ア カ イ
「おはようございまーす。」
呼びかけると、彼は目を覚ました。
「う・・・うわあああああああ!あああああああ!!」
そして叫んだ。
「うわッ!うっさいなあ・・・・もう・・・まあいっか。」
パァンッ
「りーんーねー?あ、いたいた。ってあぁあ!」
棉堵は、私の足元に転がる赤い物を見るなり叫んだ。
「うわッ!ちょっとそれひどいよ・・・。」
「だ・っ・て!館長さんにやるなって言われてたじゃん!」
「大丈夫。あのね、この人すっごくうるさくてすんごいしがみ付いてきたから・・・。」
「・・・ううん。いいのかなぁ・・・。」
私が歩き出すと、棉堵はそれに渋々ついてきた。
館長さんは、凄いとこにいた。
「うわあ・・・アウェー戦ですか・・・。」
棉堵が言うのは無理も無い。
いや、無理はあるか。
「・・・さすがに館長さんでも、約100対1じゃあね。怖いね。館長さん。」
「いや怖いとかの問題でなく。やばいね。でも何か館長さんの事だからちゃんと無傷で
帰ってくるんだろうなあ・・・」
「そうだろうね・・・。だって館長さんだもんね・・・。」
何処にいたかというと。
「敵のアジト?って言うんだっけ。」
「うん。しかも本拠地だって。」
「うわあ・・・。」
さすがに100対1はないわー・・・。
「どうする?一緒に戦いに行く?」
「うーん・・・。館長さんならもう終わるんじゃない?」
すると、本拠地(?)の中から一人。
独り、男が飛び出してきた。
「あ。何かきた。」
彼は、私たちに驚くがそれどころでは無い様で、逃げようとした。
すると頭に穴を開けて倒れた。
「「あ。」」
「いやあ、楽しかったですね。」
本拠地(?)の中から館長さんが出てきた。
「お帰りなさーい。」
「どうだったの・・・?」
「あ、ふつーに無傷ですよ。」
やっぱり。
灰色をした倉庫の前で、白と黒だけが生きていた。
「さて。今回の制裁の反省ですが。」
「う゛。あの、すいません館長さん。」
「いや、良いんですよ。多分私でも殺したと思いますから。」
「え、いいの?・・・あの人結構重要人物だったんじゃ?」
「いえ。一番上のやつに全部吐かせましたから。」
「「こわあ・・・。」」
今回、館長さんが出したミッション(笑)は、エラーの出た人間を排除すること。
因みに何をしたのか吐かせるのもミッション。
でも、リンネが殺しちゃったので微妙なところ。
まいっか。
「結果。あそこのエラーは私利私欲ですかね。」
「うん。凄くきらきらしたものをいっぱい持ってた。」
「うん。全部もらってきた。」
「やっぱり。まあいいんですけど。
まあ、反省はこんなもんでしょう。」
館長さんは紅茶を一口飲んで図書館の備品の椅子から立ち上がった。
「あれ、今回は早いね。」
「そんなに話すこともありませんからね。」
「あ、館長さん!あのね?」
私は、館長さんの服の裾を引っ張って引き止めた。
「・・・なんですか?」
「この本なんだけど・・・。」
こないだ司書室で見つけたナントカの書っぽい本を見せる。
「・・・この本を何処で?」
「司書室。」
「ああ、なるほどね。やっぱりあそこでしたか。」
すると、突然館長さんは私からナントカの書っぽい本を取り上げた。
「ええ!?駄目なの!?」
「鱗廻ではこの本を開けません。」
「え!館長さんその本何?」
棉堵も食いついてきた。
「これは子供が見るものじゃありません。」
「子供じゃないもん!」
「いや、そうかもしれませんが・・・。」
仕方ない。というように、館長さんはやっと私に本をくれた。
「・・・開けるようになる頃には、きっと。」
「きっと?」
「あなたの探していたお父さんが見つかりますよ。」
頑張りましたー。
続きもお楽しみにー。