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プロローグ:勇者(魔王)召喚の儀

異世界転生からの異世界召喚~苦労人系魔王の新人冒険者観察~

http://ncode.syosetu.com/n7304ds/


のカナタサイドのストーリーです。

閑話にしようか悩んだのですが、蛇足になるかもと思ったので新たに立ち上げました。

「タ!タナカ様!」


とある世界の魔王城の一室、漆黒のアクマの目の前で突如それは起こった。

目の前の至高の存在、主である魔王タナカが淡い光に包まれている。


「ほお、俺を召喚しようとしている奴がいるのか…」


だが、当の本人はどこか楽しそうだ。


「面白そうだし、ちょっと行ってくる。戻って来られるかわからんけど、戻らなかったあとよろー」


えらく軽い調子で、片手をあげて光に全てを任せる魔王。

自ら飛び込まない限り異世界からの召喚を拒絶していたあたり、流石歴代最強の魔王である。


「ちょっ!あとよろーって何ですか!ていうか、仕事!城下町の噴水の補修!街灯用魔石への魔力補充は誰がするんですか!ちょっ!タナカ様!タナカさまーーーー!」


彼の名は絶倫…タナカ城の永遠のナンバー2である。

きっと、彼はこれから他の幹部に問い詰められ、心労の絶えない日々を送るのだろう…



―――――――――

「ここは?」


周りに目をやると、数人の神官が俺の周囲を取り囲んでいる。


「あっ!」

「えっ?なんで意識が?」

「あ…う…えっと、ようこそ勇者様?」


神官の人達が首を傾げている。

意識がってどういうことだろう?意識があっちゃまずかったのかな?

というか、いうに事欠いて勇者て…残念魔王です!


「勇者?俺が?」


取りあえず乗ってやるか。

こいつらが何を企んでいるかも気になるしな。


「え…ええ、貴方様は勇者になられる方です…よ?」


なんか、煮え切らない返事だ。

何故に疑問形なんだ?

というか、もっと自信もって対応してくれよ…こっちが不安になってくるじゃねーか。

そんな事を思っていると、神官達が集まって何やら相談を始める。


(おい…どうすんだよ!これじゃ、新隷属の指輪改マーク2零式第8試作品が試せねーじゃん)

(どうしましょう…といってもこれが効くかも分からないですし)

(今までのだって、ことごとく召還者には効きませんでしたしね)


うん、丸聞こえだよ。

その指輪を俺に嵌めたかったのか…だから、意識があったら困るのね。

本来なら、召喚された時点では意識を失ってるものなんだろうな。

まあでも、隷属の指輪とか完全状態異常無効の俺に効くわけも無いし。

ちょっと釘を刺しとくか。


「ていうか、その指輪俺には効かないからな?というか、たぶん嵌めたら勝手にレジストされて砕けるんじゃないかな?」

「えっ?なんでそれを?」

「いや、隷属の指輪だろ?俺を従えられる奴なんて居ないし…っていうかここどこ?」


俺の質問に対して、神官達が困ったような表情を浮かべる。

誰も何も答えてくれない。


「ていうか、なんで呼んだし!」


あまりにも雑な対応にイライラしてつい叫んでしまった。

全員が一瞬ビクッとなる。

メンタル弱すぎだろ!

そもそも、勇者って呼ばれた時点で、あっ察し…てな感じだが一応確認大事だしと思っただけだよ。

はよ答えろや!


「いや、その勇者様には魔王と魔族を是非滅ぼしてもらいたく「やだ」


ほら来た!

お約束過ぎるわ!

ていうか、俺が魔王だし。


「いや、そのやだって言われましても」

(ほら、だから言っただろう?地球とかってとこから来る奴、みんな自由きままに動くからダメなんだって)

(そんな事言ったって、他の世界から呼ぼうにも何故か毎回地球人ってのが来るんだよ)

(ひょっとして、この世界以外には地球ってとこしか無いんじゃないのか?)


