不死鳥化と大会当日
現実時間で大会当日です。
武術大会当日の午前9時頃――
「あ、寝すぎた」
昨日......というか今日、深夜1時までFSをやっていたので、きっちり8時間寝た結果、朝9時に起きた。
「メール送っておきますかな」
『ユアストに帰ってきました。再確認は終わった〜』
「と。OK、送信!」
一応、帰還報告をね......ちゃんとただいま言う派ですので。
『おかえり〜もうインするの〜?』
「えぇ、勿論。......朝ごはんを食べてからね」
『朝ごはん食べたらインする』
『了解!』
「では作りますかな、朝ごはん」
今日はホットケーキにしよう。材料は、前に陽菜と作った時の残りがある。
「いただきます」
出来上がったホットケーキを食べる。
「美味しい。トッピングとか用意してたらもっと美味しくなったかな?」
うん、次回の俺に期待だな。きっと忘れてるだろうけど。
「ごちそうさまでした」
洗い物を済ませてからインしようかな、頭の奥に余念を残さないようにしないと。
「──よし、やるか!」
洗い物が終わったので早速ログインしよう。
「おはようリル」
「おはよ〜ございます」
『おはようございます! ルナさん』
「フーもおはよう」
そういえば帯刀したまんまログアウトしてたな。
「ソルは起きたか?」
「母様は......まだですね〜」
おっと? さては寝ぼけてらっしゃるな? リルさん。
「ほれほれ〜ソルが来るまではモフるぞい」
「ありがとうございます〜」
インベントリから『サラサラになるブラシ』と『ツヤツヤになる櫛』を取り出して、リルをブラッシングしていく。
「う〜ん、サラサラツヤツヤのモフモフだ」
「属性過多ですね〜」
「可愛いから問題無し......ん? その言葉どこで知った?」
何故リルが女の子の属性を知っているんだ?
「フーさんが教えてくれました。なんでも母様は、金髪赤眼巫女服狐耳系幼馴染の彼女、だとか」
「......属性過多だな」
「でも......?」
「可愛いから問題無し」
後ろの2つだけでも俺は十分です。でも、その前の部分があると、より光るんだよな。
『大好きなんですね〜』
「当然。あ、そうだ、武術大会の後にさ、もしかしたら俺の数少ない友人(?)が来るかもしれないんだよな」
「父様のご友人ですか? マサキさんではなく?」
「うん。完全な別人。多分3人で来るんだけどさ、アイツら相当戦闘能力高いと思うから、会った時が楽しみなんだよな」
『え? 戦うんですか?』
「そう......かな? 少なくとも1回は戦うことになるだろうな。まぁ、それはかなり後の話だし、会ったら会ったで、その時にまた言うわ」
『「は〜い」』
特にアテナと戦うことになったら、布都御魂剣は必須だろうからな。あいつ、絶対に近距離特化で来るだろうし。
「あ、そうだフー」
『はいなんでしょう?』
「刀の効果のさ、『斬』とか『透明化』ってどんな効果?」
『えぇ?......そういえば今まで使ってませんでしたね。いいでしょう、この私が説明してあげます』
「なんかムカつくけど、宜しく頼む」
布都御魂剣からフーを降臨させる。
「では解説しましょう。まず、『斬』の効果は単純明快、唱えてから使えば『何でも斬れる』という効果です」
「何でも、とは? 具体的にどんなのが?」
「文字通り、何でもです。固体も液体も気体もプラズマも、魔力や空間でさえも斬れる、霊剣にのみ宿る効果ですね」
何それ。めっちゃ強そう......いや、強い効果だな。
「魔力が斬れるって事は魔法も斬れるのか......今度練習するか」
「それがいいですね。武術大会でも、使えるなら使った方がいですよ」
「そうだよな、ありがとう。それじゃあ『透明化』は?」
「そっちも単純明快ですね。刀が透明になります。ただ、使用者本人にも見えないので、刀の長さは感覚で掴んでください」
「あ、長さの感覚は大丈夫。完璧に掴めてるから」
師匠、ありがとう。あなたの稽古のお陰で、刀の扱いに慣れました。
「それは......とんでもない効果に化けそうですね」
