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wonder hole -last player-  作者: にゃこ
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雪山-5


蜘蛛の化け物よ身体から薄い青色の体液があふれる。その色は残酷にも美しい。きっと高級な染料に違いない。キシュは体力回復剤を取り出して瓶をからにすると、蜘蛛に近づき体液をとる。満タンになったのをみて、振り返ると皆が少し引いているのがわかる。


「な…なによ!いい品かもしれないじゃない!」

「ここまでくるとキシュのがめつさは筋金入りよね…」


呆れるコロッツィオとマリー。

今までそんなこと気にしてなかったけど、なんだかこの2人にそういう風に思われるのはなんだか恥ずかしい。必死に違うと反論するも、あはははと皆に乾いた笑いをもたらすだけで誤解を解くことができない。サマーティに至っては、そんなキシュも大好き♡とか言って抱きつこうとする。(もちろん思いっきり殴ってやった。)

コロッツィオに軽く封印術を施してもらい、満タンのカバンに締まった。


「出口だ。早くいくぞ。」


ジョージが先頭にたち誘導してくれる。だいだいの光はとうに消えていて外は星に埋めつくされている。もう夜だ。先ほどの熱気が一気にとんでいく。皆防寒具をちゃんと着る。

時間はまだ7時。

ここから近い街がある。ドラグーン領最後の街。

その先はレルエナ領とクロノア領。何が待ってるかわからない。とりあえず山を下ることに、中層にでたのか、辺りの地面はうっすらと白い。降りて行く途中に小さい灯りが見えた。アルパの街だ。


アルパの街に到着したのは、夜の11時。それなのに街は賑やか。

とりあえず宿を探す。

この街はパゴロプステの恩恵を受ける鉱石採掘の街。

キシュ達が通った道は大昔に使われていた坑道で今は廃棄されていたのだ。

夜は仕事を終えた男たちの遊び場となっている。

酒場が多く、辺りは笑い声と音楽がしっちゃかめっちゃか混ざり合っている。商業区と思われる場所には、あの青色の水晶で作られた武器・防具が沢山おいてある。ことさら、この街は青が好きらしい、普通なら、寒冷地に住む人間は暖かい色を求めるはずなのに。けれどもそれは好都合。キシュは雑貨屋を見つけ、中へと入る。


「すみません。本日はもうお店おしまいなんですが…」


カウンターで、レジの閉めをする女性が申し訳なさそうに言った。

キシュはポケットからドンっとあの蜘蛛の体液を取り出すと、女性の目の色が変わった。キシュは見逃さない。


「あ…あのこれ……」

「いくらになるの?」

「それはこっちのセリフです!!いくら出せば譲っていただけるの?!」


女性の声に驚く。サマーティがぐいっと横にやってくる。色男ぶりぜんかいで。


「どうされたんですか?そんな声を荒げて…」


サマーティの色目にトローンとする女亭主の横に体格の良い屈強な男がやってくる。サマーティは急いで色目モードを辞める。女亭主も我に返る。


「どうした?」

「あ!あなた…これ…」


指差した先の青の液体を見るなり男亭主も驚く。


「おわっ!これは…アラクネの体液じゃねぇか。しかもここまで赤っけが抜けてるってことはかなり成長したやつか…。あんたらこれどうした?」


「…え?たおしちゃった…」


「あのアラクネを?!そりゃすごい…いやぁ…それにしてもこいつは珍しい…5000ディーラだす。」

「!?」


あまりの大金に皆驚く、キシュはぐっと堪える。


「8000!」

「…お嬢ちゃん押すなぁ…。6000...」

「7000」


ぐぅぅと唸る男亭主は奥へと消え、大きな袋を手にとり戻ってくる。カウンターに思いっきり叩きつける。


「くそっ!持ってけ!!」


店を出ると皆、わあっ!となる。

まさか、あんな気持ちの悪い蜘蛛の体液が7000ディーラに化けるとは!


聞くところによると、あの化け物は幼虫の頃は白い体液で、蛹になると体液は一気に赤になるらしい。そして成虫になり、長い年月を経て美しい青の体液になるそうな。アラクネの体液は染料にはもちろん、薬の材料にもなるそうで、それはそれは貴重なものらしい。亭主に聞くところ、実は幼虫の白い体液はそれ以上の価値があり、取引価格は成虫の倍になるそうな。どうも、幼虫の体液は強い魔力を持っている。加工をすることでいろんな武器や防具の装飾兼魔力源となるそうな…


キシュは幼虫を倒さなかったことを悔やんだが周りのみんなはイヤイヤ…と冷めた目で見ている。


一向は宿へ向かう前に、お金をダミーidに貯金する。今まで集めたアイテムも、売りさばくと、それはそれは懐の暖かいこと…。


みんなはウキウキ。


その夜は酒場で豪華に食事。


「はい〜!お待ち〜!」


運ばれるクリスタルのジョッキ。

なみなみ注がれる黄金色の酒。女子達には淡いピンクのお酒。

皆々がジョッキを掲げる。


「お疲れ様〜!!!」


一気に飲み干すキシュ


「美味しー!!幸せな時のお酒ってほんっっっとーにおいしー」

「ほんと〜!すごい美味しい〜!」

「外寒・中暑で飲むキンキンに冷えた酒堪んねー!」


マリー・キシュ・サマーティーのテンションの高い中、ふつうに飲むコロッツィオとジョージ。


「ってかキシュなんか性格違うくない?」

「そう?うーん今すごい機嫌いいからかしら?とにかく今日は呑みまくるわ〜!おねーさん!おかわり〜」


そうして、食事が運ばれ酒が運ばれ楽しい時間を過ごす。こんなに楽しい思い今までしたことあったかな?キシュは思った。今までは父といつも2人。父と過ごす時間ももちろん大好きだ。けれどもみんなと過ごすこの時間はもっと楽しい。絶対になくなって欲しくない…。


けど、目的が果たされればみんなとはお別れだ。


マリーとコロッツィオはもう少しで

ジョージも父に会えばお別れ…


さみしいな…


サマーティーは…


戦闘中色々と喝をもらったり、自分の甘いところを怒ってくれる姿を思い浮かべながらふとサマーティーに目をやる。


「お姉さんおかわり〜」


酔って店員に色目を使っている姿が映り込む。


こいつはどーでもいっか。




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