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wonder hole -last player-  作者: にゃこ
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待つ者・進む者-1


キシュたちはどうすることもできず、とにかく今は宝珠の件が収まるまではここで待っていることでみんな納得した。突然の出来事にまだ頭がついて行けてなかった。機種はため息混じりでマリーにコロッツィオと一緒にザルアへ行くことを確認すると、ミンキュが異様なまでに驚いた。


「今はやめた方がいい」


ミンキュはただその一点張り。

どんなに聞いてもなにも答えてはくれなかった。


「今はってことは後々行ける…ってこと?」


コロッツィオが問いかけると、ミンキュの口がようやく開いた。


「…多分…。」


「どういうことなの?」


キシュの問いかけにミンキュが答える。


「…ポリアンって知ってる?」

「?ザルア諸国で1番の大国でしょ?それくらいは知ってるわよ。」


オーランソ大陸の北東にある半島にあるポリアン・アサト・コウレン・フィソルの4つの国々で構成されているザルア諸国。ザルアと言っても国によって政策が異なっており、大体の国は開放的であるが、一番の大国であるポリアンは閉鎖的な国だ。先先代と先代国王が統治している時は奴隷解放や、開国の動きが盛んであった。けれど現国王・ロボが王位を継承するとその政策が180度変わり鎖国的な国に戻っている。奴隷に関しても解放は白紙だろう。


「あの国が今内乱勃発中なの…」


その発言にジョージが反応する。


「??俺はまだそこまで大事になっていないと聞いているが…」


軍に所属しているジョージが知っている情報は国民のデモ活動が活発になり近々衝突するかもしれないというものだった。しかしミンキュの知る事実とは異なっており、現在のポリアンはいつ内戦になってもおかしくない状態とだけだった。


状況はまぁまぁやばそうでミンキュの話をまとめると


もう内戦になっているということ。

きっかけは奴隷解放運動をしていた知識人の死だ。

それを皮切りに、解放軍と国軍に分かれ国中がどんぱち状態となっているらしい。


それに問題はコロッツィオだ。

今ポリアンは他のザルア国家にいるソリティアを拉致もしているらしい。他の国々はポリアンにたてつけず、何もできない状態。


危険でしかない


話している途中で下の階が騒がしいことに気がつく。一同は扉を開け下の階を見下ろす。そこには鳥の羽のウォームネックのついた皮のローブを羽織った3人がいた。ひとりはサマーティーの両親と同じ年の女性で、後の2人はキシュ達よりも少し年が上に見える男女だ。3人とも蒼い髪で瞳を閉じている。

