出会い-3
暗黒の竜は空から旋風を巻き起こす。木々はなぎ倒され、あたりはめちゃくちゃ。勢い良くこちらに近寄ってくる。防御魔法がビッツとコロッツィオによって張り巡らされ、サマーティーとキシュは武器を手に取り駆け寄る。勢いよく振り下ろされる刃。思っていた以上に硬い。反動で体制が崩れる。
「!?無理よこんなの!!すごく硬い!!」
キシュのナイフでは傷を与えることができない。サマーティーもなかなか厳しそうだ。
マリーが魔法を唱え、炎が勢い良く放たれたが、炎は竜の体を包みきれずダメージはあまり与えれていない。
「そんな~!!」
キシュは状況をすぐさま読んだ。今攻撃をできる可能性があるのはサマーティーとマリーだけ。援護魔法でとにかく2人を今より強くするしかない。悔しいが、自分はまったくもって役に立てない…。
ビッツとコロッツィオを呼び寄せる。
「強化の魔法は唱えれる?!」
「え?!無理!!!まだ使えない!!」
「僕はいけます。」
「わかったわ!それじゃビッツは攻撃強化魔法をサマーティーに、マリーには魔力強化魔法かけて!コロッツィオはビッツの援護を頼める?」
「わかったわ!」
「けれど…キシュさんは…?」
「あたしはとにかく防御魔法かけて。引きつけ役ぐらいならできる…。」
「けどそれじゃ!」
「いいから!!…それしか私の役割ないのよ…」
キシュの切迫詰まった声にビッツは反論することはできない。ビッツとコロッツィオは身を合わせ、コロッツィオがキシュに防御魔法を唱え終わるとすぐさまキシュは竜の元へと走って行く。
ーあたしなら大丈夫…
心でそう唱える。竜の周りをちょこまか動くキシュ。払いのけようとするも、それをひょいひょいとかわすキシュ。キシュの陽動のおかげで落ち着いて魔法演唱ができたビッツはまずサマーティーに攻撃強化の魔法を唱える。サマーティーの攻撃は確実に相手に効いている。竜はギラリとビッツを睨みつける。
「コロッツィオさん!!援助お願いします!」
「任せて!」
竜の鋭い爪がビッツに向けられる。コロッツィオの物理防御魔法が唱えられる。間に合って!心で祈る。間一髪で魔法は放たれた。
鋭い爪はビッツに触れることができない。けれど衝撃波が体を襲う。
「大丈夫?!」
「大丈夫です!!」
ビッツはすぐに魔法を唱える。次はマリーへ。
「おぉ〜!なんか力がモリモリ~!!」
マリーは魔法を演唱する。竜の周りに気泡が現れ、包み弾けるやいなや、竜は軽く体制を崩した。苦しそうに。それでもなお、攻撃の手を止めない。爪があたりを貫く。ひょいひょいとかわすキシュに苛立ち怒る竜は時折苦しそうに唸る。毒が効いているようだ。これならいけそう。そう思っていた時、竜は突然攻撃を止め、天高く首を伸ばす。
「いけない!!!コロッツィオさん!魔導防御はれますか?!」
「いけるわ!!!けど全体には無理よ!!」
「…僕が全体にかけます!!!コロッツィオさんは自分にかけてください!それから全体の回復魔法をたのみます!!!」
「わかったわ!」
2人は魔法を唱える。コロッツィオは自分に防御魔法をかけた後、回復魔法をビッツは全体防御魔法を。コロッツィオはビッツの荒い呼吸を逃さなかった。それは魔力が限界に近づいている証拠だ。
ポケットから残りわずかの魔力回復剤を取り出し、ビッツの元へ走った。
「?!コロッツィオさん!」
「いいから!!」
ビッツは手渡された回復剤を飲み干す。コロッツィオは防御魔法を唱える。ビッツももう一度唱える。
竜は天に吠える。すぐさま青く美しい空は厚い雨雲に覆い尽くされるその瞬間に無数の雷が襲いかかる。あっという間の出来事。
空には青空が戻っている。
キシュはなけなしの力で立ち上がる。
「っつ……」
あたりを見渡すと皆倒れこんでいる。意識はあるようだが立ち上がることすらままならない状態。
こんなとこで倒れるわけにはいかない。
心で強く思うのに、ナイフを持つのが精一杯。息が上がる。目が霞む。傷が疼く。
竜の爪が振りかざされる。防御魔法のおかげでまだ大丈夫。けど次は保証できない。このままじゃ全滅してしまう。
「マグヌメルム…」
とっさに出た。
言葉の意味なんて知らないのに。
首につけていた宝石が光る。
竜の周りの大地がひび割れる。
とっさの出来事に竜は翼をはばたかせ浮上する。ひび割れた大地は浮き上がる。頭上よりはるかに高く。そして勢いよく降り注ぎ、逃げる隙すら与えない。
勢いよく大地に叩きつけられた竜はピクリとも動かない。
誰もが突然の事態に驚いた。
-終わった…
安堵と疲れが襲いかかり意識が遠のく。




