リ ン カ
秘密の物語です。
「なんで!!!!!!!!!!」
彼女はそう叫んだ。
「なんで女の子じゃないの!!!!!!!!!」
「鱗華!静かにしなさい!」
「なんで!!!!!!」
僕は静かにそれを眺める。
彼女達は、それに気づいていない。
当然だ。影から見ているから。
「鱗華は女の子がいいの!妹がいいの!!」
「こら鱗華!生まれてしまったのはしょうがない事でしょう!」
「いやあだ!やだ!!妹がいい!!!」
「鱗華!」
「やだぁ!!!」
「男の子嫌い!」
「鱗華!そんなことは言ってはいけません!!!!!!」
「やぁだあ!!!」
そうか。
僕が男の子だから、お姉ちゃんは僕のことが嫌いなんだ。
なら、女の子になればいい。
でも、そもそも、女の子がどんな格好をして、どんな顔をしているのか分からない。
「・・・×××××。」
「・・・ああ、棉堵ですか。館長と呼びなさい。」
「・・・館長さん。女の子って、どんな格好してるの?どんな顔をしてるの?」
「え?ああ、ええっと・・・。白くてフリルがついたのを着てたり・・・」
「ねえ、館長さん、僕にそれ、買って。」
「え?どうしてですか?」
「・・・欲しいの。白くて、フリルの付いた洋服。」
「・・・。」
館長さんは、ひどく不思議そうな顔をしていたが、
しばらくして、
「・・・分かりました。いいですよ。」
と、言ってくれた。
そして、僕は次の日、真っ白なロリータを買ってもらった。
これで、お姉ちゃんにも嫌われないはず。
「館長さん!」
「・・・おや、棉堵ですか。っていきなり着たんですか!
でも、可愛いですよ。」
「本当?有難う、館長さん。」
僕は嬉しくて、その場でくるっと回って見せた。
スカートのフリルと、ネクタイのようなものがふわっと広がった。
ふと、
「シュー!!」
「ん?」
左を見やると、髪の毛に巻きついている蛇―僕の友達だ―のセルヴが不満そうに舌を出して
抗議していた。
「ああ、ごめんごめん。」
どうやら、回ったことでセルヴが髪の毛から落ちそうになったらしい。
「つい、調子に乗っちゃった。」
「シュルルル・・・。」
ちょっと怒っているようだが、許してくれるだろう。
それより・・・。
「鱗華は?」
「ん?」
「お姉ちゃんは?って。」
「・・・出て行きました。」
え?
「・・・・・・なに?」
「鱗華は・・・・!いつの間にかッ!家出して・・・ッ!?」
「なに?それ?」
ぼく は かんちょうさん を にらん だ
かんちょうさん は おどろいた かお を して いた
ぼく は セルヴ を かみのけ から はらい のけ て
しろい うろこ を とり だし た
ぼく の からだ は しろく ひかって
ながく のび た
秘密の物語です。
棉堵くんは男の子です。
でも、女の子なんです。
何故なら、棉堵くんは、男の子だからです。