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wonder hole -last player-  作者: にゃこ
67/164

休息-1


「っつ…」


冷たい地面。

口の中の異物が気持ち悪い。

サマーティーはどうにかしてこの異物を吐き出そうと咳をした。

あちこちが痛い。

自分は何をしていた?

記憶を遡る。

地面が突如割れ、吸い込まれた。


-あぁ、あの2人に攻撃されたんだ…!


思い出したと同時にサマーティーは急いで体を持ち上げようとしたが、激痛が彼を襲う。

血で染まった砂利が口から出てきた。

ゆっくりと体を持ち上げ、周囲を見渡す。

そこには傷ついたみんながいた。

サマーティーはポケットというポケットを探し、やっとの事で欠片になっている体力回復剤を見つけた。少し残して飲み込み一呼吸つく。少しは動ける。立ち上がり、痛みに耐え、さっきまで意識のあったキシュとジョージを起こして、マリーとコロッツィオを回復させなければ。すぐそばにいたキシュに声をかけ、肩を叩く。持っていた水を口に含み勢いよく吹きかける。それでも反応がない。儚い吐息。キシュもまた行動不能状態に陥っている。

ジョージは?サマーティーはヨタヨタとジョージの元へ移動する。彼は大丈夫だ。ジョージはキシュよりも行きが荒かった。呼びかけ、肩を揺らすと閉じた瞳が開く。


「っ…」


サマーティーは残していた少量の回復剤をジョージの口へと運ぶ。運ばれた回復剤を飲み込み、少しの感覚を開け、瞳を閉じ、ジョージは深呼吸し、目を開けた。


「どれだけ俺らは気を失ってたんだ?」

「ちょっと待って。」


ジョージは辺りを見回す。外はまだ暗い。

それほど時間は経っていないはずだ。


「1時間…」


サマーティーは時計の針を読む。


「そんなにも…。キシュは?」

「だめだ。キシュも行動不能状態だ。早く回復処置をしないと…。」

「そうか…。それじゃ三人担いで行くしかないな…。行けるのか?」

「…正直キツイかな?」

「…そりゃそうか…。」


ボロボロの姿に、2人は情けなく笑う。


「お前、回復魔法使えるか?」

「残念ながら、回復系の魔法センスゼロ。」

「そうか。…ちょっと待っとけ。」


ジョージがコロッツィオのほうへと向かい、あの指輪を抜き、自分の人差し指にはめた。

魔力が供給されるのがわかる。


「俺も回復魔法のセンスはないほうだ。」


ジョージは白魔法とも黒魔法とも言えない不思議な言葉を唱え終え、大地に右手をつけた。大地から淡いオレンジ光が浮き上がり、2人を包む。優しい温かい光。心地よい風が気持ちいい。思わずサマーティーは目を閉じる。その感覚はすぐに終わってしまった。


「これって…」

「俺はマキナの血が強いが純血じゃない。少なからずルラの血も流れている。初めてか?マキニアの魔法を見るの?」

「いや。何度かあるけど…」

「なんだよ。それじゃ珍しくないだろ?」

「そうなんだけど、ジョージが魔法を使うのが意外で…」

「はは!まぁ滅多に使わないさ。そんな柄じゃないだろ?」


ジョージの滅多に見ることのない笑顔に胸がキューンとなるサマーティー。


「ジョージ。あんたモテるだろ?」

「こんな時に何言ってるんだ?」


冷たい返事と冷めた視線。

すぐに普段のジョージがかえってきた


「そんなことより行けるか?」

「あぁ。大丈夫。すぐそこに村があるから行こう。」


2人は三人を担ぎ村へと向かうことにした。ジョージが近くにいる、キシュを運ぼうとすると、サマーティーが素早くキシュを担ぐ。


「キシュは俺が運ぶ!」


ニヤニヤするジョージ。


「素早いな。そんなに元気ならあと1人は運べるよな?」


サマーティーは自分の軽率な行動に少し後悔した。

でも…やっぱりキシュは譲れないとも確信した。

あんなの見せられたら余計だ…


忘れられた王の墓の通路。


夢中で写真を撮っていたけど、ちゃんと見ていた。

ジョージとキシュが楽しそうに会話しているのを…。あんなに優しく笑うキシュは見たことない。それなのにジョージには見せてた…

それが恋に発展しないなんて言えない…


サマーティーはキシュとマリーを。ジョージがコロッツィオを担ぎ出口へと向かおうとしたときだ。一筋の光が空から二人の足元へと注がれる。突然の現象に驚き、後方へと移動する。


「くそっ!追手か?!」

「んなまさか!!」


2人は担いでいたメンバーを地面に急いでおろし、戦闘体勢をとる。光の筋はだんだんと大きくなり、ピークに達すると消え、そこには傷ついてボロボロになった少女が横たわっていた。


「…?」


思いもよらない状況についていけない。二人は恐る恐る、少女に近づき攻撃してこないかどうか様子を見た、目と目を合わせ、頷く。サマーティーは意を決し、少女の腕をとる。ジョージはまだ体勢を崩さない。


弱々しく流れる脈を感じ取る。頬を軽く叩く。反応がない。


「意識なさそうだな」


ジョージは構えていた槍を下ろし、サマーティーに近づく。


「…。どうする?」


2人はため息をついた。


「何かわかんないけど、この子も連れて行こう…。1人も2人も変わらないだろうし…」

「あぁ。しかしこの人数…宿が取れるか?」

「そこらへんは気にしなくていいさ。俺んち部屋だけは無駄に多いんだ。」

「ん?俺んち?」

「ん?」


なんだか話がかみ合わない。


「サマーティーの家?どういうことだ??」

「あれ?いってなかった?つぎの町は俺の故郷なんだ。」


ジョージは少し驚きため息一つ。


「お前、そんなこと言ってないぞ。まぁ、何も問題はないが」

「あはは。悪い悪い!」


サマーティーはキシュとマリー。

ジョージはコロッツィオと未知らぬ少女を担ぐ。少女の体を持ち上げたとき、少女が負った無数の傷と火傷に驚きを隠せなかった。一体何をすればこんなことになるのかわからない。剥がれた皮膚に浅い切り傷。考えただけでも肝が冷える。

この傷を与えた化け物には出会いたくないと思った。





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