8/17
3回目のリセット ― 家族を守る
もう夢でも、愛でもない。
次こそは——「家族を守る」と決めた。
目を覚ましたユウトは、高校の卒業式を迎える朝に戻っていた。
淡い春の日差しのなか、制服の襟元を整える手がわずかに震える。
すでに夢も恋も、すべてを知った今の彼は、これまでで最も冷静だった。
卒業式が終わると、弟のリュウを呼び出した。
「リュウ、ちょっと話せるか?」
校舎の裏手、風の静かな場所でユウトは真っ直ぐに言った。
「母さんの健康診断、来週再検査がある。絶対に行かせてくれ。俺も付き添う」
リュウは驚いた表情を見せたが、やがて真剣な眼差しで頷いた。
「……兄貴、変わったな。いい方に、な」
その言葉に、ユウトは小さく笑った。
彼は、美術大学への推薦も、かつての恋人も、すべて手放した。
代わりに選んだのは、地元の医療系短大。
目指すのは、診療放射線技師——病を見つけ、救う側の人間になる道。
理由はただ一つ。
母を、家族を、この手で守るためだった。




