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wonder hole -last player-  作者: にゃこ
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信ずる者-6


東の空が明るくなり出す。

雲が多いせいか、空は深い愛の色と濃い赤に染まり少し怖い。ニコは3時間前にたくさんの荷物と一緒に戻って来てくれてた。その頃からだろうか、マリーの状態が悪くなって来た。

脂汗がふつふつ吹き出し、息が荒くなる。

痛み止めの魔法が切れたようで、再度かけると少しはマシになったようだがやはり苦しそう。毒が周り始めている。これ以上は何をしても無駄なようだった。


みんなはまだ帰ってこない…。


「みんな…遅いな…」

「そうですね…そろそろ帰って来てもいいはずなんですが…」

「何かあったのかな…」


心配そうなコロッツィオ。

ニコは励ますしかできなかった。


「大丈夫ですよ!きっと戻ってこられます!」

「ありがとう…はぁ…魔法だけじゃだめだね…。治療専門なのに…ねぇさん助けれないとか…悔しすぎ。」

「コロッツィオさんは治療系魔法が得意でいらっしゃるんですか??…というとシャリティアのお方ですか??」


どきっとする。

自分の種族は内緒なのだった。

適当に話を合わし、ニコはそれを信じた。


「そうでしたか…。仕方ありませんよ…植物性の毒は魔力の少ない種族の特権分野…特にクロノアはそれに特化した歴史がありますから…」

「そうなの?」

「えぇ。クロノアは今では技術発展国で有名ですが、昔は毒のクロノアと言われていたんです。」

「へぇー」

「クロノアの中心都市は技術国家ですが、その恩恵は果ての地まではあまりいきわたっていません。我が家も未だに毒を生業としています。」

「だからすぐにねぇさんのことも分かったのね!本当にすごい!」

「それほどでもないですよ。」


褒められて少し照れているようだ。


今までおとなしかったロボが急に顔を上げた。

何か来ている。

2人はロボの視線の先に注目すると、足音が聞こえてくる。その足取りは気だるそうで、テンポが遅い。足音が大きくなるにつれ、だんだんとその姿が見えてきた。ジョージだ。

右肩にはナタラの樹皮。左腕は所々ちぎれ、血が垂れている。

その姿を確認し、コロッツィオは急いでジョージに駆け寄り、回復魔法を唱える。


「ありがとう。悪い。水あるか?」

「あっちにあるわ。」


焚き火の方を指差すと、わかったと言ってジョージはニコの隣まで歩き出す。大きなナタラの樹皮をニコの隣に下ろすと大きな音がした。


「これで足りるか??」

「十分すぎます。」


ニコから水を受け取り、一気に飲み干す。


「すごい傷だけど、どうしたの?」

「どうしたもこうしたもない…。あの木の下獣達の巣だったぞ…、殺さず追い払うのに必死だったが、すまない…数頭殺してしまった。」

「いえ…問題はありません。」

「キシュとサマーティーは??」

「まだ帰ってきてないわ…」

「そうか…」

「ひとまずこれ。」


目の前に差し出されたスープを受け取り、口にする。疲れた体に染み渡り、暫しの休憩をとっているとキシュとサマーティーも戻ってきた。2人ともジョージと同じくボロボロになって、袋いっぱいの幼虫と、トロンタの角を背負って戻ってきた。

その姿を見てみんなは驚きを隠せない。特にニコはかなり驚いているように見えた。


差し出された幼虫とナタラの樹皮を受け取り、ニコは解毒剤の調合を始める。調合には少し時間をかける必要があった。調合用のガラスポットに細かく切り刻んだナタラの樹皮とに幼虫と水をいれ、火にかける。色がだんだんと薄い透明な緑に染まってゆく。この色が濃い緑になとろみが出てこれば完成するという。


ニコは木の板と三日月の形をした包丁を取り出しナタラの樹皮を細かく切り刻む。袖を腕までめくり上げ、慣れた手つきで作業をする。その姿にサマーティーは驚く。ニコは何も気づいていない。一心不乱に作業をしている。調合用ポットに火をかけ、一息つく。


「あとは、煮込むだけです!」

「ニコありがとう…」


何から何までしてもらい、感謝しきれない気持ちでいっぱいだ。


「…では話を戻しますが、なぜ皆さんはここに?」


間髪入れずニコの質問。

忘れていた。うやむやにできない問題。

そうであるニコにとっては侵入者なのだ。

キシュはマリーの命を救ってくれたこの子なら、きっと大丈夫と思った。それに、言ってもまだ子供。なんとかできるとも思っていた。


「レルエナ領ハシュベルトを目指しているの。」

「ハシュベルトですか??それならここを通らずとも、レルエナから電車で行けば良いのでは?」


不思議そうに見つめるニコの視線が痛い。


「私たちなぜかレルエナに追われているの…それで、検問のないクロノア経由で移動をしてるの…」

「追われてる?!あなた方…」


サマーティーが口を開ける。


「俺らはただ荷物を運んでいるだけだ。あんたがたの敵じゃない。」

「え?」

「アベド狂信者ではないから安心してくれ、君をどうこうすることはない。」

「あんた何言ってんの?」


突拍子のない発言にみんな頭に?が飛び交う。


「アベド狂信者は普通のアベド信者を利用してテロとかやるからね。ニコはアベド教徒だろ?」


少しの沈黙が流れてニコはうつむき小さくハイと返事をした。恐々と目をみんなの方に向けると、誰も嫌な顔一つしていない。


「?!皆さんは…その…アベド教徒のこと忌み嫌わないのですか?」


ニコの質問にみんなの目が点になる。


「嫌うもクソも何もされてないからねー」

「まぁそうだな…。今世間を騒がせているのは一部の強硬派だし、一般信者を嫌う理由にはならないからなぁ」


驚きが隠せなかった。

クロノアではアベド教徒は忌み嫌われ、白い目で見られる。職や婚姻も嫌がられるなど差別がひどい。だから、クロノアにいるアベド教徒はいつもバレないようにコソコソと暮らすのだ。

だから、キシュたちの発言が救いに感じられた。

ニコは何かを決心したようだ。


「…ハシュベルトに向かう抜け道をお教えします。」



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