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片 恋  作者: 由卯
2/12

彼 1

気怠い土曜の出勤。

 眠い目を擦りながら、ベッドから起き上がる。

時計の針は、今丁度、七時を指そうとしていた。

枕元に置いてあった目覚し時計が、けたたましい音で鳴り始めた。


 ライターを擦り、煙草に火をつける。

目覚めの悪い朝の、覚醒剤。

次第に視界が開けてくる。


 冷蔵庫から牛乳パックを取り出し、一気に飲み干す。

窓から入る日ざしが眩しい。

今日も天気が良いらしい。



 今日は、取引先に出向いての説明のため、小奇麗な格好をしてこいと、主任に言われたのを思い出し、とりあえずクローゼットから白いシャツを取り出した。

アイロンはしていないが、皺加工がしてあると言うことにしておこう。

パンツは無難な黒っぽいやつにした。


  「これなら文句はないだろう」 と、洗面所の鏡の前で、髭を剃りながら、呟いた。

土曜出勤は、何だか気怠い。




 エレベータを下りると、長い廊下の突き当たりにオフィスがある。

ずらりと並んだパソコンが、まるで墓石のようで、少し気味が悪い。

席につく前に、案の定、主任に捕まる。


  「いいんじゃないの、白いボタンダウン。

 タッパがあると、何着ても似合うから、羨ましいわ」


 何やら、いつもよりも気合いの入っている主任の出で立ちに、顔が歪んだ。


  「今日、行く会社。

 あそこ、良いが揃っているのよ。

 特に、社長秘書。

 バイリンガルで、凄い美人らしいわよ」


 −やっぱ、主任も一端の男だったってわけですか?

  まずはそのお姉言葉を、どうにかしろって話だよ。−


 まとわりつく猫をかわすように、ひらりと身を交わし、自分の席へ向かった。

 壁ごしに、ちらりと彼女の姿を探す。

まだ、出社していない。

軽くため息をつき、資料の準備を始めた。


【彼女2】へつづく

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