3回目のリセット ― 家族を守る
数年後。
母は早期に発見されたがんを乗り越え、命を繋いだ。
一度は家族を捨てた父も、どこかで改心したのか、時折連絡を寄こすようになり——
ユウトとリュウ、母の三人は、穏やかであたたかな時間を分かち合っていた。
職場では、ユウトの誠実な働きぶりが信頼を集めていた。
リュウも音楽と仕事の両立に励み、自分の居場所を見つけつつあった。
ユウトは思った。「これが正解だったんだ」と。
ようやく掴んだ安定と幸福。それは確かに、手のひらの中にあった。
だが——
ある日、職場に一本の電話がかかってくる。
「交通事故です。お母様が…搬送されました…」
病院での緊急手術もむなしく、母は帰らぬ人となった。
ユウトはその場に崩れ落ちた。
病から救ったはずだった。
それでも、運命という名の暴風は、容赦なく彼らの幸せを奪っていった。
さらに——
リュウは、母の死をどうしても受け入れることができなかった。
やがて心を閉ざし、音楽もやめ、笑顔を見せなくなった。
数年後には、自室にこもるようになり、外の世界とのつながりを絶ってしまった。
ユウトは静かに思った。
どんなに手を尽くしても、「正解」などなかったのかもしれないと。