「元々とんでもない効果だろうに。あとさ、『魔力刃』はそのまんま、魔力を使って刃を飛ばす感じか?」
「はい、その通りです」
便利そうだけど、MPの消費量が分かんないもんな。刀術部門で使って失格になったら怖いし、これは今度練習しようかな。
「じゃあソルが来るまで、リルをモフりつつ称号の確認でもするか」
「は〜い」
「リルさんのモフりは継続するんですね......」
「あったりめぇだ! こんな可愛い子、モフらずにいてどうする!」
「可愛い子は可愛い子でも、リルをさんじゃないと犯罪ですよ......」
当然だ。リルやソルじゃなかったらモフりませんよ。
「ふっふっふ。フーさんには無い魅力を私は持っているんですよ」
「ず〜る〜い〜!」
「ならフーさんも獣耳と尻尾を生やす事ですね」
「それは......難しい......です。服は変えられますけど、種族までは......」
「簡単に生えたら怖いな」
「びっくりしますね」
「お2人とも......」
ま、この話は置いておいて、称号の確認をしておこう。予選で役立つかもしれない。
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『三王の覇気』
・『王』の名前が着くスキルの効果が1.3倍
・『二王凱旋』を統合する。
『王』の名前が着くスキルを3つ習得することで獲得。
『不死鳥』
・その他スキル『不死鳥化』を習得する。
・『不死鳥化』を(ゲーム内時間)1日1回発動出来るようになる。発動時間は『スキルレベル×10分』
・不死鳥化中はHPが0にならず、10秒毎にHPが100回復する。また、不死鳥化中に『火・炎』に関する魔法攻撃の威力が2倍。
・『不死鳥化』のスキルレベルに応じ、効果が増えていく。
超高温の空間で10秒生き残る事で獲得。
『竜殺し』
・竜種に対して与えるダメージが1.2倍。
・龍種に対して与えるダメージが1.01倍。
ワイバーンを討伐する事で獲得。
『ド派手』
・効果なし
自身の攻撃を、同時に1000人に知覚される事で獲得。
『騒音者』
・効果なし
自身の発した音で、同時に1000人に知覚される事で獲得。
『ドゥルム鉱山の殲滅者』
・『ドゥルム鉱山』に出現するモンスターに与えるダメージが1.5倍。
『ドゥルム鉱山』から出ずに、1日(ゲーム内時間)で2000体のモンスターを討伐で獲得。
『ジョーカー』
・効果なし
リザルト画面に、10個以上同時にスキルレベルを上げた事を載せると獲得。
『ジュエラー』
・宝石を使用したアイテムの品質が1上昇する。
リザルト画面に、宝石を500個以上入手した事を載せると獲得。
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「やっちまったぁ!!!」
「「ど、どうしました?」」
「『不死鳥』の詳細、早く見ておけば良かった! 完全にやらかしたぁ!!」
またとんでもないミスをしでかしたもんだ。『不死鳥』及び『不死鳥化』はもっと早く見ていれば良かった......
1日1回の制限が付いてるなら、毎日使ってスキルレベルを上げておけば良かった......
「今、何曜日だ?」
「土の曜日ですよ、父様。明日は氷の曜日です。武術大会は雷の曜日なので、明後日です」
「ありがとうリル! 2人とも、ちょっと草原に行くぞ!」
「「は、はい!」」
もう、予選前にとことんミスが発覚していくな。
ペリクロ草原にて――
「じゃあ、『不死鳥化』いくぞ?」
「今更ですけどルナさん、『不死鳥化』持ってるんですね」
「あぁ。初めてのジュエルゴーレム戦で、自分の魔法を喰らって習得したようだ」
超高温の空間って、どう考えてもあの『イグニスアロー』と『アウラ』のコンビを初めて使った時だよな。.....それも全力で。
「凄いですね! それ、普通は火山で死にかけるほど溶岩に近づいた人が、稀に習得できるスキルですよ」
「ほぇ〜火山もあるのか。ま、とりあえずスキルレベルを上げるわ。『不死鳥化』!」
初めての不死鳥化だ。どんな感じかな?
