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wonder hole -last player-  作者: にゃこ
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休息-5


ミンキュはミリョウに今まで起きたことを話した。

宝珠のことを隠して。


「不味すぎでしょ…」

「そうだよ…。最後あたしが見たのは、国王様の部屋から出てきたとこ…」

「国王様の?!国王様は?!大丈夫なの??」

「わからない…。そこから戦闘が始まって…気がついたらあたし1人がここにいる…。絶望的だったよ…。あたしも如月も覚悟したからね…。」

「なんなの…あの女…。」


部屋にノックが響く。


「ドクター。まだかかりそうか?」


ミンキュの知らない声。

この家の住人だろう。


「あんたが意識もどったことは伝えても問題ないかしら?」

「うん。大丈夫。」

「オッケー。それじゃまた来るわ。」


荷物をまとめ、扉を開けるミリョウをジョージが迎えている。扉が閉じるまでの少しの間に見えた姿に見覚えがあるように思えた。

これからどうすればいいのか考えようとしたけれど全く何も思い浮かばない。如月の安否が気になって仕方がない。

どうすればいい?

何度も何度も空に問いかけるのに何も返答はない。

二つの足音が部屋に向かっている。扉が開かれた途端、ミンキュの声が漏れてしまった。

あまりにも突然でそして想定していなかった。

思わずこぼれた声をジョージは聞き逃さない。


「?なんだ??お前たち、知りあいか?」

「へ?…」


間の抜けたサマーティーの返事。

ジョージは少女を問い詰めることを優先した。


「お前は何者だ?何故、あんなところに現れた?」


こんな時どうする?敵に悟られずうまく切り抜ける方法は?考える。今は適当にはぐらかすしかない。

記憶を無くしたふりをすればどうにかできるのでは?なんて間抜けな考えしか思いつかない。

そうこう黙っていると、ジョージがしびれを切らしたのか、ミンキュの肩を掴もうとした。

避けようと体が無意識に動き激痛が走る。


「!!!」


堪え苦しむ。

声は漏らさない。

痛みに対するいつもの癖。


流石の状況にジョージもサマーティも尋問をためらった。何と言っても、目の前にいるのは動くのもままならない少女だ。


「明日改めて教えてもらうぞ。」


扉は静かに閉じられた。

安堵が心に広がる。しかし問題は全く片付いていない。なぜ自分がここにいるのか?そして、仲間は?あの女をどうすれば止められるか?やらなければいけないことが山積みだ。考えるのが面倒すぎる。体はボロボロ。そのせいなのか、眠気がミンキュを襲う。寝てはいけないのはわかっている。わかっていても体が言うことを聞かない。暗闇が辺りを包む。




「サマーティーは本当に知らないのか?」

「うーん…。女の子なら忘れるはずないんだけど…」


呆れるジョージはため息。サマーティーの言ってることは嘘ではないだろう。根っからの女好きだ。ということは、一方的にあの子がしっているのか…。


「とにかく明日にしないか?」

「そうだな…。意識が戻ってすぐは流石に無理だしな…。」


ゆっくりとした時間が流れる。

この間まで戦い続きで平穏な当たり前が新鮮に感じられる。


ジョージとサマーティは元気と言ってもやはり疲弊していることには変わりなかった。ジョージはこのあいだの王の墓について気になることがあるといい、部屋にこもっている。アベド信者たちの隠れ家もしれないのなら、徹底的に調査をいれるべきだ。本国へ報告するのだろう。


サマーティはというと…


「…だぁぁぁ!!だめだ!気になる…気になる…」


遺跡での写真の現像作業をするも気が気でない様子。それもそのはず。王の墓でサマーティはちゃんと見ていた。ジョージとキシュが仲良さげに笑い合っているのを。マリーやコロッツィオならともかく…


「ジョージ!ジョージって!!」


男の目から見てもかっこよくて、不意に惚れかける男。自分も惚れた…


ークールで実は優しいとか反則でしょ?

ーもしかして…ジョージはキシュのことが好きなのか?

ーいやいや…待て待て…マリーとコロッツィオにも同じような態度だよな…!

ーそれじゃ…ジョージ→キシュラブはない?


ー待て!最悪


ーキシュ→ジョージラブなのでは?!!




「うわぁぁぁぁ!!!!どうすればいいんだ…」


サマーティは意を決してジョージと喋ることにした。扉を開けるとそこにはまさかのジョージ。


「うわ!なんでいるの?」

「いや。すごい叫んでたから…」


ジョージも不意の出来事に驚いている。


「部屋にいてもあれだし…どう?散歩?」


そうして2人は外へ散歩に出かけることにした。この辺りは自然が豊かでとてもいい。家も少ない。どちらかというと別荘地だろう。

木漏れ日が眩しい。


「ほいっ」


目の前に差し出される瓶。

ジョージは受けとる。サマーティはキャップを回し口へ。既製品であることを確認し、ジョージもまた口へ。少し柑橘の香りが広がるよくある酒だ。


「あんさ…変なこと聞くけど、ジョージは彼女いないの?」

「本当に変なこと聞くんだな。いるわけないだろ。」


ーおーおー。やばい


「それじゃーさ…好きな人とかは??」

「いないな…。」


ーやったー!


