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wonder hole -last player-  作者: にゃこ
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出会い-2


少し大き区細長い耳。全体的に丸いフォルムでミルクティー色の髪に垂れた深い青緑の瞳。ドラグーン国軍特有の紫の制服に白い毛皮が左からかけられている。

ビッツはただただ不安で仕方がない様子だった。けれどもみんなは彼を落ち着かせる術を持っていない。今は朝を待つしかできない。

しかし、朝になっても助けらしきものはやってこなかった。ビッツの顔は更に不安でいっぱいそうだ。そんなビッツの隣にちょこんとマリーが座り込む。


「ドラグーンって、どんなところなの〜??」

「え?」

「あたしとコロッツィオは森から出たこと無いんだ〜。」


ビッツは少し驚いた後に誇らしげに語ってくれた。


ドラグーンはマキニアとマキナが大半を占め、オーランソ大陸で二番目に大きな国。国名の由来はドラゴンを仲間としたことからきている。統治面積はレルエナに比べれば少ないけれど、豊かな森と海のおかげで食べ物に困ることはほとんどないようだ。ドラグーンの首都はかなり高度が高いため、他国からの移動手段として飛空挺がでているのだが、魔物のせいで現在欠航している状態だという。


「えー。それじゃ城下町まではどうやって行くの?!」


その話を聞いてコロッツィオが不安になる。飛空挺が出るほど高度が高いなら、徒歩なんてどう考えても無理だからだ。けれどもビッツは朗らかに笑って大丈夫!と答えてくれた。

ビッツ曰く、特に崖などはなく比較的距離は長いものの徒歩で着くらしい。

一向は支度を済ませ、出発する。

ビッツとサマーティーが先頭で森を西へと進む。すると急な斜面に直面した。


「行き止まり…。」

「いえ。ここを登ります。」

「え〜!?崖は登らないって~。」

「え?これは崖とは言いませんよ。僕だって歩けるんですから!」


笑いながらビッツはスイスイと急斜面を歩いて行く。

その姿を口を開けて眺めるコロッツィオとマリー。


「私とサマーティーはいいとしてコロッツィオとマリーは大丈夫そう?」


コロッツィオとマリーは二人して顔を見合わす。

そして乾いた笑い声が帰ってきた。無理もない。平坦な森で過ごしてきた彼女たちにいきなりこれは過酷すぎる。


「キシュ。俺たちは二人をサポートしながら登ろう。」

「そうね。それじゃあたしたちが先に登るからついてきて。」


キシュたちは比較的登りやすそうな場所を探し、マリーとコロッツィオを誘導しながら登った。

ビッツがものの10分ほどで登ったのに対して、四人は30分以上の時間を要した。マリーとコロッツィオは息が切れ、登りきった途端地面に腰をおろす。


「大丈夫ですか?」

「なかなかきつかったわ。」


額の汗を拭ってキシュが答える。


「すみません。てっきり僕でも登れると思って…。」

「ビッツはマキニアだろ?俺もフィルディアで少なからずマキナの血があるからさ楽なんだけ…彼女たちはマキナの血が入ってないから…」

「ほんとすみません!ここからはほとんど平坦な道が続きますんで。」


申し訳なさそうに謝るビッツ。そして歩きつづける。


ビッツの言ったとおり平坦な道は現れない。やはり感覚が違うようで苦労した。一時間かかると言っていたが、もう三時間はかかっている。歩いている間ビッツのことを色々と教えてもらった。さっき僕でもと言ったのが気になったのだ。

聞いてみると、ビッツは運動神経抜群のマキナの血を持つも、運動神経最悪のルラの血の方が強いマキニアのようでドラグーン国内の平均値よりも運動神経は低く、ドラグーンでは余裕でパスする飛竜試験も3度目でようやく合格したらしい。魔導の方はなかなかの腕を持っていてドラグーンでも珍しい飛竜軍魔導部隊に所属しているらしい。


「へー。魔法が得意だから軍に入ったの?」

「まぁそれもあるんですが…兄さんへの憧れの方が強いですね。」

「へ~!お兄さんいるんだ!お兄さんも魔法使いなの〜?」

「いいえ。違います。僕の兄さんは防衛特軍の部隊長なんです。」

「防衛特軍?!あの晴天の雷っていわれてる?」

「えぇ!そうです!兄さんはマキナの血が濃くて物凄い運動神経なんです!」


ビッツは兄のことをとても誇りに思っているようだ。

嬉しそうに誇らしげに答えるビッツ。


「けど、同じ家族なのに全然違うのね。」


みんなが思ってても言えない言葉をさらりと言っちゃうキシュ。少し困った笑顔でビッツは答えてくれる。


「兄とは異母兄弟なんです。だから全然タイプが違うんですよ。」

「…そうだったの。」

「えぇ。けれど本当に心から尊敬してる…。」


ビッツの顔から突如笑顔が消え、目は見開かれる。

その異様な雰囲気にみんな驚く。


「どうしたの?」


ビッツはあたりを見渡し、なにか唱え始めたと思ったら、右の方角に勢い良く駆けていく。


「ちょっ!だからどうしたのよってばー?!」


皆はビッツの後を追う。

ビッツは感じていた。森の奥からパートナーの鼓動を。…速い。息が荒いのか?どうして?どうして??ビッツは混乱気味に走る。右へ右へ。そして立ち止まる。


「!?ジャコモ!!!」


ビッツの声に反応し、弱々しく声をあげる飛竜。美しい碧の鱗で包まれた身体は血で赤染め上げられている。立ち上がろうと必死になるも立ち上がれない。力がはいらないようだ。


いけない。動いてはいけない。ビッツは急いでジャコモに駆け寄る。急いで応急処置をしなくては。


「危ない!!!」


キシュの声がビッツを引き止めた。

刹那、左頬を何かが横切り、痛みを感じる何者かの攻撃。

感じる。荒々しい殺意が。すぐさま後退し、防御魔法を唱える。


キシュ達もビッツに追いつきすぐに戦闘対戦に入った。目の前には暗黒のドラゴン。今からお前たちを食い尽くしてやると言わんばかりに目を光らせながら荒々しく雄叫びをあげている。


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