表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/12

落下、そして雷光

藤堂の瞳に、覚悟の色が宿った。


その瞬間――


無数のガイコツたちがグラウンドを駆け抜け、校舎へと殺到する。

まるで屋上を目指すかのように、壁を這い上がり始めた。


「藤堂!お前は体を休めてろ!アイツらは全部、俺が焼き殺す!」


久我の叫びが響く。

(藤堂があのデカブツを倒す策を思いつくまで、俺が踏ん張るしかねえ!)


藤堂は心に湧き上がる不安と焦りを押し殺し、冷静に状況を読み取る。

校舎を登るガイコツ、押し寄せてくるガイコツ、グラウンドに待機する群れ――

そして、クラス測定不能の巨大なガイコツ。


状況は無茶苦茶だ。

がむしゃらに戦っても、多勢に無勢。

だが考えることをやめたら、その瞬間に全てが終わる。


「ありがとう、久我。でも……俺だって、戦わずにはいられない」


「バカが……お前は“頭脳”担当だろうが!」


久我の右手に握られた雷槍が、静かに青白く光る。

パチッ、パチッ――雷が弾け、地面に小さな焦げ跡を残す。


「なら……全部まとめて、燃やし尽くしてやるよ」


久我は目を閉じ、低く何かを呟く。

普段のおちゃらけた姿とはまるで別人。圧倒的な集中。


その瞬間、グラウンド上空に暗雲が広がり始める。

ゴロゴロと雷鳴が鳴り、空気がピリつく。


久我が目を開く。


――ズドン!!


雷が地を裂き、グラウンドのガイコツたちを直撃。

爆音と閃光の中、骨の群れが爆散していく。


すぐさま久我は雷槍を構え、校舎を登るガイコツたちに狙いを定める。

息を吐き、地面を蹴った――!


空中で、槍の刃を下に向け、雷を纏って落下する。


「喰らえ――《雀蜂すずめばち》ッ!!」


雷鳴のごとく空を切り裂く一撃が、登っていたガイコツたちを貫いた。

黒煙とともに、ガイコツの群れは次々に吹き飛ぶ。


だが――それでも、数が多すぎた。


「くそっ、登るなって言ってんだろ……!」


死角に入り込んだガイコツが、ついに屋上へ到達。

数体が東堂めがけて飛びかかる。


「……!」


東堂はギリギリのタイミングで回避。

すぐさま大きく息を吸い、ふーっと吹き出す。

湿気を含んだ吐息が冷気に変わり、水蒸気が凝固。

氷の矢のように、ガイコツの急所へ一直線に突き刺さる。


――ザリッ。


急所を撃ち抜かれたガイコツは、音もなく砂のように崩れ消えた。


その瞬間だった。


視界の奥、グラウンドに佇む巨大なガイコツが動いた。


「――ッ!」


ドンッ!!


空気が震える。

巨体がゆっくりと腕を振り上げ――

その拳が、屋上へ向かって一直線に振り下ろされる。


藤堂の目が、その巨大な影を捉えた。


(まずい……!)


だが、避けきれない。


ズガァァァン!!!


衝撃音と共に、拳が屋上のフェンスを突き破り、藤堂の体を直撃。


「ッ……ぐあッ!」


藤堂の体が宙を舞う。

そのまま、屋上の縁を越え――落ちていく。


「藤堂ぉぉおおおおッ!!」


久我が叫び、すぐさま跳び出そうとする――

だが、上から崩れ落ちてきたフェンスが視界を遮る。


怒りに任せ、雷槍で真っ二つに斬り裂く。

だが、その一瞬の間に藤堂の姿は消えていた。


「くそ……!」


久我の手が震える。


(見失った……!)


雷槍を強く握りしめ、久我は怒りと焦燥に包まれていた。


――戦況は、さらなる激化を見せ始める。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