「おまえ…俺がキシュに惚れてると思ってるのか?」

「!!!」


口に入っていた酒は霧吹きのように飛び出す。

ニヤリと微笑むジョージ。


「おまえって戦ってる時以外はポンコツだな。」

「なっ!」

「安心しろ。俺にとってキシュは気の合う奴だ。」


ーそれが一番やばいやつだから!


心で叫ぶ。


「おまえは少しアタックしすぎなんじゃないのか?」


ーそんなのわかってる


ムッとする


「知ってるか?大抵の女って押されるの嫌いなの?」


またニヤリとする。

その笑み…。まさか…


酒を飲み干し、ジョージは立ち上がった。

サマーティがジョージを問い詰めようとするも、はぐらかされつづけ、結局何も分からなかったけど、ライバル視してもいいように思えた。


家へ帰るとジョージは部屋で筋トレをするといって上へ上がっていき、サマーティーは久方ぶりの親子の団欒。


「ところでお前がついておきながらなんだ?あのざまは。」

「久しぶりの団欒で始めがそれはキツイって父さん。笑。」

「はは。そうだな。こんなのいつぶりかな?」

「俺が大学辞めるって決めた時だから…8年振りかな?」

「そうか…。もうそんなに経つのか。しかしお前。腕落ちたんじゃないのか?」

「んなことないって!…。」

「どうかな…どうだ?久々に?」


ゼルベルダはニヤリと笑ってサマーティーに問いかける。


「腰言わせても知らねーよ?」


同じ表情の2人は立ち上がり、外へ向かう。

広い庭に、少し大きな納屋。ゼルベルダはサマーティーを待たせ、納屋へ入っていく。しばらくして、長い木刀二本を右手に持って煽る出てきた。左手に木刀を一本持ち、それをサマーティーに投げ渡す。サマーティーの手に懐かしい感触。試しに一振り。風をきる音がこそばい。


「これ振るのいつぶりだろ…」

「いつぶりだろうな?私も忘れたよ。」


そう言うや否や、ゼルベルダが攻めてくる。

甲高い音。


「親父せこっ…。」

「せこいもクソもない。いかなる時でも集中を切らすなと教えたはずだぞ?」

「わーってるって。だから、受けれたんじゃん。」

「そうだなっ!」


甲高い音が響く。二階で筋トレをしていたジョージは窓辺へと移動し、2人のやり合いを眺めている。一方的にゼルベルダが攻めているようだ。


「すごいな…。あいつが防戦なんて。俺も相手してもらいたいな。」


甲高く響く音は屋敷にいるメグの耳にも届いてる。幼いサマーティに本気で相手をするゼルベルダ。そんな昔の記憶が頭をかすめる。クスリと笑ってメグは地下室へと向かう。


どれぐらい時間が経っただろうか?きっとそんなにはたっていないはずだ。サマーティの木刀が宙に舞う。


「だぁー!!降参降参!もうやだよこの人…子供相手に…。」

「何をブツブツ言ってる!?その減らず口いい加減やめろと言ってるだろう。」


ぐしゃぐしゃっと頭を粗く撫で回され、サマーティの髪はぐちゃぐちゃ。


「ちょっ!やめろよっ!」


見上げてみる父の顔は幼かった頃と全く変わりない。成長し続けるのを楽しみにしてくれている優しい眼差し。自然と口がとがってしまう。


この癖なかなか抜けない。


「お前は本当に教えがいのあるやつだよ。これからもどんどん強くなる。」

「その期待に答えれるように頑張るよ。」

「どうだ?もう一本勝負するか?」

「いーよいーー!!もう疲れた!」

「そうか。それじゃ片付けちゃんとするんだぞ。」


サマーティに背を向け、ゼルベルダは屋敷へ戻っていく。投げられた木刀をキャッチして、しぶしぶとサマーティは納戸へ向かう。すると見知らぬ二人が家の敷地に入っているのが見えた。不審に思いかけよる。


「…お前ら何してんだ?」


よく見ると人影は青年と少女。

嫌な予感しかしない。


キリッとした鋭い瞳。野性味溢れるマキナの少女。腰には両サイドに片手斧がぶら下がっている。そして一方は冷たい眼差しが眼鏡の下から注がれる知性豊かそうなルラのような青年。


「ここに隠しているのは知っているんだからっ。怪我したくなかったらどきな。」

「は?」

「やめろ。それじゃ何が何だか分からんだろう。失礼した。私達はこの子を探している。ここにいるな?」


青年が差し出した写真に写っているのは、この家の二階に寝ている彼女だ。疲れ切った頭は油がさされた歯車のように勢いよく回転しだす。

目の前に立っているこの二人…。これまでに出会った暗部のだいたいが十代半ばの二人組。

九割レルエナ暗部だ。

そいつらがあの子を探している。

どういうことだ?


「もういい。どけ。」


苛立ちを隠せない少女はサマーティの返事を待たずに横切ろうとする。


考えられるのは、彼女が負傷し、命からがら逃げた。これは確かだ。彼女は俺のことを知ってるようだった。俺らが最近会った少女といえばレルエナ暗部しかいない。彼女はほぼこいつらのなかまだ。次に問題になるのは…。そう。彼女が戦った敵だ。彼らのほしか?それとも…身内?


どちらにせよ、あの子をこいつらに渡すわけにはいかない。貴重な情報源だ。


「!」


少女の前に勢いよく木刀が現れる。


「どういうつもりだ?」

「まさか…あたしたちとやりあうつもり?」


ニヤリと微笑む


「そのまさかだよ。」


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