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Your story 〜最弱最強のプレイヤー〜  作者: ゆずあめ
第1章 語り人 ルナ
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田中君と宣言

お!と!も!だ!ち!




 お金を受け取った俺はギルドを出てログアウトした。


 現在時刻は深夜2時半。昨日の夜8時ぐらいにユアストを始めたから、ユアストの1日はリアルでの3時間くらいになるようだ。


 それからは俺は、明日......というより今日の学校の用意をした。


 朝の用意は早い自信がある。多少遅れても問題ないだろうと思い、アラームをセットしてから寝た。





 ピピピッという音がして目が覚めた。



「おはよう世界。俺はまた、ハマりそうなゲームを見つけたよ」



 まだ寝ぼけた頭で、思い浮かぶ言葉を漏らす。

 顔を洗い、朝食を食べ、制服に着替えて学校へ行く。



 その間20分。まだ俺は寝ぼけていた。



「おはよう、月斗君」


「おはよ〜陽菜」



 学校に着いたら陽菜と数人しかまだ教室にはいなかった。教室の時計を見ると7時50分を指していた。



「あ、アラーム少しミスったなぁ」


「アラーム間違えるってどうしたの?夜更かししてたの?」




 ここで「深夜まで、あと少しでずっぽりハマるゲームをしていたんだ。」などと言うことはしない。何故か?それは怖いからだ。何に?陽菜が怖い。


 実は昔、あるゲームに俺はハマったんだがそこでハマりすぎたのだ。

 1度ハマると抜け出せない俺はそのゲームのやりすぎで生活リズムが狂い、体調を崩した。

 それを陽菜がめちゃくちゃ怒った。


 怒っている陽菜はめちゃくちゃ怖かったのだ。

 この時ほど『女って怖え〜』って思ったことはない程に。

 まず雰囲気が変わるのだ。優しく明るい雰囲気を放つ陽菜が、後ろで修羅が見えるくらいに熱い雰囲気に変わる。『もう、陽菜は怒らせない』そう心に誓ったよ。



 そして、これからの改善策を考えた時にある提案が決まったのだ。

 それは『陽菜も同じゲームをプレイして、月斗がハマりすぎないようにする。』というものだった。


 まぁ、これは複数人で出来るゲームに限った話なんだが、1人用のゲームの時は、陽菜が近くで見る、ということになった。


 そして今、『ゲームにハマりそう』という発言をすれば『厄介なことが起きる』と思う反面、『いいんじゃないか?』とも考えている。多分、こういう時の『いいんじゃないか?』は上手くいかないだろうな。

 よし、少しオブラートに包んで話そう。




「あぁ、面白そうなゲームを始めてな。思ったより楽しくて寝るのが少し遅れたんだ」


「それってどんなゲームなの?」


「『Your story』ってやつだな。話題になってただろ?『凝りすぎたゲーム』ってさ」




 ━━━━━━━━━━これはミスである。せっかくオブラートに包んだのに、『思ったより楽しい』『凝りすぎたゲーム』この2つの単語で月斗のオブラートは綺麗に溶けた。



「月斗君? それってもしかして『ハマった』んじゃないだろうね?」



 はっ! ミスった! これはやばい! よりによって回避出来るはずの事象を思いっきり食らうのでは!?


 そこで声がかけられた。



「月見里だっけか? お前ユアスト買えたのか!?」



 だぁれ? この人。


 顔はそこそこのイケメン、サッカーでもやってそうな少し熱い感じの雰囲気を持つ生徒が立っていた。



「あ、うん。普通に買えたよ?ところで君は?」



 よし、ここでこの生徒を話の中心にすることで陽菜の疑いを回避できる!



「あ、俺は田中だ! 部活はサッカーをやってるんだ」


「そうなのか、田中君。俺は月見里 月斗、よろしく」



 スケープゴートにするぞ田中君! すまんな!



「おう! で、そうそう、月見里はどうやってユアストを買ったんだ?俺は今日、予約できてな。始めるのは3日後辺りになるんだ」


「俺は普通に予約できたよ。だから昨日から始めたんだ」



 よし、これなら陽菜の疑いを回避できる!



「それは凄いな! 確か初日に始められたプレイヤーって1000人もいないんだろ? 他のプレイヤーの事とか少し教えてくれないか?」


「そうなの? 知らなかったよ。でも今気付いたけど、楽しくて周りを見えてなかったから、他のプレイヤーの事は分からないし、スキルについてとかで良い?」




 ━━━━━━━━━━やってしまったな月斗君。君の物語はここで終わりだ。

『楽しくて周りが見えてなかった』それだけ言ったら陽菜は分かってしまう。




「おう! もちろ「月斗君?」ん......どうした鈴原?」


「あっ陽菜......あの、その......違うんだ! いや、違くはないけど............」



 全力で頭を回せ俺!!


 別に陽菜がユアストを始めても何の問題もない。


 だが、俺と出会ってしまうと問題がある。

 俺は多分、今日には剣術にハマる自信がある。そこで剣に没頭した俺を見たら陽菜は絶対に何か言うはずだ。


 道場時代の俺を知っている陽菜ならきっと何がなんでも一緒に居ようとするだろう。


 ってそんなことを考えている場合じゃない!

 言い訳を......何か良い言い訳を......ふふっ『いいいいわけ』......ははは! 『い』が4つも繋がってる、なんかおもしろいな!


 そんな自分のアホ思考は顔に出ていたのだろう。俺は笑ってた。



「もう! 絶対ハマったんでしょ! 分かるよ! 私もユアスト始めるから!」



 あはぁ〜! もうどうにでもな〜れ!(思考放棄)



「お、鈴原もユアストを始めるのか! ならタイミングが合えば、3人でやりたいな!」



 いいなぁ田中君、俺ももう何も考えないでいいや。



「そ、そうだね田中君! 3人でユアストやろう! 俺は楽しみだよ!(あと3日で剣術を極められるか)」


「えっ、月斗君が誰かとゲームをするなんて珍しいね。というより初めてじゃない? 月斗君が自分から他人とゲームをしようと言うのは」


「そうか? それもそうか。まぁ、新たな試みということで。2人が始めるまで俺は適当にやっておくよ」




 そう、嘘だ。『適当』なんて言ったが、全力で楽しんで極めるぞ。3日で剣術に使える考え方や体捌きを研究するのだ。




 そしてスキルについてのあれこれを話していたら始業のチャイムが鳴った。

田中君、君はまだ知らない...月斗がストイックすぎる事を...!!

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