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wonder hole -last player-  作者: にゃこ
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〓相入れる者たち-5〓


「くそっ!!あのレベルの魔法連発とか無理だぞ!!」

「けど!それじゃないと立ち向かえないですよ!!」


並みの魔法では意味がない。

植物系の魔物は氷・炎・大量の水が有効になってくる。けれどこいつは違う。熱に強いのだ。炎も並みのものでは意味をなさない。かといって水系の魔法は効果はあるが、量を間違えると回復させてしまう諸刃の刃だ。氷の魔法がきっと有効だ…!けれど最悪なことに僕らは氷の魔力が弱い…


考えるんだ僕!!

繰り広げられる蔦の攻撃。太い蔦は鞭のようにしなやかに素早く動く。こんなのに当たったら、体がもたない。ひとまず、防御の魔法を唱える。


「こんな時に限って、魔法チームとか…きっつ…」

「おい!うっせーぞ!!グダグダ言ってねーでやるぞ。」

「わかってますよ。」


なんで僕が説教されないといけないんだ…!

またイラっとくる。


「わかってると思うけど、ハゲあれは殺すなよ」

「わかって……って!お前!!いま俺のことハゲとか言ったか?!」

「うるさいな…君も僕のこと姫って言っただろ」

「事実だろ?メアル皇国第六皇女・ヤシュム」

「僕のことも本国に報告済みってこと…」

「些細な事でも報告する。それが俺の仕事だ。」

「心は母国にって?ほんと君って馬鹿真面目禿げだねっ!!」


喋っている間にも蔦の攻撃は続く。


「お前も同じようなモンだろ?」

「まぁそうさ。けど、僕は適当にやってるけどね。」

「は?」

「政治なんてどうでもいいさ。なぜあんなにも必死こいてやらなきゃならないんだ。互いに干渉せず生きればいいじゃな」

「ふざけんな!!!」


今まで聞いたことがないほどの大きな弥生の声だ。

あまりの大きさにびっくりした


「上に立つもんがそんなんだから民が苦しむのをお前わかってるのか?!!」

「は?僕の国は民が不幸とかないから…」

「何も見てねーからそんなこと言えんだよ!お前はいつもそうだ!周囲を見ている。考えてる…いいように言われてるけど結局テメェはテメェが可愛いだけだろーが!見てるのは全部上部だけで何も見てもいねーし考えてもいねーんだよ!!!」


弥生はそう言って高速に印を組み簡略演唱をして、先程と同等の氷結魔法を唱える。

放たれた魔法は効果抜群。蔦は固まり、弥生が錫杖を地面に強く押し付けると、氷と共に蔦は砕けた。

植物はそれ以上襲ってこなかった。


月はすでに西へ傾いている。


それと同時に僕の動きも止まっていた。


自分が可愛いだけ

上部しか見てない

何も見てない


そんなこと…


自分の嫌いな部分。

勘付かれたくないところ。

認めたくない。


けれど突き立てられた。

暴かれた。


「おい…あれどうする?…って…泣いてんのか?!」


息を切らしながら驚く弥生。


「…みんな…」

「泣くとか…」


呆れた溜息は余計に僕を苦しめる。


「ひとまず、あれどうにかする?」

「経過をみる…きっと満月になったら何か起こるはずだし。」

「わかった。」


そして、満月までの2日間僕らはただただその植物を観察した。月が登るとやってくる蝶をひたすら捕食していた。その間僕たちの間には沈黙だけが流れていた。そしてとうとう満月がやってきたのだ。


頭上に輝く満月の光と共に花びらは空へ舞う。そして出てきたのは大きくぷっくりとふくらんだ実。

それを見て納得した。


これは魔力の回復薬精製に利用される。

ハサタ科の植物だ。それも見たことのない強力なやつに違いない。

僕らは恐る恐る植物へ近づき、その身を取ろうとした。身の回りには鋭利な棘。

疾風魔法で茎から実を切り取る。茎からも溢れる魔力。


「うっ…」


その強力なほどに溜め込まれた魔力は茎からの切り口からも溢れている。それあまりにも強すぎる。

とっさに鼻を覆い、急いで結界魔法を唱えた。


「これで終わりだな。」


弥生がそう呟くも僕はどうも喋る気がしなかった

すると弥生がいきなり頭を下げた。

何が起こったのか理解できず僕はびっくりした。


「言いすぎた!悪かった…」


そう言ってずっと頭を下げ続ける弥生。

はじめこそびっくりしたけど、僕も悪いのだから僕も頭を下げた。


「僕こそ…悪かった。君の言うことは本当だよ…。」


お互い少し顔を合わせ、笑いあった。

それからたくさん話をした。


弥生が見返したい奴がいてそのために必死なのも。

僕の故郷のことも。

初めて弥生のことをハゲと呼んでいたこととか。

姫って言われるのが嫌なことも。


こんなにもたくさん喋ったのはいつ以来だろうか?

いや生きていてあったんだろうか?


母様や姉様達ともここまで話したことはなかった。


この初めての感覚。

暖かい感覚を僕は楽しんだ。


話さなければ何もわからない。

上部だけでは理解できない。

僕は今まで知ろうとしなかった。

それは僕が可愛いからだ。ぼくを傷つけないため。

そんなことでは世界は狭くつまらないものになるだと気がついた。


僕にとって弥生は初めてできたパートナー。

大事な相棒だ。弥生もそう思ってくれたら嬉しいな…


僕はこっそり笑った。



相入れる者たちこれにて終了です。

グダグダで最後はダダダダ…っと駆け込みになりました…

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