図書館へ行こう。
反省会が終わり、駅に向かう小針と大橋は一緒に学校を出発した。
市内組は市内組での帰宅だ。
二人は葱市外から電車で通っているのだった。
途中、ふと大橋が自転車と止める。
「とわ?」
「あのさ。かんとく。おれ、図書館に寄らないといけないんだよね。だから、先帰ってて」
「そっか。お前図書館好きだもんな」
「勉強はできないけど、本読むのは好きなんだよね」
「おれは漫画なら徹夜したって読めるのにな〜」
「好きだね。ってかさ。そんな時間よくあるよね?かんとくって成績は悪くないのにね」
小針の成績は上の中くらいだ。
その反面、大橋は中の上。
読書家な割に成績は伸び悩んでいるようだ。
「おれ?おれは。寝る時間なんていらないんだよね」
「え?嘘でしょ。おれ、9時には寝ないと持たないし」
「逆にそっちのほうが冗談だろう?子供かよ。せいぜい3時間くらい寝れればいいほうかな?」
「バカじゃないの」
「うるさいな。そういうお前は、睡眠も読書の時間もすっかりとるから勉強できないんだろう?さっさと白木に勉強教えてもらえよ」
「んなこと言われなくたって教えてもらってます〜」
大橋は小針に「い〜」っと悪態をついた。
子供か。
小針は苦笑する。
そして、なんだかふと。
今日は図書館という場所に足を運んでみたい気がした。
「おれも行く」
「ええ?かんとくも?いいよ。一人でゆっくりしたいし」
「いいじゃん。おれも行く。ゆっくりしたっていいよ。待ってる」
「人に待ってられるのってなんだか好きじゃないんだよね〜」
大橋は典型的長男気質だ。
こういうところ、人に気を使うのだ。
だけど、気にしていられない。
小針は自転車を走らせる。
「じゃあ、お先〜」
「おい!待てこら!」
面倒だ。
そういう気持ちになっている大橋だが、渋々と小針の後を追いかけた。
いつもありがとうございます。