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片 恋  作者: 由卯
6/12

彼 3

少し日差しの強い休憩室で、彼女は外の景色を眺めていた。

 先ほどの彼女の表情が気になり、資料をテーブルに置くと、そそくさとオフィスを後にした。

動揺を隠すために、煙草に火をつけながら、さり気なく休憩室に入る。


 珈琲の深い香りに混じって、 ほんのりと甘い香りがした。

彼女の香水の香りだろうか。


 彼女は俺より後ろ斜め気味に立ち、外の景色を眺めていた。

顔の表情は、ここからは見えない。


 煙草を吸いながら、彼女の後ろ姿をぼんやりと眺めていた。

このまま時間が止まればいいと思った。


 ガラス越しの景色と彼女の影が溶け合うように、昼間の日ざしは強く照りつけていた。

俺は目を細めながら、そんな消え入りそうな彼女の細い肩を眺めていた。


 ―暑い。

  本当に今、11月なのか?―


 部屋の空調が壊れているぐらいの暑さを感じながら、額にはうっすらと汗が流れ始めていた。

煙草を吸いながら、この場をどう切り抜けようかと考える。



 ―やはり、話しかけるべきなのか…。―



 そう思いながら、くすぶり始めた短い煙草を消し、彼女の方へと近づいた。


  「あら、お邪魔だったかしら?」 と、いいタイミングで主任が入ってくる。


 俺の顔色をちらりと覗き、ずかずかと二人の間に割りこんできた。


 主任が入ってきたのと同時に、彼女はきびすを返し、休憩所から出ていこうとしたが、主任の手がそれを遮っていた。


 主任が彼女と話している間、気が抜けた俺は、またぼんやりと外の風景を眺めていた。

主任に急に胸を小突かれた時、何が起こったのか察しがつかなかった。

いつものように、独りでしゃべっていたのだろう。

主任が休憩室から出ていったのを見送り、休憩所から出ていこうとした彼女を引き止めた。

【彼女4】へつづく

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