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wonder hole -last player-  作者: にゃこ
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報告


帝国に着くや否や長月の息は荒くなり、意識がなくなっていた。急いで病棟へ向かい、治療室へと運ばれる長月。それを見届けた後、卯月はシュアトルの元へと向かう。その途中、葉月と出くわす。彼女もまたシュアトルに報告をしていたのだろう。


「どうだったの?」


バツの悪そうな表情が顔に出るのがわかる。


「…それが…。」

「宝石は手に入れれなかった。ついでに相手も逃がした。…とか?」


言い返す言葉がなかった。死力を尽くすのが暗殺部隊無月の鉄則だからだ。


「…まぁそんなとこだと思ったわ。それに今あなた達がいなくなるのは得策でもないし。」

「そう言ってもらえると助かるわ。」

「長い付き合いだもの。あなたが無駄死にしないことはわかってたし。ふふ。意地悪言ってごめんね。早くシュアトル様に報告しに行きなよ。」

「うん。」


卯月は急ぎ足で、シュアトルの部屋へ向かった。ノックをするとシュアトルの声が帰ってきたので、扉を開けた。ラフな格好でレコーダーからタイプされた葉月の報告書を眺めているシュアトルがいる。卯月が入ってきたのに気がついて、顔をあげる。


「その顔からすると、あまりいい報告ではなさそうだな。」

「申し訳ありません。」

「それで、相手は確かに宝珠を持っていたのか?」

「雰囲気・状況からして確定的だと思われます。」

「そうか…。それではそのもの達にターゲットとしよう。…ところでディガムはどうした?」

「戦闘の傷が深く、今緊急治癒中です。」

「ディガムが?」


シュアトルの驚いた顔が一瞬見えたが、すぐにいつもの表情に戻る。


「仕方が無いか…あのテストの後すぐにお前達を向かわせたのだからな…。よく戻ってくることを判断したなミンキュ。」

「いえ。相手が良かっただけです。」


「相手…か。葉月の報告ではパソナ三人に、フィルディア1人のはず…さほど手こずるような相手では無い気がしていたのだが。」

「私も当初はそうおもっていたのですが、戦ってみると、パソナ三人と思われていた者たちは1人がザルア。もう一人がソリティアでした。」

「ザルアにソリティア?」

「はい。私も始めてみました。」

「そうか…。それは想定外だな…。チーム編成を変える必要がありそうだ…。貴重な情報よく持ってかえってきてくれた。下がっていいぞ。」

「はっ。」

「ミンキュ。君は休んで万全な状態に戻しておいてくれ。」

「ありがとうございます。シュアトル様、キャプチャがとれましたのでお渡しいたします。ただ…あまり鮮明に取れていないのですが…」


手渡された画像を受け取り確認をする。そこにはボンヤリと三人の少女と1人の青年の画像が映されていた。少し分かりにくいがないよりマシだ。


「ありがとう。下がっていいぞ。」


ミンキュが部屋をでた後、少し考え込むシュアトル。

ミンキュの報告が正しければ、なかなか厄介だ。白魔術・黒魔術を使うものが仲間にいるという事か。しかもその使い手が、ザルアとソリティアときている。おかしい。ザルアは旅にでたりはしない。ましてやソリティアと旅をするとは考えれない。奴らならルラを供にするはずだ。それではいったい何者なのだ?シュアトルは今までの記憶を巡らせてみるが、なかなか答えはでなかった。

国の部隊ではないのかもしれない…。

シュアトルは席に戻り、机の上に右手をかざす。


ニンショウカンリョウ


机の上にキーボードとフォログラムディスプレイが現れる。いそいで、キーボードを叩く。

ディスプレイには、葉月から了解の返事が表示されている。

先ほどとは逆の方向に手をかざすと元の何もなかった机に戻った。


5分も立たないうちに、葉月はやってきた。


「いかがいたしましたか?」

「君に頼んでいた件だが…」

「宝珠を持っているものの身元特定の件でしょうか?」

「あぁ。そうだ。さっきは各国の軍部リストから探すよう指示したが、それはやめてもらっていいか?」

「了解です。」

「かわりに、モンスタハント登録者や、賞金ハント登録者から探してもらえないか?」

「…了解いたしました。一般人からのリストアップとなりますと特定にかなりの時間を費やすかと思われますが…」

「わかっている。」

「申し訳ありません。ですぎた口を…」

「いや。いいんだ。無理を言っているのは百も承知だ。すまないが頼む。お前の部下達は狂信者達の対応であまりまわせないだろう。司書室のものを数人回そう。あと、ミンキュがキャプチャをとってくれた。あまりいいものではないが何か手がかりになるだろう。」

「ありがとうございます。」

「頼んだ。」


シュアトルの部屋を去っる間際、葉月の元に報告がはいった。


「…。厄介な事になってしまいました…。」

「どうした?」

「やつら、ドラグーンに入ろうとしているみたいです。」

「厄介だな…。」

「まだ国境付近のようですが、都市部にでも入られると手が出せなくなるかと…。」

「…ここは一時休戦だ。」

「…大丈夫でしょうか?」

「ドラグーンから出る際どうせ国境を渡るだろう。今は身元を確定させ検問に回す事を考えよう。」


「検問ですか…。検問で一つきになる事が。」

「…クロノアか?」

「はい。やつらやはり我々の介入を拒みます。」

「クロに近いな…」

「やはりクロノアが黒幕という事でしょうか?」

「…クロノアが二国間同盟に不服なったのは明らかだ…。きっと狂信者たちの武力はクロノアからだろう。かなりマズイ事に、我らの技術をはるかに超えている…。多分まだ量産はしていないはずだ。」

「…事実さえ掴めればいいのですが…。」

「クロノアは狂信者たちを利用し、その間に軍事力をあげるのだろう。もしそれが成功でもすれば戦争だ…。」

「…」


2人は静まり返る。

戦争が起きてしまえば勝ち目は五分五分…いや勝てたら奇跡だという事が分かっていた。


「大丈夫…。そうならないために俺たちがいるんだ。そうはさせない。」


シュアトルの笑顔をみて葉月の不安は薄らいだ。

あぁ。この人が言うのだから大丈夫だ。任せよう。


葉月が部屋をでた後、シュアトルはティアトルに伝えたいことがあると伝えると、兄は上機嫌で返事をした。今兄はあの女に夢中なのだ。シャザンヌ。

シュアトルはシャザンヌに憎しみを抱いているのがわかった。

ティアトルは次期王位につく大切な人だ。あの女が兄をたぶらかしよからぬ方向に進みそうで怖い。


シュアトルはため息を一つつき、ジャケットを羽織り、正装姿で兄の元へと向かった。




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