第六話『図書室の白昼夢』
ヤマト・・・
「くそっ…」
たまにはしっかり授業をうけようと、ノートをとろうとするものの、九日前のことがちらついて、集中できない。
そう、あれから九日経ったのだ。
あれ以来、ウソカジは俺に話しかけては来ないし、イシカとクロトとムクは学年が違うから当然会わない。
やっと、俺にとっての平和が訪れたのだ。
でも、開放されて嬉しいはずなのに、どこか、心の隅に虚しさがあるのはなんでだろうか…
「あれ、もう昼休みか…?」
気づくと、周りの奴らがもう昼飯を食っていた。
時計をみると、昼休みが始まって五分が経過していたようだった。
「あぁ…じゃあ…あそこ行くかな…」
最近、俺が気に入っている場所がある。
それは図書室だ。
人気もないし、本を読みながら昼飯を食べるのは格別においしい。
ハラハラしながらご飯を一口。こんなに有意義な場所があったのに気付かなかったのが腹立たしいくらいだ。
「あーそーいや…今日4時間で授業終了だっけか…」
そうだった。すっかり忘れていた。
俺ははやく昼飯を食って家に帰ろうかなと食べる手を早めた。
*
あれ…どこだ…ここ…
学校の廊下…?あれ…体が俺の言うことをきかない…
これは…俺の体じゃないのか?…だとしたら、こいつはどこへ向かっているんだ…?
ん・・・?ここは・・・『校長室』?
あ、中に入った。
校長先生だ・・・ん?俺に対してなにか言っているのか?怒っているような・・・
え?なんか紙をだしてきた・・・。
ん?廃部届・・・?特殊能力部・・・?
あれ、あと10日あるって言ってたからあと一日あるよな…
じゃあなんでいま…
*
「うわぁっ!!」
ガバッと起き上がる。
「夢…?」
それにしてはとてもリアルな夢だったような・・・。それに、目がとてつもなく、火に炙られているように熱くて、痛い。
痛みにこらえながらふと時計をみると、昼休みが終わって20分も経っていた。
「・・・」
俺は、無意識のうちに、校長室へとむかっていた。
とまと・・・