雪山-4
アグニ・チャクラムを装備してからのキシュは、空飛ぶ敵もバンバン攻撃する。意気揚々となっていたのもつかのま…倒した後の魔物から取れるお宝がとれない。
「お宝がーー!!」
「仕方ないじゃん。チャクラム使ってんだから。」
チャクラムは便利な武器ではあるが、コントロールが非常に難しい武器でもある。的に当たって戻ってくるまでもまぁまぁ練習が必要になるし、狙った箇所に的確に攻撃できるなんてかなりの上級者にしかできない。チャクラムを使えるといっても、そんな上級者レベルではない…そのため、敵に攻撃を与えれていると入ってもお宝になりそうなところも傷をつけてしまうのだ…。
ぐぅの一声も出ないキシュ。
「いいんじゃないか?アイテムはだいぶと取ってるしこれからは出口目指すのを優先しよう。」
そうなのである。
キシュのお宝探しが先行し、出口を目指すのは二の次になっているのだ。
「そうよ!あたしこれ以上荷物増えるの嫌だしー!!」
「あたしも〜!疲れた〜!」
マリーとコロッツィオのブーイング。
確かにアイテムは十分取れた。夢中になりすぎて、かなりこの洞窟を探検もできた。
「うー…。わかったよ…。今からはここから出ることを第一に考えて行動するぅ…」
少し残念だが、十分収穫はあった。気を取り直し、出口へと向かう。その間も遭遇するわする魔物の群。無視できるものは無視して、走り去る。無理なものはあまり無理せずに、倒していく。東へ向かいひたすら歩いていた時だ。遠くの方が明るい。よくよく見るとキラキラした美しいシャンデリアのようなものが天から垂れ下がってる。そして、上を見上げると無数に煌めく青白いあかり。その光に導かれるようにマリーとコロッツィオが無邪気に見物しようと走り出した途端だ。
「きゃー!!」「きゃ〜!!」
マリとコロッツィオの声が響く。急いで駆けつけると宙を浮く2人を発見した。よくみるとシャンデリアのようなものに絡待った2人。そして引きづりあげられる先には煌めく青白いあかり。
持っていたあかりを向ける。明かりに照らされたのは巨大な虫の幼虫。粘液に包まれ、点々と無数の光を放つその姿を見たマリーとコロッツィオは血の気が引く
「や〜〜〜〜ん!!」
「ちょっとーー!!虫無理無理無理!!助けてー!!」
「いくよ!!!」
「えーーー!!ちょっとあたしたちに当たらないようにしてよー!!」
キシュは集中してチャクラムを投げる。
あたりの糸がブチブチと来れるラッキーなことに
吊り下げていた糸が切れ、急降下する2人を素早くジョージとサマーティーがキャッチ。
カチカチカチカチ
その気味悪い音は反響し段々と大きくなる。
「まずい!!親をやばれてるぞ!!」
「親?!!」
天井の青白いあかりが一箇所に集まって行く。
そして上から大きな物体が降りてくる。
シャンデリアのような糸は繋がり合い蜘蛛の巣のように変化する。そしてその糸をたどってやって来たのは見たこともない大きな蜘蛛。
「みんな!!構えて!!」
今まで戦った魔物とは比べ物にならない位巨大な蜘蛛は、巣から降り立ち大地に足をつける。その振動でみんな体が宙に浮く。
素早い動き。
鋭く硬い脚で攻撃を仕掛けてくる。
急いでコロッツィオが防御魔法を唱える。
キシュ達はジャンプして、攻撃をかわす。
蜘蛛が勢いよく回転する。お尻から白い糸を噴出しながら…。
予想外の攻撃に全員が糸をあびる。粘着性があり体がネチャネチャとくっつく。
動けない…。キシュは唯一動く脚で、蜘蛛の攻撃を交わす。けれどもやはり動きは鈍っていて、少しの傷をうける。蜘蛛の鋭い脚が攻撃をしかけ、逃げようとした時だ。
グゥオォォォ!!!
大きな雄叫びと共に二つ頭の魔物がキシュの前に現れ、言葉も出ないキシュ。その突然の出現に驚くサマーティとジョージ。
「いっけ〜!!オルトロスぅ〜!」
「頼むわよ!シルフィ!」
マリーの気の抜ける掛け声とコロッツィオの声に一同驚いていると、体に巻き付いていた糸が取れそして、ネチャネチャが消えていた。
「どういうことだよ…これ?」
「体の粘りが消えた?」
「皆ー!!大丈夫?!」
全員がキシュの元に駆け寄る。驚きを隠せないサマーティがマリーとコロッツィオに質問する。
「これどういうことなんだ??」
「召喚魔法だよ。」
コロッツィオの発言に驚く三人。
サマーティは目を輝かしている。
「話はあとあと!とにかく今のうちに!」
「体制整えて〜、やっちゃうよ~!!」
メンバーは戦闘体制をとり戦う。
蜘蛛は脚の攻撃と糸の攻撃を繰り返す。
しかも糸の攻撃は、一度発動してしまうと次の発動までにかなりの時間がかかるようだ。
糸の攻撃も厄介だが、なによりも足の攻撃がなかなか辛い。それに、ジョージが得意とするジャンプ攻撃も上の粘着性のある巣のせいで使えない。
マリーの魔法攻撃も通用するといえばするが、分厚い皮膚が守りになり、なかなかダメージを与えれない。
そう。
この蜘蛛の化け物。蜘蛛っぽいくせに腹の部分は硬い皮膚で守られている。まるで甲虫のようなのだ。
キシュは必死で考える。
どうすれば倒せる??
そして気がつく。守りが薄い箇所を。
そう。足の付け根。
蜘蛛のような化け物。どれだけ硬くても足の付け根の部分は細く、頑張れば切りおとせそうなのだ。
「さすがキシュ!足を一本一本切り落とそう!!」
「あ〜ん!えぐい〜〜!!」
そうして脚を一本づつ攻撃して行く作戦をとった。脚さえやってしまえば、あの脚からの攻撃は無くなる。
脚は予想通り比較的楽に切りおとせた。
(とは言っても、何度も何度も叩かないとダメ)
ようやく全ての脚をそぎ落とし、ダルマ状態になった化け物の頭をジョージとサマーティーの刃が突き刺し、ピクリとも動かなくなった。
上にいた子供達は何事もなかったように連結させていた巣を解き放し、辺りは元の状態に戻っていた。




