《第二話完》終息【エピローグ】
サヴェリウス城城内。近衛騎士団詰め所、士団長室。
北辺の季節の移りは早足で。帰り着いたその日にはやくも雪が降りはじめていた。
廊下の冷えた空気をひとつ吸い込んだアスタミオは、騎士に相応しい礼装に身を包んで、白息を吐いて告げた。
「アスタミオ・トゥルパール、入ります」
『入れ』と、室内から明晰な声が答える。
品の良い調度品を照らすように赤々と焚かれた暖炉。その前にたつインブリット・デュ・グレスクォルの麗美な姿を見、彼は帰ってきたのだなと心中で噛みしめて礼をとった。
「団長。アスタミオ、帰還いたしました」
「ご苦労だった。まあ、こちらへ掛けて話を聞かせてくれ。私のアスタミオ」
従騎士は恐縮しながらも、彼女の用意してくれた暖炉前の椅子に向かい合って腰を下ろす。
「早速だが······どうだった?」
彼女の美しい瞳が灯りと好奇心のために煌めいているのに、アスタミオは苦笑する。
「は。お元気であらせらせました。心なしか、背も少しお伸びになられたようで」
そうだろう、そうだろうと、インブリットは己のことのように笑みを漏らして頷く。
「それに······」とこれは少し考えてからアスタミオは続ける。
「お楽しそうであられました。例の槍も、すっかり使いこなしておられるご様子です」
「······そうか」
楽しそうだった。
その言葉を聞けたことはなによりも嬉しい。が、すこし寂しくもあった。
白槍を使いこなしていたという事実もくわえて。
「で」
「······ハ」
「······お前の目から見て、どうだ······」
インブリットは手ずからワインを注いだグラスをアスタミオに手渡しながら問う。
「──そうですね。姫様はとてもお気に入りであるとお見受けしました。腕の方は······まあ、今はなんとも。人物としては悪くないように思います」
インブリットの片眉がわずかにあがる。
「珍しいな。君が褒めるとは」
「······お言葉ですがこのアスタミオ、けして褒めている訳ではありませぬ。ただ······」
「?」
彼に限って焦らすつもりはないだろう。ただ己の言葉を素直に口にするのが面映ゆいのだ。インブリットは先を急かすことなく、彼が口を開くのを静かに待つ。
「姫様がこの先、あの者とどの様な騎士団を創りあげていくのか······見てみたくはあるかも知れません」
そうか、と麗将は笑った。
読んで下さいまして、ありがとうございました。
第二話、これにて終了であります。
なんといいますか······
派手にすっ転んで自分を見失ったので、しばらく休載いたします。直しとかやります。
今回の反省。やっぱりまとまってから出せば良かった······
もし次がありましたら、その時は。
またお付き合い頂けたなら幸いです。
仮名遣いを微修正しました。




