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昼休み、日常が壊れ始める

昨日の激闘が幻だったかのように、朝の学校には平穏が戻っていた。

教室に入った黒瀬に、いつも通り明るく声をかけてくるのは日野原だった。


「黒瀬くん!今日こそ料理部、来てくれるよね?」


黒瀬は軽く笑って応える。


「今日は行くよ」


意外な返答に、日野原は一瞬驚いたものの、すぐにぱあっと笑顔を見せた。

その笑顔がまぶしかった。


「ただ、急に予定が入るかもしれないから、途中で抜けたらごめん」


「ううん、大丈夫!楽しみにしてるね!」


そう言って去っていく日野原の後ろ姿を見つめながら、黒瀬はふと思い出す。

(日野原さん、たしか父子家庭で小さい妹さんがいるって言ってたな)


彼女のまっすぐな想いに、黒瀬の中でなにかが芽生えはじめていた。


遠くからそのやりとりを見ていた藤堂は、無表情ながらも、内心では温かい気持ちでつぶやいた。

(気づいてやれよ、陽翔……)


***


午前中の授業が終わり、昼休みになった。

昼食をサッと済ませ、黒瀬と藤堂は校舎屋上へ向かった。


校舎屋上には、2人の男子高校生が待っていた。

軍人のようにガタイの良い郷原ごうはら 理人りひと

モデルのようなスタイルの良さと顔立ちの久我くが れいだ。


「昼休みに呼び出して悪いな」

黒瀬の第一声に、郷原が小さく首を振る。


「いいさ。それより昨夜の件、詳しく」

「……任せて」


藤堂から昨日の出来事が説明される。

出現した侵略者が“クラスB”でありながら、明らかにそれを超える戦闘力を持っていたこと。

「クラス」の基準が崩れ始めているという事実――。


話が終わると、久我が呟くように言った。


「敵、強くなってるな。……ま、俺たちの敵じゃないけど」


その自信は、空元気ではない。

それでも誰もが心の中では不安を抱えていた。

そんな中での郷原の“俺様”な発言は、むしろ救いとなった。


(もっと強くならなきゃ……)

黒瀬も気持ちを新たにする。


さあ。教室に戻ろう。と藤堂が言い、一同が屋上から校舎に戻った時だった。


バチィィンッ!!


耳を裂くような音とともに、青空に亀裂が入り始める。

そして亀裂から白球が落ちてきて学校上空で爆発。

白い閃光が学校を包んだ。


屋内にいてもわかるぐらい、まぶしい光に4人はとっさに床に伏せる。

光が徐々に弱くなり、何とか目があけられるようになった。


意表をつく緊急事態。

冷静沈着な藤堂も今日ばかりは冷静になっていられない。

考えても考えても最善策が見つからず、冷や汗が藤堂の額から垂れる。

ゆっくり目を閉じ深呼吸した後、藤堂が指示をだす。


「陽翔と理人は、校舎内の様子を見にいってくれ。

侵略者がいても、人命救助を優先してほしい。

俺と零は屋上から外の様子を確認する」


東堂がそう告げると、4人は目的地に向かって一斉に走り出した。


(みんな無事でいてくれ!)


そう思いながら黒瀬と郷原は階段を駆け下りて、自分たちの教室まで走り出した。


藤堂と久我は、周囲をよく確認してから屋上に出た。

そして、屋上から周囲の風景を見渡してひとこと。

「結界……」藤堂が呟いた。


学校全体が、青白い膜に覆われていたからだ。

まるで自分たちが檻の中にいるような感覚だった。


突如、藤堂の携帯が鳴る。黒瀬からだ。


「藤堂大変だ!クラスに誰一人もいない。

いや、学校にいるの俺たちだけだ。」


なんだと、、、

日常が崩れた瞬間だった。

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