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片 恋  作者: 由卯
9/12

彼女5

一人暮れなずむ街を見ながら、一人、行き交う人々の流れを眺める。

 夕暮れ時は、とても懐かしいような、それでもって寂しいような、そんな気分になる。

暮れなずむ夕日が、ビルの隙間に見え隠れしながら、沈んでいく。


 疲れた体をソファーに沈めながら、甘めのコーヒーを頼んだ。

ホイップしたミルクの中にキャラメルで花が描かれていた。


  「美味しそう」


 女の子は、幾つになっても、甘いものに目がない。

お酒が入る前に、ちょっとつまみ食いをしたかったが、時間もなさそうなので、コーヒーだけで、我慢することにした。


 暗くなるにつれて、先ほどよりは、人通りが多くなってきたようだ。

行き交う人々は、早足で過ぎていく。

もう外は、夜のとばりが落ちそうなほど、空も紫色から暗い夜の闇へと変わりつつあった。


 ゆっくりとした夕暮れ時は、またそれも 好きな時間だった。

時間を気にせず、過ごす至福の時間。

世の中がせわしなく動いていても、自分の周りだけは、異空間のようにゆっくりと時間が流れていく。


 ―まるで、デートの待ち合わせのような気分。―


 そう思うと、頬がうっすらと上気する。


 ―こんな時に、彼が来たら…―


 ソファーに沈んだ体を、なお一層、深く沈めながら、コーヒーカップに手をかけた。



 携帯電話の時計を見ると、6時50分、そろそろ来てもよい頃あいだった。


 彼の影が、カフェの鏡に映ったのが、ちらりと見えた。

ひと呼吸おくと、彼が扉を開けた。

鏡に映った彼が、迷わず、私の方へ真っ直ぐ歩いてくる。

心臓の鼓動が激しくなる。

彼の手が、肩に置かれ、私は振り向いた。

【彼5】へつづく

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