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プロローグ "後"
何故怪物に食われる立場を人々は異常だと言うのか、怪物のいない世界を見たことがない僕には分からない。
何故命の危険が一切存在しない状態を通常だと言うのか、僕には分からない。
何故自分と自分の師匠に人々は石を投げつけるのか、種族というものを知らない僕には分からない。
何故会った事もない母親が時折恋しくなるのか、
何故会った事もない父親を時折憎く思うのか、
過去を知らない僕には分からない。
何故自分が常に危険を侵し続けるのか、怪物と戦った僕には分かる。人が死ぬ事や、殺される事は悲しいからだ。