年長の女性がキシュ達が覗き込んでいることに気がつき、ゼルベルダを呼ぶ。


「ちょうどよかった。降りてきてくれ!」


キシュ達は下の階へ降りる。サマーティーは興奮気味で真っ先に下へ駆け下りる。


「ちょっ!父さん!この人達って!」

「全くお前は…」


呆れるゼルベルダとメグを横目にクスクスと笑う女性。


「ごめんなさいね。イザナさん。この子ったらもういい年なのに…」

「気にしてないわ。本当にあなた達の子供ね。そっくりだわ。」


にこやかに女性は笑う。


キシュはイザナを見てまた何か思い出しそうになった。けれどもやはり考えれば考えるほど。思い出そうとすればするほど頭が割れそうに痛む。

痛みでまた声が少し出る。コロッツィオが心配そうに体を支えてくれる。


「ありがとう…。大丈夫…ちょっと目眩しただけ…」


キシュは優しくコロッツィオのてを取り支えてくれたことに感謝する。

イザナは時間がないことを悟る。


「初めまして。私はイザナ・ケーニング。ソーサー達をまとめる者の母です。こちらは息子のイースと付き人のアリナです。」


3人は一礼をする。


「ゼルベルダ。準備はできていますか?」

「あぁ。キシュ。炎の宝珠を渡してくれないか?」


ゼルベルダがキシュに問う。

キシュはポケットにしまっている宝珠を手にするが、言いようのない不安に襲われる。はっきりわかる。これは渡すとダメだと。何か嫌なことが起こると…。

キシュは渡すのに躊躇した。不安は鼓動を早める。だんだん呼吸が荒くなる。


「キシュ!!」


明らかにおかしい…震える腕を掴む。咄嗟に手が出てしまった。

サマーティーに掴まれて腕が痛い。


「大丈夫…だから離して。」


少し落ち着いたような気がした。震える手でサマーティーを払う。キシュはゼルベルダに炎の宝珠を渡すと、心配そうにゼルベルダを見つめる。


「無茶は…しないでください…。本当に…本当に!」


サマーティーと同じ優しい笑顔が帰ってくる。


「ありがとうな。本当にいい子に育ったな…。」


頭に大きな手がかぶさる。

そして、イザナ・ゼルベルダの二人はベルゾナッドの洞窟へと向かって行く。


イースとアリナは家で待機。

2人は静かに座っている。彼らはずっと瞳を閉じているのに、何がどこにあるのか手に取るようにわかっているように感じられらた。


メグがお茶と、茶菓子を用意してくれた。

みんなはソファに腰掛け、2人の帰りを待つことにした。だれも話そうとはしなかった。沈黙が響く。


ジョージは席を立ち、メグの後を追う。

メグは台所で作業をしている。


「あの…すみません。」

「どうしたの??」

「グビドはここに来られるんですか??」

「グビドはゼルベルダ達のところへ先に行くと言っていたわ。仕事が終わったら一緒に戻ってきてくれるはずよ。」

「そうですか…。ありがとうございます。」


グビドは、必ず来る…んだよな?

ジョージの心に少し疑念が湧いた。それはメグにも湧いているようだ。いや。希望に近い形だろうか?

再び、リビングへと戻っていく。


リビングにいるイースがキシュを見つめていた。いや正確に言えば見ていないのだが顔をキシュに向けている。


ー彼女だけオーラが違う


アリナは気づいていない。それもそうだ。隠されている…。


ソーサーは光を奪われた一族。けれどもビジョンが頭をよぎる。暗い明るいも大体わかる。障害物があるとかもわかる。ただわからないのは外見だったり見た目。そういったものはわからない。

ここにいる人々はそれぞれ種族が違う。オーラと音がそれを教えてくれる。

ザルア、ソリティア、フィルディア、パソナ、マキニア…。けれども一人だけ、違和感を感じるパソナが居る…。自分たちソーサーに似た…いや…似ていてそれとは全く異なる…。今までに感じたことのないオーラがチラつく…。母は知っているのだろうか?

イースは気になって仕方がなかった。思わずキシュの前へ足が進む。


「?」


抱えていた頭を上げ、目の前に立っているものを見上げる。


「すみません…。あの、あなたは…?」

「?私?キシュよ。何?」

「無礼を承知で質問してもいいだろうか?」

「別にいいけど…何?」

「あなたは何族ですか?」


拍子抜けした。いや。呆気に取られたといったほうがいい。そんな当たり前の質問をされるとは思ってなかった。


「私の種族?フィルディアよ。」

「え?」


その返答は思いもよらないもので、驚きを隠せなかった。


「キシュってフィルディアだったのか?俺はてっきりパソナかと思ってた。」

「私も。」


仲間の皆も驚いたようだった。キシュは苦い顔で笑う。


「いつも間違えられるの。でも父さんは生粋のマキナ。母さんのことはよく知らないけどパソナだって父さんから言われてるの。」


「そうですか…。すみません突然変な質問をしてしまって…」

「気にしてないわ。えっと…」

「イースです。」

「イース。あなたは?ソーサーで。最高長なの??」

「いいえ。私の兄が長です。私は主に母の元で修行しています。」


さっきまでの表情はなくなるイース。その様子を見ていたアリナは驚いていた。なんせ、イースは元来寡黙で、滅多に話などしない人なのだ。そんな彼が見知らぬ人に話しかけるなんてことはここのところ見たことがなかった。それだけ、あの少女の種族が気になっていたことだ。アリナからすると、それほどまで気にかけるようなことではないのになぜイースが気に掛けたのか不思議でたまらなかった。



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