?」



 なんだろう? もしかして知ってるのかな。



「いいですよ?」


「ありがとう。ならそのアテナって人の名前、もしかしてこう書かないか?」


 そう言ってカズキさんはインベントリから紙とペンを出し、文字を書いていく。




『4thenA』と。




「そう書きますね。アイツを知ってるんですか?」


「まぁ、ファンだからな。っていうかルナ氏はどこで彼と?」


「FSで、ですね。同じチームのメンバーでしたから」



 どうせこれからアイツらが来たらバレるんだろうし、『ニヒル』の事とか知ってる人少ないだろうから、話してもいいよな。



「えっ......もしかして、『ニヒル』のメンバーだったのか? ルナ氏」


「はい。『アルテミス』という名前でやってましたね」


「え、えぇぇぇ!! 嘘だろ!?」



 えぇ、嘘だと言われましても......ってか知ってるんだな、ニヒルのこと。


 公式大会の名前のパワー、やべぇな。



「事実ですよ。それに昨日、久しぶりにニヒル揃ってFSやりましたから。アイツらのSNSとかに、その事は載ってるんじゃないですか?」


「お、俺、Piggy(ピギー)氏の配信見て、ずっとニヒルのファンだったんだよ!! やべぇ、ルナ氏がアル氏って、マジ? 信じられん!」



 へぇ、俺達にファンなんていたのか。知らなかったな。当時はそんな事を気にするくらいなら、ずっと試合を回してたし。



 っていうかそろそろ3位決定戦終わるけど、カズキさん大丈夫?




「やべぇ、やべぇよ......俺、人生でこんなに驚いた事はねぇよ......!!」




「あぁ......フー、カズキさんが壊れてしまった。どうしたらいい?」


「分かりません。ご......ルナさんが決めてください」


「う〜ん、なら放置だな」



 どうしようも、ありませ〜ん。






『3位が決まりました! 刀術部門、3位のプレイヤーは、『阿吽のコキュートス』さんです!!! 皆さん、拍手を!!』






「おぉ、チラチラ見てたけど、コキュートス君が勝ったか。これで黒の巣君はステータスだけじゃダメだと知ったかな?」



 彼は多分、刀の扱いが『苦手』なんだろうな。片手剣の扱いに慣れ過ぎていたり、そもそもの知識的な面から、刀が扱えていない。


 故に力任せで刀を振るっている節がある。




「そうですね。金髪に青い目の、派手な人には刀は向きません」


「おい、それなら銀髪に金の目の俺もアウトだろ」



 とんでもねぇ偏見をぶちかまして来たな。刀は誰だって使っていい。派手だろうが、地味だろうが、な。



「いいんですぅ。ルナさんは強いですからぁ」


「それはダメだぞ。人を見かけで決めつけるのは本当に良くない。女神として、人を沢山見てきたフーなら分かるだろ? それはいつか、痛い目を見ることになるぞ」



 過去の俺のようにな。




 少し前、FSとかでも流行ったもんだ。アバターの服を、初期から貰える服にして、初心者を装う上級者がな。


 どのゲームにも、所謂『初心者詐欺』と言うやつは、一定層いるもんだ。


 見た目で騙し、油断した敵を倒すやつがな。



 だが、初心者詐欺はプレイングを見れば大体見抜けるもんだ。

 行動の端々に、初心者が出来ないような細かい動きがあるからな。




 けれど、昔の俺は見抜けなかった。『ただの初心者』と、そう確信して突撃し、トラップに引っかかって負けることもあった。




「......はい。すみません。気をつけます」


「うん。そうするといい。......さて、流石にこれ以上放置すると決勝がやばそうだから、カズキさんを戻すか」


「はい!」



 折角の決勝戦なんだ、遅れたくない。




「カズキさん、カズキさん!」


「......はっ! ルナ氏?」


「はい。決勝の入場のタイミング、頼みましたよ」


「あ、そうだった。すまん。それと、決勝戦は5分後だな」


「分かりました」



 意外にも、始まるのはゆっくりだった。決勝だからかな?






「ま、始まるまでは適当に雑談でもしていましょう」


謎短歌にハマりそうです。

では、いつものアレ、いきますか。


次回、『刀の頂き』です!お楽しみに!


.....はい。当たってると、いいですね。この予告。



今回も読んで頂き、ありがとうございます!

次回も宜しくお願いします!

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