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wonder hole -last player-  作者: にゃこ
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気づき-2


世界って広いんだな。


コロッツィオは薄れる意識の中思った。

狭い集落の中、次期村長として才能豊かだと信じていた。キシュたちと旅をして、それが確かだとも思った。むしろ天才なんじゃないかとも思った。それがどうだ?今の私は??自分よりも年下の子の方がはるかに強い。黒魔法が使えるのは別として、白魔法の質は完全に負けている。


悔しい。


自分が何もでき無い。

負けたくない。でも腕も口も動か無い。

一筋の涙は知ら無い間に流れている。

マリーやキシュ達の声が聞こえる。

それにこたえれない。


「コロッツィオ!!!コロッツィオ!!」


マリーがコロッツィオの元へ無我夢中で駆け寄る。

大丈夫。まだ息はある。


「おい女。よそ見してんじゃねーぞ。」


弥生は無防備のマリーめがけ魔法を発動させる。マリーを冷気が包んだ瞬間、氷結し、砕ける。


悪寒が弥生の体を駆け巡る。


「…ダメージが与えれていない?」


砕けた氷の中から、真っ赤に燃える一つの視線。


こんな気持ちを感じたことはマリーは遠い昔にもあった気がする。大切なものを奪われる。

あの絶望と怒り。

気持ちが抑えることができない。

心に浮かぶ言葉。発せずにはいられない。

小さな声が徐々に荒々しくなる。抑えることはできない。長い言葉たち。複雑な手の印。その全てが意味するものを完全に理解はできないものの危険なことくらい理解できる。


「なんなんだ…。」

「ものすごい殺気ですね…。」


霜月が防御魔法を唱え始める。

その横で弥生は苛立ちと焦りを感じていた。

プライドが許さない。あの時と同じだ…。


遠い昔アカデミーで受けた血の滲むような訓練。

努力して努力して日々ただただ過ごした。

笑う声に耳を閉ざしてひたすら立ち向かった。

それなのに、叶わない相手がいる。

努力は無駄か?結局は血なのか?

それは自己を否定する。

そんなこと許されない。


決して許されてはいけない


「生まれがどうとか血筋がどうとか…関係ねぇって証明してきたんだ…。っだよあれ…。」


弥生は自分が発動できる最高の魔法を発動させるため、演唱を始める。それが何を意味するのか霜月には理解出来ていた。


ー…無茶だ…。

ーきっと前の僕なら止めていた…けれど…


防御魔法の発動を終え、弥生の左肩に手を重ね、瞳を閉じる。

霜月の力が流れているのが弥生にはわかった。


「悪い…」

「何言ってんですか…僕たちパートナーでしょ。」


マリーの魔法はまだ発動されない。

キシュ達は相手の攻撃をどうにか阻止するため、全力で攻撃を繰り出す。2人の物理攻撃防御の魔法は効果が薄れてきている。

たくさんのダメージを与えれた。それも2人が守りの体制を取らないからだ。


「みんなどいて。」


聞こえた静かな声。

焦る三人はマリーの後方へと移動する。

指の動きが止まり、ゆっくりと霜月と弥生の方へと向けられる。


「紡がれん。命。止まり、そして狂え。」


霜月と弥生を暗闇の球体が包み、とうとう2人が見えなくなる。一筋の光が見える。そう思った瞬間。光の筋が次から次へと無数あらゆる方向から現れる。それは静かに暗闇を照らし、眩しすぎるほどまで光り輝く。キシュ達は目を開けて入れず、瞳を閉じる。眩しさが収まり、ドサッという音が二つ。恐る恐る目を開けると、そこには血だらけの2人が倒れている。


「す…すごい…。」

「なんだ今の魔法…」


あっけにとられる暇もなく、マリーが倒れる。


「マリー!!大丈夫?!」


急いでマリーを抱えるキシュは口元に手を当てる。大丈夫。息はある。魔力と体力を大量に消耗したようだ。急いで休まなくてはいけない。


「早くここを抜けよう!この近くに町がある!オレとジョージでマリーとコロッツィオを運ぶ!!」

「わかった!行こう!!」


サマーティーがマリーをジョージがコロッツィオをおぶる。早く街へ。


「…なり…ひ、響…け。…お…ど」


声が聞こえた。


それは霜月と弥生の2人を通り過ぎた時だ。

途切れ途切れの声が聞こえたと同時に地面が鳴り響く。次第に立っていられなくなる。大地が狂い踊り、砕ける。ひび割れた裂け目に引きずり込まれる。


キシュたちは必死に抗おうと、少ない体力で這い上がろうとするも、無駄だった。光が遠のいていく。裂け目が閉じようとしている。

このままでは生き埋め…。


どうにもならない気持ちに包まれる。


「本当に呆れる。だからその甘さが仇になるといったのに。」


声と同時にキシュは暗闇から抜け出れたことに気がつく。辺りを見回すと、みんなは意識を失っていた。


「よかった…」


安心した瞬間激しい痛みが襲いかかり、キシュは気を失い倒れてしまった。


「呆れるのはあなたよ。ミンキュ。」

「借りを返しただけだよ。甘いかもしれないけど、こいつらを殺らなくても物さえ渡せばいいんだもん。」


そこには、無月の卯月・如月がいた。

二人は弥生と霜月のほうへ向かう。


「しかし、すごい魔法のやりとり。初めて見たわ」

「如月が驚くほどの魔法なの?」

「そうね。平凡なザルア達が繰り出せる技じゃないと思うわ。」

「ふーん。」


血だらけの弥生と霜月の脈を取る。まだ生きてはいるようだ。如月が魔法を唱えると、淡い光が現れ二人を回復させる。それでも二人の目はひらかない。

ミンキュが2人の息を交互に確認する。


「大分やられたようね…お疲れ様。少し休む必要があるわね…」

「これってどういうことなの?如月の魔法で体力も傷も全快してるはずでしょ?」

「ええ。魔力の限界を超えたのよ…。精神面での疲労が激しいから、休まないと目は覚まさないわ。」

「そっか…それじゃ医療棟行きだね。」

「ええ。…それより例の物をいただきましょう。」


如月がキシュ達の方へ視線をむける。


「金髪の女の子のバッグの中よ。」

「オッケ。」


卯月は如月の指示に従い、キシュのウェストバッグを手に取り、手を突っ込むとすぐにお目当ての物が手に入った。


「あっけないもんだね。」

「そういう物よ。あたしたち途中参加なんだもの。ところで、この人達はどうするの?」

「このままでいいでしょ?そこまでは面倒見る義務もないし。」

「そうね。それじゃ行きましょう。」


如月は手に持っていた木の枝のような杖を振るうと弥生と霜月はふわふわと雲に包まれ宙を浮く。そして、地面に向かい杖を振るう。

今度は魔法陣が出現した。


「帰るわよ。」

「了解。やっと面倒な仕事が終わった。」


ミンキュは安堵の息を漏らす。


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