第九話『理解できねえ』
ふぁーい!ネギトロだよ!
「うーん…」
「ヤマト、見つかった?」
「あ?ウソカジか・・・。見つかんねえよ・・・やっぱ無理。」
「だよねー・・・」
~一時間前~
「じゃあ、まずは特徴を聞いておこうか?」
「はい!えっと、種類は柴犬!毛は茶色なの!人懐っこいの!」
「それ以外は?」
「ないの!」
・・・・・・・
「ほぼ無謀じゃねえか!!」
俺がつっこむとユカリは「えー」といった。
「見つかりますよね?大丈夫ですよね?!イシカさん!!」
ユカリはすがるようにイシカの方をみる。
しかしイシカはゆっくり首をふった。
「その犬はこの街に今いるかもわからない。大袈裟にいってしまえば日本のどこにいるかもわからないんだ。もしくは餓死していたり保健所に連れて行かれてる可能性もある。」
「そんな・・・」
だけど・・・といいイシカが立ち上がる。
「それをこなすのが俺らだ。大丈夫。ちゃんと見つけるさ。女子班は聞き込み、男子班は捜索だ!」
イシカはそう言って立ち上がった。
「―――はい!ありがとうなの!」
~そして今~
「日本のどこにいるかわからないって言われたあとで探すとなるとやっぱモチベーションさがるよなぁ・・・」
「でもイシカの言ってる通りだよ。見た目の手がかり以外、なにもつかめてないんだ。」
「そうだな…」
「まあまだ諦めるのははええか!よし!うそかじ、次こっちいくぞ!」
「え!?ヤマトそっちは崖だからあぶな「ぎゃああああああ!!!」あ、遅かった」
なんやかんやあったが結局、その日はなにも収穫がなかった。
いや、その次も、その次の次の日もだ。
そしてとうとう、捜索しはじめてからはやくも一週間がたってしまった。
「にしても一週間やってなんの収穫もなし、か…今日こそは手がかりつかめるといいな」
「…よし…じゃあ準備すっか…」
部員全員があつまり、個々が自分の準備を進めた。
あれ?そういえば…
「ユカリは?」
そう聞くと、そういえば…とクロトが言った。
「もうじき来るんじゃない?遅れることぐらいたまにはあるよ~」
「そうだな~」
ガラッ
「あ、噂をすれば!こんにちは!ユカリン!」
クロトがにこやかに近づく。ん?やけに、ユカリが悲しい顔をしているような…。
どうした、と声をかける前に、ユカリが口を開いた。
「すみません。もう捜索はいいです。」
………
「え?」
全員が驚いた。
「なんで?!まだ見つかってないじゃん!頑張ろうよ!」
ウソカジがそういう。
しかしユカリは静かに首を左右にふった。
「もうきっと、見つからないの。」
きっともう無理だよ、とユカリはつぶやいた。
「あ、あきらめないで、まだ探そうよ?ね?」
イシカがそういうが、ユカリは無理だと頑なに断った。
「もう一週間も経っちゃってる。もしかしたら保健所に連れて行かれてるかもしれないし、だれかに拾われてるかもしれない。ひょっとすると、餓死してるかもしれない。もうだめだよ・・・無理だよ・・・」
ユカリはそういうと、
「今までありがとうございました」
と頭を下げるとでは、と言って、部室の扉に手をかけた。
「ん~そっかぁ・・・なんか損した感じだねえ」
「まぁもともと報酬とか貰う訳じゃないし?損もなにもないんじゃない?」
他の奴らは、もう終わった、というように話している。
どうして?どうしてなんだ?
わからない。お前ら理解できねぇよ・・・
「・・・だよ・・・」
「?ヤマト?どうしたの?」
「なんでだよ!」
キィン…耳鳴りがおこった。
そして一気に周りが静寂になる。
でも俺は叫ぶのを止めない。
「そんな簡単に諦めていいのかよ!!お前同士だって言ってたじゃねえか!大事だって言ってたじゃねえか!可能性が低いからってそれにかけようともしねえのか!?まだ見つかるかもしれねえだろ!?」
・・・
誰も俺の言葉に答えようとしない。ただ、下を見ている。
「・・・そうか」
「お前らが探さないならいい。俺が探す。」
そう言って、部室を飛び出した。
「待ってなの!」
体がその瞬間ピタリととまり、顔だけが後ろを向く。
「ユカリ・・・」
「・・・ごめん!!!」
「・・・え?」
予想外の言葉に反応もできず固まった。
「廊下で、さっきの話、聞いてたの。
あたし、ヤマトの言葉でハッとしたの。
こんな簡単に諦めちゃったらだめだよね。
だから、あたしも協力したいの!お願い!協力させて?」
ユカリはそう言って俺の前で両手をあわせて、お願いのポーズをした。
「・・・あぁ、もちろん」
俺はそういった。
必ず、見つけ出してやる。
日本中、いや世界中のどこにいようとも。
俺は二人きりの廊下で、そう強く誓った。
ヤマトちょっとイケメンタイムきちゃった?
くそっやっぱくやしいな・・・・(##゜Д゜)イライラ