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wonder hole -last player-  作者: にゃこ
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キシュ-3


サマーティーは恐る恐る剣をとる。この男の言っていることは正しいのか??試されているのか??どっちなのか区別がつかない。

そうこうしているうちにジョシュアは攻撃してくる。彼が繰り出す剣は鋭い。

その攻撃を大きな剣ですべて受ける。


「まだ信じれていないのか。…仕方が無い。」


ジョシュアは攻撃を止め立ち止まり呪文を唱える。


「マグヌメルム」


サマーティーの足元が突然地割れをし、砕けた床は宙に舞い、勢いよくサマーティーの体に降り注がれる。この魔法は知っている。前にキシュが繰り出した魔法だ。


「そんな…。」

「ぼやぼやしていては君が死ぬだけだよ。僕を信じてその力を見せなさい。」


どうすればいいのかわからない。

けれどもジョシュアの魔法は繰り出される。

強力すぎてこのままじゃ本当に死んでしまう。

どうすれば俺の力を見せれる?

相手を傷つけずに…


どうすればいい?



『強くなろう。』



ふとあの時のキシュとの会話を思い出す。

強ければ交わすことができる。

殺さずに力量を図らせることができる。

ジョシュアの剣がサマーティーの足にかすれる。

その瞬間傷口が燃え上がる。


「うぁぁぁぁ!!!」

「今ので、泣いてちゃ。マリアンヌは守れないな。」


サマーティーは急いでポケットの薬を足にかけた。

炎は消えたが少し火傷が残る。


「泣いてないっすよ。」


必死で強がり。

痛みを味わう暇などない。

剣をすぐさま構える。

ジョシュアもそれに答えるように剣を構える。


間合いもくそもない。


ジョシュアは魔法と剣術両方の使い手だ。

案の定、ジョシュアは構えた劔から炎の魔法をくりだす。もう逃げようとはしない。とにかくジョシュアに近づく。近づかなければ、彼にこの刃をあてることすらできない。体を襲う火傷に構ってなどいられない。

ジョシュアは後ろへと軽いステップで跳ねて距離をとる。その際、劔をサマーティーの心臓へ向かわせた。スローモーションに向かう劔。とっさに体を斜め右下にそらす。劔は頬をかすめ態勢が崩れて転げる。すぐに立ち上がり、ジョシュアに向かう。サマーティーは大きくジャンプする。その姿にジョシュアは少し驚く。頭上からサマーティーの刃が降りかかる。ジョシュアは防御の体勢になる。

逃げれないことを知っている。

しかし刃はすんでのところで、ピタリととまった。

並大抵のことではそんな芸当はできない。



張り詰める空気。


荒い息遣い。滴り落ちる汗。

剣をさらに振り上げ体を地につけると同時に倒れこんだ。今できる己の力全てを出しきった。

肩が大きく動く。


少ししてジョシュアは笑って顔をサマーティーに近づける、それに応じるサマーティー。

目と目があう。

すると突如繰り出されるデコピン。

あまりの痛さについ声が漏れる。


「君は本当に頑なだ。僕に傷を付けずにここまでやるなんて。」


サマーティーはジョシュアを見上げた。


「ゼティアを越えたね。」


にっこりと優しく微笑んでいた。


「え?」

「今の技はゼティア…ゼルベルダの技だ。あいつは君みたいに、すんででとめるなんてできなかったけど。」


きっと父が力を貸してくれたんだ。

小さく父に感謝の言葉を贈る。


「いいだろう。マリアンヌにあわせよう。」

「キシュはどこに?!」

「あそこだよ。グビド達によろしく言っといてくれ。」


ジョシュアの指す方向へ振り向くと目の前には夕日と草原が広がり、光がみえた。急いでジョシュアの方を振り向く。誰もいない。あの部屋もなくなっている。後ろも夕日と草原だけ広がっている。シャザンヌと話していた場所に戻ってきていた。


ジョシュアの言っていた通り別領域にいたのだとその時初めてわかった。


光に飛び込むと漣が聞こえた。

あたりは暗く月の光が優しく光っている。

海に人影が見えた。

胸のあたりまで水にしたっているのがわかる。

サマーティーは急いで海の中へとかけこんだ。


叫んだ。

声が出る限り叫んだ。



水はキシュの肩を包む。

走ろうにも水に足を取られる。サマーティーは水の中に潜って泳いだ。白い腕が見える。思いっきりつかんで、顔を海面からあげた。そこには驚いた顔をしたキシュがいた。


何か言ってる。

手を振りほどこうとしている。


そんなことは知ったこっちゃなかった。

力のある限りキシュを引き寄せて抱きしめた。

拒む力はは徐々に緩まっているのがわかる。

力一杯抱きしめていた。


「痛い…」

「ごめん。」

「なんでここにいるの?」

「連れ戻しにきた。」

「あたしは戻りたくない。」

「逃げるのか?」

「逃げるとか…そんなんじゃ…」

「今キシュが逃げたら、みんな死ぬぞ。」

「…なんであたしが戻らなかったら死ぬのよ?」

「お前しかシャザンヌを止められないからだ。」

「ねぇさん…」

「お前のせいでシャザンヌは変わったんだ、それを止めれるのはお前しかいない。逃げるなキシュ。けじめをつけろ。」

「ねぇさんを二度も傷つけろって?そんなの嫌。それにあんたも嫌なんじゃないの?」

「違う。」

「…シャザンヌを傷つけることは確かにいやだ。けど、そうすることでシャザンヌは救われる。」

「どういうこと?」

「今のシャザンヌは操られてる…勝手に体を利用されて世界を壊そうとしている。そんなのシャザンヌは望んじゃない。だからシャザンヌを止めることは彼女自身の願いだ。」

「なにそれ?そんなのあんたの勝手な妄想なんじゃないの?」

「妄想…。だとしても俺はシャザンヌを止める。」

「…」


「あんたはねぇさんと戦えるはずない。」

「戦える。」

「ねぇさんが好きなのに?」

「俺にはシャザンヌ以上に守らないといけない人がいる。」

「俺が守るから。何があっても最後まで守るから…」


サマーティーはキシュの両腕をもち、少し離した。やっとお互いがお互いの顔を見つめる。サマーティーは真剣な。キシュは涙でいっぱいな顔をしている。


「戻ってきてくれ。マリアンヌ。」


返事は帰ってこない代わりに、首が小さく縦に動く。海の水は一瞬にしてどこかへいってしまった。

光が当たりを包む。




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