「地球以外にも世界はあるぞ?」

「ほら見ろ!こいつら想定以上に基本能力高すぎなんだって!めっちゃ小声で話してるのになんで聞こえるんだよ!」


神官なのに口が悪いな。

というよりもう捨て鉢になってるのかもしれないな。

こいつらって言ってる時点で、今までも何人も召喚してるのかもしれないし、そのことごとくが隷属に失敗したんだろうな。

というか、勝手に召喚しといていきなり隷属しようだなんて、ふざけた奴等だ。


「そんな下らん用事なら、もう行くぞ」


そう言って元の世界に戻ろうと転移魔法を発動させようとするが、上手く反応しないな。

どうも、世界の軸が大幅に違いすぎてアクセスポイントが見つからない。

まあ、くまなく探せばどこかにあるだろうし、気長に行こうか。

と言っても元の世界に行けないだけで、視界の範囲内なら転移は出来そうだし、恐らくこの世界の中なら行った事ある場所くらいなら行けそうだな。


「こ…これは魔力?すでに魔法が使えるというのですか?」

「使えるし、というか元居た場所に帰るにも、時間が掛かりそうだから少しこの世界で遊んでいくか」


俺が魔法を発動させようとしたのを感じ取ったのか、神官の1人が驚いている。

そんな事はどうでも良い。

というか俺にとって、この場合元の世界というのは、転生した場所か地球かで悩みどころだが。


「ついでに魔王を滅ぼしたり「しないよ?」


食い気味に否定したら、すげーゲンナリした顔してて笑える。

まあ、もうここには用は無いかな?

こいつらスゲー偏った思想してそうだし。

見るからに怪しい宗教団体だよな?


「くっ!ならば強制的に指環を」

「【荒狂業火(イフリート)】」


取りあえず試しにちゃんとした魔法っぽい魔法を使ってみた。

普段ふざけた魔法しか使わないけど、せっかくの異世界召喚でテンション上がって恥ずかしくて前の世界で絶対使わないような、ちょと臭い魔法だ。

火の魔人を象った火炎が周囲を焼き尽くす。

勿論人には向けてないよ?

まるで意思を持ったかのような火炎が、人を避け調度品や、壁、天井を焼き落としていく。

さらに人に向かってその破片が落ちそうになると、そこに向けて次の火炎が襲い掛かり一瞬で蒸発させていく。

その途轍もない熱量で神官達が焼け死なないように、ちゃんと結界を張ってあげておこう。

数分もしないうちに辺り一面が焦土と化した状態で、神官達がその表情を恐怖に固めたまま動こうとしない。

うん、ちゃんと魔法は使えるみたいだ。

って事は【三分調理(キューピー)】も使えそうだ。

これで、食料の心配は無くなった。


「神殿が…」

「というか、なんで私達は無事なのでしょうか…」

「魔法陣が…これじゃあ、もう召喚が出来ない」

「ああ、先人達になんとお詫びすれば」


ああ、期せずしてこれからも、こんなところに召喚される不幸な地球人を生み出さないようにすることが出来たのか。

良かった。


「それじゃ、俺はもう行くからな」


俺はそう言うと、遠くの景色に向かって転移を発動させる。

5回も繰り返せば、相当遠くまで離れる事が出来た。

というか、ここはどこだろう?

森だという事は分かったけど…取りあえず飯にするか。

俺は【三分調理(キューピー)】を使って、サンドイッチを作り出す。

やっぱり、森でハイキングって言ったらサンドイッチだよな?


1話書きあがるごとに、投稿していきます。

ですので、かなりの不定期更新になると思います。


関連作品

異世界転生からの異世界召喚~苦労人系魔王の新人冒険者観察~

http://ncode.syosetu.com/n7304ds/

(基本毎日12時投稿を目指してます)


魔王に転生したけど人間に嫌われ過ぎて辛い

http://ncode.syosetu.com/n1549dl/

(こちらも書きあがったら投稿ですが、なるべく3日以内を心がけています)


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