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wonder hole -last player-  作者: にゃこ
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ドラゴンの王国-2


石造りの城。長い中廊下。ふと横に目をやると深い渓谷が目に映る。雲が近い。鳥が気持ちよく風を切る。冬出なくてよかった、夏の終わりだというのに肌寒い。きっと冬になればこの廊下を突っ切るのも一苦労に違いない。ビッツは南にある国防特軍のある棟へと急ぎ、皆んなはついて行った。

会う兵達がビッツに声を掛ける。よく戻ってきた。と暖かく迎えてくれている。ビッツは笑顔で丁寧に心配をかけたことを詫びた。そのやりとりを見ていると、みんなから愛されているんだなと思えた。


国防特軍の棟は三階建ての少し大きな建物。玄関の門をくぐるとすぐにあらわれる中庭で、兵士たちが槍の稽古をしている。休憩中の兵士に近づく。


「すみません。ジョージ隊長はいますか?」


すると後ろから豪快な声が響いた。


「ビッツ!!よく帰ってきたな!大丈夫だったか?」

「コブ隊長!」


振り向くとガタイのいい男性がやってくる。

身長はサマーティーよりも少し高い、厚い胸板に太い腕。長めの前髪は後ろに書き上げられ、整髪剤で固定されている。顔の中心に大きなバッテンの傷跡。いかにもつわもの感がでている。ビッツは笑顔になり、左腕を後ろに回し右手を額へあて敬礼する。稽古をつけていた兵士たちも手を止め同じように敬礼する。それにつられコブも敬礼するとすぐに手を前に出す。皆は速やかに元の作業に戻った。



「なんとか!僕もジャコモもこの方々のおかげで助かりました!」

「そうか!心配したぞ。」


コブはキシュたちの方をみて、笑顔で深々と礼をする。


「ところでどうした?ジョージか?」

「あ!はい!」

「お前があいつを尋ねるなんて珍しいな。」

「…ちょっと急用でして…」

「そうか。あいつは今二階自室にいる。お前の無事な姿見たら喜ぶだろ。」

「…そうだといいんですが…。」


少し苦い表情でビッツがコブに返答したあと、お礼をし二階へと急いだ。

不思議に思う。ビッツの尊敬してやまないお兄さんは一体どんな人なんだろう?ビッツのように垂れ目で柔らかな感じなのだろうか?それなのに、ビッツはここに近づくほど顔が強張っている。一体どんなヒトなのだろう?少しワクワクしてキシュはビッツの後ろを歩いた。


建物の中央にある階段を登り、二階へ登る。すぐ右にある扉をノックする。少し低めの声が応える。


「飛竜魔道第三部隊 ビッツ・ロロスティアです。」


少しの間があった。

やはりビッツの顔は不安そうだ。


「入れ。」


扉を開けると、真正面の机で書類作業をする1人の華奢な青年が見えた。コガネ色の髪。スッとのびた鋭い青い瞳。長い前髪は9:1で右に流れ整髪剤で固定されている。襟足も長いのか、襟足の髪もきっと長いのだろうが尻尾のように整髪剤でまとめられている。先ほどのコブとは正反対の容姿をしていて、本当に強いのか疑わしかった。これは事務員なのではとこっそり思うほどだ。それにビッツ共とも全然似ていない。予想外の外見に驚いた。ジョージは手を止めビッツを睨む。


「何だ?ここには用がない限り来るなと言っているだろ。」


あまりにもきつい物言い。ビッツは申し訳なさそうに心苦しそうに、謝る。


「すみません。あの兄さんに頼みたいことが…」

「城内では兄さんと呼ぶな。」

「すみません…。」

「それでなんだ?頼みとは?」

「あの…この方々が国王にお会いしたいそうで…。」

「なぜ俺に頼む?執務官を通せばいいだろ?」

「それが…その…」


ビッツはジョージのキツイ物言いに反論することができない。それに顔を見ることすらできない。ただただ床を見つめる。


「?」


机を思いっきり叩いてやった。

あたりに音が響く。サマーティーが止めようとしたけど振り切った。


「なんだ?」

「あたしが頼んだのよ。今すぐに国王に会いたいの。祝賀会の中止を頼みたいのよ。」


2人が睨み合う。


「なぜ中止を要求する?」


キシュは黙る。言えない。


「言えない理由があるということか…。お前たち何者だ?」


「何者だっていいでしょ?」

「いや。よくない。お前たちが犯罪を侵している者たちならばここで捉える必要がある。」

「ジョージ隊長!そんな!この方達は僕を助けてくれたのですよ!」

「黙れ。お前はそんなんだからダメなんだ!」


また口をつぐむ。涙が目を覆う。

こらえる。どうか涙がこぼれませんように。


「あたしたちはそんなんじゃないわ。」

「それじゃ何だというんだ?」


沈黙が流れる。

ビッツは机にある伝送筆を取り出した。

サマーティーはそれを見逃さない。


「グビドの使いのもんだって国王に伝えろ。それだけでわかるはずだ。」


「グビド?」

「いいから。伝えろよ。俺らの身元の潔白を証明してくれるのは国王だけだ。」


疑いの眼差しでサマーティーを見つめるジョージは伝送筆を机に置き、胸ポケットから別の伝送筆を取り出しさらさらと書く。少し立つと用紙に勝手に文字が浮かび上がってきた。ジョージはその文字を読みさらに文字を書き綴る。


「国王が会うとのことだ。案内をすぐよこすようだ。下で待っていろ。ビッツ隊員は魔導部隊にでも戻っていろ。」

「……はい。」


「あなた。実の弟が無事に帰ってきたのに何も言うことはないの?」


思わず口が滑った。ジョージはため息をつきを一つ。


「飛竜兵は常に竜と共にあるべきだ。それを忘れるな。」


帰ってきたのはお説教。

それでもビッツは兄の言葉に喜んだ。元気よく返事をする。廊下にでて下へと向かう。


「何なの?あいつ!冷たいにもほどがあるんじゃない!」

「いえ。軍人なら当たり前なんです。兄さんは人一倍真面目ですし。それに僕は兄さんから言葉をかけてもらえただけで十分です。」

「ビッツ…。」


棟を出ると案内をするための使いが既に待っていた。ビッツとは別れ、国王の元へ向かう。


「ねぇ。なんで父さんの名前をここの王様が知ってるのよ?」

「あれ?キシュ知らなかったのか?グビドはここの王様と仲いいんだぞ。」

「顔が広いのは知ってたけど国王様レベルまでとは思わなかったわ。」





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