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2回目のリセット ― 愛を選ぶ
葬儀の日。
冷たい冬の風が頬を刺す中、ユウトは幼い息子の小さな手をしっかりと握っていた。
黒い喪服に身を包んだ人々の間で、彼だけが、時間の流れに取り残されたように立ち尽くしていた。
息子は不安げに、見上げる。
その小さな唇が、震えながら言葉を紡いだ。
「おとうさん……ままは、もうこないの?」
たったひとこと。
無垢な問いかけに、ユウトの中でせき止めていたものが、一気にあふれ出した。
涙が止まらなかった。
——夢を捨ててでも守ろうとした家族。
——誰かを愛し、誰かと生きる人生を選んだはずだった。
——安定を求め、失敗しない道を歩んできたつもりだった。
それなのに、最も大切な人を救えなかった。
どんな選択をしても、運命は残酷に、その結末を奪っていく。
残されたのは、後悔と、自分の無力さだけだった。
その夜——
誰もいない部屋の隅に、また“彼女”が現れた。
白いスーツ。冷たい瞳。まるで、雪のように静かな声で言った。
「3回目、使う?」
ユウトは答えた。
泣きながら、それでもはっきりと、揺るぎなく。
「……使うよ。今度こそ、家族を救ってみせる」




