雨のち道
雨が降れば降るほど
見える道がある
雨降りの夜は
部屋の電気を消して
外と部屋を暗闇で
ひと続きにする
窓をそっと開けて
湿っていくアスファルトと土の匂いを
背中までいっぱいに膨らませて吸い込む
雑草が生えないようにと畑にかけられた黒いビニールを
無遠慮に叩き続ける音
まるで雑草たちを目覚めさせようと血眼になっているように
まるで雑草たちの生長に声援を送るかのように
それは強く降れば降るほど
大きく私の耳にも届いてくる
目をつむっていても聞こえるもの
それは長く降れば降るほど
確実に私の鼻にも届いてくる
耳をふさいでいても匂うもの
やがて
家家からこぼれ出た蛍光灯の白い光が
田舎道を僅かに照らす
そこには白く淡い筋が浮かび上がる
普段は田畑と区別もつかない田舎道だけど
雨が降れば浮かび上がる
あぁ
そこにあったのか
晴れの日ばかりでは見落とすところだった
今日が雨で良かった