「「「おぉ〜」」」
炎の翼が生えた。これ、炎なのに暖かいな。熱くない。
「カッコイイな、これ」
「派手ですね〜」
「強そうです、父様」
「ありがとう。んじゃあ、火系統の魔法の威力が2倍との事なので、使ってみるか」
「あ、あの魔法だけは全力で使ったらダメですよ!」
「あの魔法? どゆこと? フー」
「あの鍛冶にも使ってた魔法です! 火力が高くなりすぎるので、ここら一帯が灰になるかもしれませんよ」
え? そんなに2倍って高いっけ? でもここはフーを信用するか。
「そうするか。今の状況もバレたくないしな。んじゃ『火属性魔法』からアレを」
「『ファイアーウォール』」
ゴッバァァァ!!
「か、解除ォ!」
や、やべぇ。2倍とかそんなもんじゃない勢いの炎の壁だったぞ、アレ。
ファイアーウォールは本来、高さ3m、横幅2mくらいの壁なのに、今のは明らかに両方10mはあった。
「父様? 今のはやりすぎでは?」
「やりすぎたな。でも、おかしいんだよ。規定量の魔力しか込めてないのに、何故か数倍になってるんだよ」
「魔法のスキルレベルが関係してるんじゃないですか〜?」
「え?......どうだろ。そんな事、説明は書いてなかったんだけどなぁ」
もしかして『手加減』スキルと同じ感じで、隠れた効果があるのかな?
「とりあえず、1日1回は使っていかないとな。魔法は使わずとも、不死鳥化のレベルは上げとかないと」
だって今の状態、死なないらしいし。俗に言う無敵モードでは?
「では不死鳥化も解除、と」
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『不死鳥化』スキルレベルが4上がりました。
『水耐性』の効果が追加されました。
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わお、一気に4も上がったか。『最弱無敗』君のお陰で経験値美味いな。
それと『水耐性』って......もしかして雨の中で使ってたら、翼は消火されてたのか?
だとしたら面白かっただろうな〜、勿体ない事をした。
「これで50分使えるようになった訳だけど、ピンチの時に発動するのがいいよな?」
「それがいいですね。それとルナさんって、人間の形をしたビックリ箱見たいですね」
「なんて事を言うんだ。そんなやつは刀にするぞ?」
「い、いやー! リルさん助けて〜!」
「大人しく受け入れてください」
「え? 嘘ですよね!? あ、ルナさん? ちょ待っ」
刀に戻しました。
『酷い......』
「よし、そろそろ帰るか。急に草原に連れ出してごめんな?」
「いえ、楽しかったので良かったです。それに、新たな父様を見れました」
『ルナさんがヤベー奴ってのが分かりました』
「フー? 次はインベントリかな〜?」
『すみませんでした!』
少しは静かに出来ないものか? フーは。まぁ、賑やかになるから良いんだけどさ。
今日はその後、普通にソルと合流して遊んだ。
そして次の日も、ちゃんと不死鳥化を使った。スキルレベルは2しか上がらなかったけど、それでも1回の使用で上がるのは有難かった。
そして昼ごはんを食べ、再度ログインする。
現実時間、14時50分。あと10分で大会が始まるところだ。
「っし、いよいよだな」
「だね、応援するよ〜!」
「そっか、観戦だもんな。席とかは取れたのか?」
「うん! 事前にルヴィちゃんにチケット貰った!」
マジか。それはルヴィさんに感謝だな。
「魔法部門で会ったらお礼しとくかな」
「ふふっ、そうだね!」
「じゃあギルドに行くか」
「うん!」
っとと、その前にリルを起こさないと。今は一応、ゲーム内じゃ夜だからな。
「リル〜行くぞ〜?」
寝てるリルを揺すってみた。
「ん〜」
お、起きない......だと? 珍しいな。
「しゃーない、おんぶして行くか」
「そうだね! でも珍しいね? リルちゃんが起きないなんて」
