船の上でリダとの会話
NPCが運転する船に乗り込み、のんびり外で海でも見るかーと思っていると、船内でユリが話しかけてきた。
「フェルちゃん、ちょっとこっちおいでー」
「わかりました、行ってきますね、レンナさん」
「行ってらっしゃい、海賊が来たらユリに守ってもらえよ」
ユリがフェルを連れて行く、ガールズトークでもするのだろうか?
「やあ、レンナさん、少し質問いいかい?」
「リーダーさん?質問てなんだ、答えれる範囲なら答えるよ?」
入れ替わるようにリーダーさんから質問を投げかけられる。
「まずはNPCに対してのスタンスを、聞いておきたくてね」
「NPCへのスタンス?」
どういう事?と首を傾げたらリーダーさんが説明してくれた。
「この世界は他のフルダイブVRゲームと違って最先端の技術が使われていて、もはや現実と区別つかないと言う人が出る始末だ」
「そうなのか?フルダイブVRゲーム始めてだから比較するゲームがなくて良くわからん」
「えっと、ともかくファンタジーフリーダムは他のVRゲームより凄いんだよ、NPCはゲームシステム関連以外は、基本的に何でも反応するからね…そんで、海賊で悪党のNPCが今回高確率で出てくるけど、もしも悪党が命乞いをしてきたらどうするのかな?と聞いておきたくてね」
悪党の命乞いか…昨日戦闘したウィンディーネを思い出すな…あの時はフェルに力を授けてくれたから見逃したが…海賊か…。
「うーん、自分に有益なら事によっては見逃すかもしれないが…基本的に見逃さないかな、油断させてグサリとかあり得るし…」
「ふむふむ…じゃあフェルに関しては聞いていいかな?色んな種族のNPCは居るけど、妖精はフェルしか現状見たことがない、もしかしたらこのファンタジーフリーダム全体に大きな影響を与えるのかもしれない…だから少し知っておきたいんだ」
「そうなのか?でもちょっと大袈裟すぎないか?
もしかして、それを聞くためにユリに頼んでフェルを連れて行ってもらったのか?」
フェルが重要人物という感じはしない…そもそもフェルは自分がいなければ、蜘蛛に食われてたんだ…そんな子が、ゲーム全体に影響を与えるとは思えない。
というか、普段ずっと一緒にいるフェルと離れ離れになった時に聞きに来て、なんか怪しさを感じる。
「普段ユリの無茶振りをこなしてるからね、このくらいは許してくれ。
まあ、大袈裟じゃないさ、このゲームのナンバークエストは高度なAIが作ってるんだ…。
そのせいか一人のプレイヤーのナンバークエストで全プレイヤーに影響を与えることがたまにあるんだよ。
新しい街に行く際にダンジョン攻略する必要があるだろう?あのダンジョンは半年前とあるプレイヤーのナンバークエストの結果設置されたやつだ」
「なにそれ怖い」
ジテン山とか風の渓谷てナンバークエストで生み出されたのか…。
そういえばアースキーの素材となった地の結晶(特大)を手に入れた際の事を思い出す、他者のクエストの影響で地殻変動とか起こってたな…。
あのシステム画面ではクエストとしか書いてなかったが、あれもナンバークエストだったのかな?
「うーん、フェルに関してはあんまり言えないよ…自分自身がファンタジーフリーダムの世界観あんまり詳しくないし、リーダーさんの求める情報を持ってるかも分からない…それにフェルが居ないのに、こそこそフェルの事を言うというのは…やりたくない」
そう言うとリーダーさんはあーと、バツの悪そうな表情をした。
「そうか、変に聞き出そうとして悪かった…少なくともフェルに悪い事はしないから、そこは安心してくれ、ただ俺は情報を知りたかっただけだからな、それが俺の目的だから」
そう言って頭を下げるリーダーさん。
まあ、リーダーさんはフェルにとって悪い事をするとは思ってないからいいんだけど。
しかし情報を知る事が目的て、リーダーさんのナンバークエストて情報を集めるとかなのかな?でもそれならこんな回りくどい聞き方するか…?
「興味を持つのはいいけど、フェルに直接聞いてくれ…フェルに危害を加えないなら、邪魔する理由はないからな」
「分かった…もしも困ったことがあったら言ってくれ、情報の量なら自信があるからな…」
すると船員の大きな声が響き渡った。
「海賊だー!!」
ドンドンと船が揺れる…揺れで転けそうになった所をリーダーさんに支えられて事なきをえる。
「助かった」
「どういたしまして…ユリとフェルさんと合流しよう!」
そうして自分達は戦闘を準備しつつ、船内から甲板に移動した!