表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
wonder hole -last player-  作者: にゃこ
34/164

ドラゴンの王国-3


国王の間に通されるかと思っていたが、通されたのは自室だったようだ。扉を開けると年の割にはガタイの良い男性が立っている。右目に眼帯をしている。きつそうな顔つきだが笑顔で迎えてくれた。


「あの厄介な魔物を倒してくれたのはグビドの縁者だったのか!納得したぞ。お前たち名前は?」


それぞれ自己紹介する。キシュは最後に挨拶をした。


「グビドの娘のキシュです。」

「娘?あいつ子供いたのか…。っで?どうしたんだ?」

「あの…あたしたちのために祝賀会が開かれるって聞いて…」

「あぁ。そうだが。明日の夜予定している。」

「その祝賀会…。中止していただきたいんです。」

「なに?なぜだ?」

「僕たちはグビドから依頼を受けて動いています。」


国王は質問を返す。そりゃそうだ。


「それで?なぜ祝賀会を中止したいんだ?」

「どうもその依頼かなり危険だったようで…僕たちは狙われているような…」

「?!狙われてるとは…どんな奴らにだ?」

「え…っと…。まだ確証があるわけではないのですが…レルエナ帝国の暗部…。」

「レルエナだと?」


国王は考え込む。

確かグビドは今レルエナを探っていると言っていた。こっちにも影響があるのか??グビドは足跡を残さない。それではこの者たちも残してはいけない…。そうなるな…


「まだわかりませんよ。僕の憶測でしかありません。」

「…それで公の記録に残る祝賀会は中止したいと言うことか…。足跡は残さない方が身のためだ。わかった。中止させよう。それと今回の討伐の件も偽装させるようにする。」

「ありがとうございます!」

「いや。いいのだ。私もある程度事情は知っているからな。しかし、…私としても礼はせねばならん。」

「…お礼だなんて…」

「いやいや。義理とはいえ甥の命を助けてくれたのだから。それくらいせねばならんよ。」

「え?!」

「あの子は血は繋がってはいないとはいえ、私にとっては可愛い孫のようなものだ。」


優しく微笑む国王が印象的だった。その日はドラグーンに滞在することになった。コロッツィオとマリーは城の図書室へと向かうと言い飛び出した。キシュとサマーティーは城下町に買い物をしに出かけることにした。


石造りの道。賑わう露店。果物・肉のいい香り。2人は武器屋を探し歩く。


「なぁ、なんで突っかかったんだ?キシュらしくない。」

「え?あーぁ。ビッツのこと?

あたしも良くわからないわ。なんだか無性に腹が…」

「って…!ちょっ!!キシュ?!」


キシュがいきなり駆ける。サマーティーは驚いて追いかける。その先にはコブと一緒に歩くふてぶてしいジョージがいた。キシュはジョージの目の前に飛び出す。コブとジョージもいきなりの出来事に驚く。


「…お前は…。」

「ちょっと聞きたいことがあるの。」

「なんだ?」

「あなた、ビッツのお兄さんなんでしょ?なんであんなに冷たいの?」


キシュの問いかけに一瞬驚き、そしてため息がこぼれる。


「いきなり何かと思えば…赤の他人には関係ないことだ。どいてくれ。」


キシュの肩を掴み、押しのけ前へと進む。コブは笑ってキシュに話しかける。


「あいつはそんな酷い奴じゃないんだ。ただ…不器用なだけなんだよ。」


前からジョージがコブを呼ぶ。

コブはにっと笑い、ジョージのもとへ駆けていく。


「どうしたんだよキシュ?やっぱりらしくない。ビッツが好き…」


平手の音が響く。


「わかんないのよ。わたしだって…。兄弟なんだよ…同じ血を分けた…」


手が震える。なんだろう。自分には兄弟なんかいないのに。なんか変な感じだ。息が荒くなる。

なんだろう。頭がぐるぐると回る。記憶が回る。ループする。


「大丈夫?疲れ溜まってんじゃないのか?」


手の震えが止まる。サマーティーの暖かい手が包んでくれたおかげだ。不思議とぐるぐると回る変な感じも止まった。


「あ。…ありがとう。」

「どうする?戻るか?」

「大丈夫よ。それよりも武器を新調したいわ。これから先の道のりは結構厳しいはず。」

「まぁ。そうだな。北上するにつれ魔物は強さをますからな…」

「えぇ。だから行きましょ。」

「そうだな。」

「手は離してよ。」

「あ。ばれた?」

「バレバレよ。言っとくけどあの時の事忘れたわけじゃないでしょうね?」

「あの時の事?」


とぼけた表情にむかついた。

抑えていた感情が漏れる。


「あたしはあんたの事好きなんかじゃないの!」

「わかってるよ。だから好きになってもらえるように頑張ってるんじゃないか。」


当たり前のようにさらりと発言するサマーティー。言われたキシュが照れる。


「どんなに頑張ったって、どうにもならないわ。」

「わからないさ。」

「ふん!」


腹が立つ。どこまで本気でどこまで嘘なんだろうか、この女たらしは。男性経験がないからと言って騙されはしない。サマーティーを睨むと笑顔がかえってくる。

気まずい。

とぼとぼと武器屋にむかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