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紅の鬼神、そして再集結

――藤堂の体が、重力に引かれ真っ逆さまに落ちていく。


砂煙にかすむ空の中、彼の意識は遠のきかけていた。


(……ダメだ。骨折しているせいで、身体が思うように動かせない……)


藤堂は悲痛な思いを抱え、意識の淵へと沈みかけた。


その時だった。


「――まだだ。まだ落とさねぇ!!」


鋭い怒号が空気を切り裂く。


視界に、真紅の閃光が走った。

まるで風そのものを纏ったかのような、紅き鬼神が宙を駆ける。


郷原が、校舎3階の壁を突き破り、鬼神化した全力の姿で飛び込んできた。


全身が真紅に染まり、足元には激しい旋風が巻き起こる。

風の力を脚に集中させ、超人的な跳躍で校舎の側面を蹴り上げる。


「うおおおおッ!!」


疾風のごとく駆け抜け、落下中の藤堂に迫る郷原。


藤堂の意識が戻ると、視界に郷原の姿が映った。


「……郷原……?」


「藤堂!しっかり掴まってろ!」


次の瞬間、郷原は藤堂の体を抱きかかえ、風を纏った両脚で空中を蹴る。


――ドンッ!


再び跳躍。久我の《雀蜂》のように、屋上へ一直線に駆け上がる。


――ズガァン!!


風と爆風を伴い、2人は屋上に戻った。

足元に転がるフェンスの残骸を吹き飛ばし、着地した郷原。風が吹き抜け、その赤いオーラがたなびく。


「……すまん、理人。本当に、ありがとう」


「問題ない。それより身体は?」


「肋骨が数本折れて、鼻も潰れているだろう」


藤堂は深傷を負っていた。

郷原の助けがなければ、さらに重症になっていたに違いない。

それでも、この程度で済んだのは不幸中の幸いだ。


(この身体で、どう戦おうか……)


苦笑しながら藤堂はそう考えた。


――その背後から、新たな足音が響く。


(まさか校舎内から侵入されたか?)


「……間に合ったか」


屋上の扉から現れたのは、黒瀬だった。


右手にしっかりとマグナムを形成し、熱を纏う。

瞳の奥には怒りと決意が燃えている。


「まったく……驚かせやがって」


藤堂は安堵の表情を見せ、久我がニヤリと笑った。


「おいおい、主役登場ってか?だったらさ――」


雷槍を掲げた久我の周囲に、風と雷、炎と鬼神の力が集結する。


「――ここで全部、ひっくり返してやろうぜ。4人で!」


藤堂は立ち上がり、郷原は再び闘志を燃やす。

黒瀬は静かにマグナムを構えた。


――戦場の空気が変わった。


今、4人の能力者が再び揃った。

戦況は、ここから一変する。

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