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片 恋  作者: 由卯
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彼女1

ある土曜の朝から、物語は始まる。

 朝、窓を開けると、霧が白く立ち籠めていた。

普段の日なら、町並みから何かしらの雑音がひしめきあっているが、土曜の朝は、皆、眠ったように静かだ。

白い放射霧の中、太陽はぼんやりと、薄白く輝いていた。


 少し冷たくなった外の空気を深く吸い込みながら、背伸びをする。

湿った空気が、肌にまとわりつく。

しばらくすると、寝巻きが冷たくなった。

軽く身震いをし、レースのカーテンを閉めた。


 秋も深まると、毎日のように放射霧が立ち籠める。

この分だと、今日も天気が良さそうだ。



 締め切ったオフィスの中は、パソコンの熱風で次第に暑くなりつつあった。

 何十台も並んだパソコンの音だけが、静かな部屋で唸り声を上げている。

整然と並べられた机の一番窓側に、彼の席がある。

今日は、いつもよりもシックな出で立ちだ。

白のボタンダウンのシャツが眩しい。


 空調の効かない、空気の籠もったオフィスでは、酸欠状態に陥りそうだった。

 自分の机から少し離れた大きめのテーブルで、資料を広げて、訝しそうな表情の彼が見えた。

少し暑いのか、袖を肘のところまで、めくって作業をしていた。

ペンを握る日に焼けた手が、たくましい。


 私は、手のひらを火照った頬に当て、軽くため息をついた。


彼の心は…


【彼1】につづく

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