「だな。いい夢なんだろう、きっと。知らんけど」
とりあえずリルをおんぶして、ギルドまで来た。
「うわ、すっげぇ人数。吐きそう」
冒険者ギルドにはプレイヤーがぎゅうぎゅう詰めだった。
「あと2分の我慢だね」
「そうだな......」
人混みは本当に苦手だ。気持ち悪くなって仕方がない。
「お、ルナ! ソル! お前達も来たな!」
「あ、マサキ?」
どこからかマサキの声がした。すると――
『え? ルナ? マジ?』
『どこ?』
『あれじゃね? うわ、マジモンじゃん!』
とかそんな声が聞こえ、俺達の周りの人が離れていった。
「うわ、俺劇物扱い?」
「ある意味、だな。でも助かったぜ! 人が多すぎて気持ち悪かったんだ」
「それは同感」
「人混みはしんどいもんね......」
「お、ソルは今回は観戦だっけか?」
「うん、ルヴィちゃんからチケット貰ったし」
「え? マジ? あいつ良く取れたなぁ」
「なんかね、
『友達が来る予定だったんですけど、配信で見たいって言ってまして。座席のチケットいります?』
ってチャットが来たんだよね」
「「へぇ〜」」
生の観戦じゃなく、公式の配信で見たい人がいるのか。そういうのは珍しいな。
「確か、運営の配信を同時視聴しながら自分でも配信するらしいよ」
「まさかの配信者だったのか」
「ルヴィにそんな友達がいたんだな」
「ね! びっくりだよね! でも、お陰で助かっちゃったよ」
「だな。......っとそろそろ時間だな」
「じゃあルナ、当たったら宜しく頼むぞ?」
「あぁ。2秒でポリゴンにしてやる」
「怖えぇ!」
そしてウィンドウが出てくる。
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『第1回イベント:武術大会』の会場に転移しますか?
『はい』『いいえ』
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「あ、リルを任せた!」
おんぶしていたリルをソルに渡す。
「うん! 一緒に応援するから!」
「じゃ、行ってきます!」
「行ってらっしゃい!」
続々と転移していくプレイヤー達と同じように、俺も転移した。
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名前:ルナ Lv79
所持金:805,240L
種族:人間
職業:『剣士』
称号:『スライムキラー』
所属ギルド:冒険者 (E) 魔法士
HP:880
MP:1,380<500>
STR:2,800(200SP)
INT: 800
VIT: 1,300(50SP)
DEX: 2,300(150SP)
AGI: 1,000(20SP)
LUC:400
CRT:50(限界値)
残りSP:370
『取得スキル』
戦闘系
『剣王』Lv100
『魔剣術』Lv62
『王弓』Lv100
『魔弓術』Lv44
『武闘術』Lv100
『刀王』Lv100
『魔刀術』Lv100
『走法』Lv0
『手加減』Lv0
魔法
『火属性魔法』Lv100
『水属性魔法』Lv100
『風属性魔法』Lv100
『雷属性魔法』Lv100
『氷属性魔法』Lv100
『自然魔法』Lv100
『龍魔法』Lv94
『古代魔法』Lv1
生産系
『神匠:鍛冶』Lv100
『神匠:金細工』Lv100
『裁縫』Lv98
『調薬』Lv1
『神匠:付与』Lv100
『木工』Lv1
『料理』Lv15
『錬金術』Lv72
その他
『テイム』Lv2
『不死鳥化』Lv1→7
<>内アクセサリーの固定増加値
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リルちゃんは今、夢の中で夢を見てます。どんな夢かは、既に出てきています。
では次回、『〇〇部門予選 1』です!〇〇には部門の名前が入る.....はずです!お楽しみに!
.....あ、やっぱりこの予告は信頼できn(ry