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片 恋  作者: 由卯
10/12

彼 5

待ち合わせのカフェで、意外な彼女の一面を見て…

 ビルから出ると、外は真っ暗だった。

街のイルミネーションが、心なしか寂しげだ。

しかし、昼間からすると、人通りも多くなっていた。


 カフェの横を通りすぎながら、彼女がソファーに腰かけているのが、鏡越しに見えた。

扉を開け、真っ直ぐに彼女の方へ向かった。



 彼女の薄く色づいた頬を見つめながら、


 ―今日は、 いつもよりちょっと色っぽい…―


などと、至らぬ事を考えている。

こんなに彼女と面と向かって話した事がなかったので、何から話していいのかわからない。

とりあえず、主任達の事でも話し始めることにした。


  「主任達、どこで油売っているんだろう」 などと、

当たり障りのない話から始める。

温かいコーヒーを飲んだせいか、彼女の表情も和らいで見える。


 コーヒーが運ばれ、一口、口を付ける。

かなりきつい酒が喉に流れこんできた。

幾ら甘いとはいえ、このきつさは、空腹にはこたえる。

どうりで、瞳も潤んでいるはずだ。


  「これ、かなり酒、きつくない?」


コーヒーカップを指さし 彼女に聞いてみたが、


  「甘くて、 美味しいわよ」


と、何食わぬ顔をして微笑んだ。

全然気にしていない様子だ。


 以前、カクテルを飲みすぎた女の子を介抱した事が一瞬、脳裏をよぎった。


 ―勘弁してくれよ。―


と、心の中で呟く。


 酔った勢いで、どうにかなってしまったら、それこそ主任の話のネタになりかねない。

あれこれと面白、可笑しく、ある事ない事、言いふらすに決まっている。

それだけは、勘弁してほしかった。


 そうこう考えているうちに、時計は7時を回っていた。


 コーヒーを一息で飲み干し、携帯をポケットから取り出そうとした瞬間、

携帯が震え始めた。


  「主任からだ」


 待ち焦がれていた恋文を開くように、俺はおもむろに携帯を開いた。

【彼女6】へつづく

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