01_村長、過疎に悩む
この作品は「勇者来ないんだけど」の続編です。
できればそちらから見ていただければと思います。
ここは特にそんなに特徴もなく、一番近い街へは徒歩5日6日の山越えをしなければいけない立地最悪なド田舎です。
景観360度が森ですし秘境にも近いような立地の村なので、当然ながら人や物の行き来なんて殆ど無いです。
若者の大半は仕事を求めて他の所へ行ってしまうし、人口減少やら高齢化やら空き家問題やら、もう本当に深刻なことになってきています。
・・・で、廃村まっしぐらな村の村長なんて誰も立候補しなかったもので、最終的にジャンケンで私が村長に就任することになってしまった次第なんですよ。
正直全くやる気は湧かないのですが就任したからには村長として活動しなくては…と今までの資料や収益などを見て回っているのですがね。
雀の涙の税金ではどうにもならない問題ばかりなんですよ。
・・・はぁ
「おや、新村長じゃないですか。
朝からため息なんて吐いてどうしたんです?」
おや村人A、おはようございます。
どうにもこうにも人もお金も無さすぎて、減ることはあっても増やす方法が思いつかないのですよ。
申し訳程度の空き家対策に「入居者募集」って看板を空き家の前に立ててみたんですけどね。
よく考えなくても外から来る人が年に数えるほどしかいない村でそんなことしても効果なんて無いですよねコレ。
「・・・あ。ならいっそのこと屋根にも入居者募集の看板つけておいたら如何ですかね。
聞いた所の話だと空飛ぶ絨毯とか空飛ぶ馬が出るシリーズがあるらしいので見てもらえるかもしれませんよ?」
し、シリーズ???
・・・ま、まぁ村の認知度を上げる可能性があるならやる価値はありそうですし、
もうこの際勇者でも天使でも来てくれるだけ良いのでやってみましょうか・・・
・・・で、
「村長!早速訪問者が来ましたよ!!」
えぇ!?
まだ看板とりつけて2時間しか経ってないですよ!!
まだ歓迎のステージの用意もスピーチの原稿も無いんですけど!!
「いやいや、突然訪れてしまったのは私なんですから」
・・・ん?
ズシン
ズシン
「いやぁ、今夜寝る場所にも困っていた所だったので助かりましたよー!
これからよろしくお願いしますね。村長さん」
・・・。
・・・・・・。
何か予想より百万倍くらいすごいのが来ちゃいました。