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wonder hole -last player-  作者: にゃこ
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休息-2


足取りは遅い。月と星の光が辺りを照らす。渓谷は細い一本道で街まで続いている。けれどそれが長い。どれだけ時間がかかったかわからない。ただ歩いているだけなのに、体力が奪われる。岩と森の境目までたどり着いた。森には道はなく、獣道だけ。どう考えてもこの道は迷わなければたどり着けないだらう。そう考えると、襲ってきたあの2人は一体どうやってここを見つけたのだろう。疑問を感じながら森を抜ける。足がとられる。二人にとっては辛い道。普通なら1時間もかからないだろうに、2時間はかかった。

そうこうしていると、補正された街道にであった。

静まり返る道には、虫の囁き声だけが響いている。ただひたすら街へと向かった。サマーティにとっては久しぶりに通る道。このまま、まっすぐ歩くと三股に分かれる道に出くわす。それを右へ進めばよかった。迷うことなく進むと街が現れた。

ハシュベル領北東の街。辺りを渓谷に守られ、豊かな大地が続く、サマーティの故郷。

ベルゾナック。ここから、北へ進めば、旅の終着点ベルゾナド洞窟がある。


東の空から薄い光の筋。

朝だ。

街はひっそりと静まり返り、誰も歩いていない。そんな中2人は奥へ奥へと街を歩く。昼には賑わうであろう大きな通りから外れ、メタセコイアの街道へとでた。その道を少し歩くと、サマーティは右へと続く小さな雑木林の道へと進む。

どれだけ歩いただろうか。体力はもう限界に近い。


「ついた…」


その声に反応して、ジョージの頭は地面から離れる。目の前に写っているのは大きな館。


-おいおい。こいつ金持ちのボンボンだったのか…


目の前に広がるの広大な土地。

整備された芝生に、砂利で作られた道。

その先に見えるのはとても立派な大きなお屋敷。


サマーティはドアノブをドンドンドンと御構い無しに叩く。ジョージは呆れてその様子を見ていた。

いつの間にか太陽の光は空を照らし、木々が輝いている。


しばらくして扉が開き、美しい栗色の髪を三つ編みに束ね、後ろでひとつにまとめる女性が出てきた。


「サマーティ!あなたその傷どうしたの?!いいから早く入りなさい!」


扉は大きく開かれ、2人は屋敷の中へと招かれた。高い天井の玄関ホールが出迎える。女性は奥にある客間へ進み、ソファーに座るよう進め、急いでどこかへ向かった。


「母さんが医者呼んできてくれるみたい。その間ここで待っててくれって。」

「あぁ。」


サマーティーとジョージは担いでいたみんなをソファーに降ろした。サマーティーはその足で台所へ向かったようだ。

力が抜けてジョージは床に腰を下ろした。流石にここまでキツイ体験は初めてだ。


「ほい。」


目の前にボトル。


「これうちに代々伝わる回復剤。騙されたと思って飲んでみろよ。」


ボトルを受け取り、勢いよく口に含んだ。


「!!」


ゴホッ!ゲホゲホ!!

口の中に広がる未知なる味覚に驚き、目が見開く。

頑張って喉に通したが、辛い。咳がとまらない。


「なんだ!これ!!」

「あれ?口に合わなかった?」


まるで水を飲むかのようにサマーティーはその未知なる飲み物を一気に飲み干す。


「これ…何が入ってんだよ?」

「さぁ?何だろう?これ母さんしか作りかた知らないんだよ。どう?かなり効くっしょ?」


確かに…確かに体の倦怠感と痛みはだいぶと楽になっている。けど、何か大きなダメージを受けている気がする。微妙な気持ちになるジョージ。


「おぉ。サマーティー帰ってきたのか?」


客間の奥から男性がやってきた。

サマーティーを老けさせたらきっとこんな感じになるのだろうとジョージは思った。スラリとした体。それでも程よくついた筋肉。鍛錬を怠っていないのがよくわかる。グレーの少し癖のある短髪。どんぐりのように大きなまん丸な瞳。彼こそサマーティーの父親でこの館の主。ゼルベルダ・ローグン・ヘルム。


「ただいま。まだ仕事終わってないんだけどね。」

「どういうことだ?」


眉間にしわを寄せ、ゼルベルダがこちらに近づいてきて、彼は初めて、帰ってきたのが息子一人でないことに驚く。


「…君は?」

「あ。旅の途中で出会ったんだ。彼はドラグーンのジョージ。」

「ジョージ・ロロスティア・エルナドールと申します。」

「エルナドール?君はドラグーン王族の…?」

「直系ではありませんが…まぁ遠縁ですね。」


ジョージは驚きを隠せず返答する。


「エルナドールは古くから使われているドラグーン王族の名前の一つだ。わかるものはわかるさ。」


優しく微笑むゼルベルダ。


「私は、サマーティーの父親のゼルベルダだ。よろしく。」


差し出された手を取り握手を交わす。大きく立派な手だ。


「それで、彼女たちは?」


ソファーに倒れているキシュを目にした時、ゼルベルダの瞳が動揺したように感じた。


「黒髪の子はザルアのマリー。金髪のクリクリがソリティアのコロッツィオ。そして、今回の仕事のパートナー。グビドんとこのキシュ。このピンクの子はわからない。」


サマーティーの紹介にさらに驚きと呆れを隠せない。


「ザルアにソリティア??他国に奴隷を連れることはないと聞くが…。それにわからないってなんだ?!」

「みんなそれぞれ諸事情ありさ。」


笑って答える。


「それより、みんなをベッドに運ぶの手伝ってもらえる?」

「あぁ。わかった。お前達は大丈夫なのか?」


2人は大丈夫だと返事して、三人は意識の無い彼女達をベッドのある客室へと運んだ。ゼルベルダが一つの部屋にベッドをまとめてくれたおかげで、みんな同じ部屋だ。それからしばらくして、急ぐ足音が2つ。

サマーティーが迎えに行き連れてきた。

先ほど迎えに来てくれた女性と、なんとも医者とは言えない女性が扉を開ける。



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