なぜだか、勇者召還しました。パ~ト3
ー力を欲するものには力を。
位を欲するものには位を。
財を欲するものには財を。
色を欲するものには色を。
尽きることのない欲望はいつ終るのだろうー
建国物語魔王の章より抜粋
「いったいなにがあったんだい、エル?」
私は、今窮地にたたされている。
目の前にはこの国の国王である、ケイル・ルークツ・アルバルト様。
「城内に突如、巨大な魔力が出現したかと思ったら、出所は魔法隊隊長のエルのもの」
宰相である、キース・マナカ・ジョイナス様が言葉を紡ぐ。
「「っで、その少年はなにもの?」」
そしてとどめは二人一緒に笑顔を添えて。
その笑顔がとても恐ろしい・・・・執務室に緊張が漂う。
隣にいる少年(八月一日 太陽/ホズミ タイヨウ)は居心地が悪そうだ。
私の額に汗が浮かぶ。
ホズミには悪いが、彼らの問いに答えない限り、この執務室から逃げられない。
私は意を決して口を開いた。
「しいて言うならば、勇者様でしょうか。」
「「勇者?なぜ、勇者?」」
心臓に悪いので声を合わせないでほしいと思うのは私だけだろうか。
文官たちはこの二人を相手によく議論を交わせるとおもう。
私はすでに限界だ。
「・・・なぜでしょう」
返答も投げやり気味だ。
しかし、そんな私にお構いなし話は進んでいく。
「勇者を召喚するような危機もないし」
キース様が顎に手を当て考える仕草をする。
確実に演技だ。プレッシャーを与える演技に決まってる。
「それともこれから危機が起こるのかな?」
ケイル国王が楽しそうに聞く。
私がどのような返答をするのか楽しんでいる。
絶対そうだ。
「・・・起こりえません」
「「ほ~、なんでかな?」」
なんでってそれは・・・
「国のトップたちがもの凄く(悪)知恵が働くからです。」
「ふふふ、知恵だなんで(悪っていうのは聞かなかったことにしといてやる)」
こ、怖い・・・目が笑ってない。
さっさと退席したい
「まぁ冗談はそこまでにして・・・」
二人の視線がそれまで隅で大人しくしていたホズミに向けられた。
『びく』
ホズミよ、なにも怯えなくても大丈夫だと思うが・・・
たぶん。
パート3・・・なんだか続く感じです。