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Eyes  作者: 有端 燃
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第三十九話

「飛ばしのスマホに反応していたが、甲斐も持っていたということか?」

 一斗の様子の変化から推測したのだろう、仁木が聞いてきた。

「断言はできませんが高牧駅のトイレで紙袋を交換した記憶に()()()ので、そこで取り引きしたのだと思います」

「トイレなら入り口の前に監視カメラがあるはずだが、二年前の画像はさすがに残っていないだろうな。だが、警察官とわかった上で飛ばしのスマホを用意するようなブローカーは限られている。甲斐に売った奴がいるか、俺の方で調べられるかもしれない」

 こんな状況でも、何らかの伝手はあるようだ。

「甲斐さんが飛ばしのスマホを必要とした理由は何だと思いますか?」

 支給されているスマホはもちろん、私用のスマホの履歴を調べられたくない理由があるはずだ。

「通話なら面倒でも公衆電話って手もある。いつでも連絡できるわけじゃないから違うとも言い切れないが、可能性としてはさっきお前が言ったようにネット環境目的の方が高いかもしれないな」

「ネットなら、街中のネットカフェでも良くないですか?」

 一斗は使ったことがないが、主要駅周辺だけでなく国道沿いにもチェーン店を見かける。

「最近はどこも身分証の提示を求められるし、定期的に警察の検査も入るんだ。それに、管理サーバーにログが残っている可能性もあるから、ヤバい案件ならまず使わないだろう。あとは口座が問題だな」

「口座ですか?」

「ああ。飛ばしとはいえ、利用料金引き落とし用の口座は必要だ。凍結されていなければまだ()()()()()可能性はあるし、口座残高が残っていれば、スマホはもちろんネットを使ったサービスも継続されているかもしれない」

 甲斐の周辺から他人名義のスマホが見つかったという話は有希子からも聞いていないし、もちろん甲斐の部屋からも見つかっていない。あるいは、身の危険を感じた段階で余分に入金しておき、その後通帳やカード共々処分した可能性もある。


 警察官である甲斐が違法な取り引きをしてまで入手したのだから、通常のスマホ利用のはずは無い。  

 インターネット経由のサービス目的であれば、闇バイトなどでも使われるシグナルやテレグラムなどの秘匿性の高いアプリか、クラウドの一種であるオンラインストレージサービスの利用のどちらか、あるいはその両方。実際、一斗も保険的な意味でメジャーなクラウドを利用している。

 だが、今までの甲斐の記憶から、調査は単独で行っているように思えた。頻繁に連絡を取る相手がいないのなら、主目的はオンラインストレージサービスか。

 甲斐がオンラインストレージサービスを利用していたのなら、そして入金がされているのなら、本体は無くてもデータは残っているはずだ。おそらくは独自の調査で集めた画像や音声などの証拠品。警察に知られていないスマホから申し込んだサービスの特定は、本体と通帳、カードを処分してしまえば難しいだろう。

 

「甲斐さんは高牧駅のロッカーを隠し撮りしていました。駅周辺の繁華街の様子も夢に出てくるので、そちらも撮影している可能性があります。当然飛ばしのスマホを使ってですね。それらが警察に都合の悪いものだったら、保険をかけてオンラインストレージサービスに保管している可能性が高いと思うのですが」

 一斗は自説を話してみた。

「その可能性は十分あるな。そもそも何の証拠も無いのなら、柊木を殺してしまえばカタが付く。既に三人殺しているんだから、秘密を守るためにもう一人殺すくらい何とも思わないはずだ。もっとも、事件関係者が続けて殺されればさすがに怪しまれるから、殺すなら事故に見せかけるかな」

 仁木は警察官とは思えないことを平気で言った。もっとも仁木自身殺されかけたばかりだし、本人の言い分を信じる限り後藤組に爆弾を送りつけた犯人にされている。

「だが、警察にも特定されないということは、それだけ探すのが難しいということだよな」

 仁木が唸った。

「その辺は甲斐さんも考えていたと思います。誰を信用していたかは分かりませんが、見つけてもらえなければ意味がないですからね」


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